警察庁有識者会議 てんかん等有病者の無申告での運転免許取得に新たな罰則

公開日時 2012/10/26 04:02
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警察庁の「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」(座長:藤原靜雄・中央大学法科大学院教授)は10月25日、運転免許取得にあたって事前申告が必要なてんかんや統合失調症などの有病者が無申告で免許を取得した際に新たに罰則を適用することなどを求めた提言を小平忠正国家公安委員長に提出した。これを受けて現行の道路交通法改正が行われるが、警察庁は今回の提言に沿った形での法改正を行うとみられ、罰則導入に反対の考えを示していた患者団体や関連学会などの対応も注目されるところだ。(ジャーナリスト 村上和巳)


今回の検討会は、2011年4月、栃木県鹿沼市内の国道上でクレーン車の運転者がてんかん発作で意識を消失し、登校中の児童の列に突入して、小学生6名が死亡する事件の遺族会からの要望がベースとなっている。


鹿沼の事件では、運転者がてんかんの罹患を無申告のまま運転免許証の更新を行っていたことが明らかになっており、今年4月、事件の遺族で構成される「鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の会」から、確実に不正取得ができない運転免許交付制度の構築の要望書と、これに賛同する約20万人の署名が提出された。


検討会の議論の焦点になったのは、現行制度で運転適性に影響及ぼすと規定されている疾患の患者がそのことを無申告で運転免許取得・更新を行った場合の罰則規定とこうした患者を担当する医師による通報の義務付けの是非。


罰則の整備については、一部委員から無申告などが明らかになるのは多くが事故発生後であり、罰則が実効性の疑問との意見も出されたが、今回の検討会設置がそもそも現行制度の不十分さや鹿沼事件を受けた遺族の要望に基礎としているとの意見が大勢を占め、罰則規定によっても一定の抑止効果が期待できるとの理由から、その必要性は認められるとの結論に達した。


一方、「遺族の会」が強く求めていた医師による通告制度」については、医師と患者関係が阻害され、運転適性のない者ほど治療から離れることや医師による過剰あるいは過小な通告が行われる可能性が指摘された。さらに現行の道路交通法には、運転適正に支障をきたす疾患に関わる情報の取扱いや公安委員会への情報提供に関する規定がなく、刑法第134条の医師の守秘義務との適用関係が明らかでないため、事実上の通告義務化を見送った。


しかし、交通事故を起こす危険性が高いにもかかわらず、運転を続けている場合などに医師自身の判断により該当患者情報を都道府県公安委員会に届け出ることができる仕組みの整備とその支援の必要性を強調。該当する疾患の診断には専門性が必要なことや明確な基準がないままでは過剰な通告が起こる懸念もあることから、こうした任意通告に関して関係学会によるガイドライン策定を提言では促している。


また、これまで運転免許取得・更新の是非に関わる該当疾患を適正に申告している患者が運転適性を失った場合は6か月の免許保留、または停止が行われ、この期間内に適性が回復すれば免許の効力は回復されることになっている。


ただ、今回の検討会の対象となっているてんかん患者などでは、発作再発後に免許継続の可否を判定する回復状況の見極め期間に1年以上を要することもあり、この場合、運転適性が回復したとしても免許取り消しになり、患者の適正な申告の妨げになっていたとも指摘されていた。


この点について検討会では、現行制度上でやむを得ない理由のため失効後6月以内に運転免許試験を受けることができなかった運転者が免許の再取得を行う場合、失効日から3年以内ならば学科・技能試験を免除していることを準用。一定の講習を受けることなどを条件に取り消し後3年以内の再取得ならば、学科・技能試験を免除するなどの負担軽減を図るべきとの意見を取りまとめた。


提言ではこの他にも、運転適性の是非に該当する疾患の疑いが客観的事実で認められる場合には、対象者の運転免許の効力を暫定的に停止するべきとしたほか、鹿沼事件の加害運転手が過去に複数回の物損事故を引き起こしていたことを鑑みて物損事故を含む事故情報のデータべース化の必要性も訴えている。
 


 

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