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2022年に後発品2兆円市場 12年から倍増 新薬創出加算導入でも財政均衡 EFPIA調べ

公開日時 2013/03/19 04:02

欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)は3月18日、2022年まで今後10年間の国内医療用医薬品市場の動向をIMS社とともにシミュレーションした結果を発表した。新薬、長期収載品、後発品(GE)の各市場の構成比を見ると、今後10年間に新薬市場はほぼ横ばいで、長期収載品市場は6ポイント縮小、GE市場が7ポイント増加する。一方、金額ベース(薬価ベース)で見ると、GE市場は22年に2兆円市場となり、12年から倍増する。新薬を創出できず、長期収載品に依存する先発品企業の事業環境が、ますます厳しくなることを示した格好だ。

シミュレーション結果によると、薬剤費(薬価ベース)は一層の高齢化などによって22年に11.1兆円となり、12年から1.2兆円増える。ただ、薬剤費の今後10年間の年平均成長率はプラス1.2%となり、厚労省が推計する国民医療費の年平均成長率(プラス2.2%)よりも下回ると試算した。医療費に占める薬剤費の比率が下がることを意味する。

このシミュレーションは、現在試行段階にある新薬創出加算の導入を前提条件のひとつに入れている。EFPIAは、製薬協やPhRMAも主張する新薬創出加算の恒久化が実現しても、GEによって薬剤費の支出全体を増やすことなく、新薬やイノベーションの恩恵をより早く日本の患者に提供できると訴える材料にする考えだ。

◎厳しさ増す長期収載品市場

シミュレーションによる薬剤費の内訳をみると、新薬が4.8兆円(12年比=0.4兆円増)、長期収載品が3.4兆円(0.2兆円減)、GEが2兆円(1兆円増)、漢方薬などその他が1兆円(0.2兆円増)――。全医療用医薬品を100%として、各構成割合を見ると、22年には新薬は43%(12年比=1ポイント減)、長期収載品31%(6ポイント減)、GE18%(7ポイント増)――となる。

このうち、長期収載品は今後、数百億円~1000億円規模の先発品が毎年特許切れし、年間2000~3000億円程度が新たに長期収載品市場に加わるにもかかわらず、22年には12年比で0.2兆円減の市場となる。「0.2兆円減」という見た目の数字以上に大きなインパクトがあるといえそうだ。

GEについては、今回のシミュレーションでは10年後の22年に、数量ベースで約60%になるという。しかし、厚労省は「5年後に60%」の軸で検討しており、EFPIAのシミュレーションよりも実際の市場では、GEの影響がより早く、より大きく出る可能性がある。

◎新薬創出加算で日本市場の魅力アップ 新薬生み出せなければ淘汰も

新薬市場は、新薬創出加算があるからといっても22年には12年比で0.4兆円の増加に留まり、市場での構成割合もほぼ横ばいで推移する。新薬メーカーにとって日本市場の魅力が上がるのかとの疑問もあるが、EFPIAのフィリップ・フォシェ会長(GSK社長)、ジェズ・モールディング副会長(サノフィ社長)、三谷宏幸副会長(ノバルティス社長)、加藤益弘シニアアドバイザー(AZ会長)は、この日に都内で開催したメディアセミナーで、シミュレーションで示した新薬市場のマクロの動きに目を向けるよりも、イノベーションを評価する市場を指向することで、世界の新薬メーカーの投資先として日本市場がより魅力的になるとそろって指摘した。

その理由として、新薬創出加算によって▽投資のリターンをより早期に回収できること▽一定期間は薬価が下がらないため、収益の予見可能性が得られやすいこと――などを挙げた。

さらに、「新薬を生み出すメーカー、出せないメーカーでピクチャーは変わる。イノベーションを進めたい企業に対して、(新薬創出加算は)モチベーションになる」(加藤氏)や、「どこかに重きをおくと、重きをおかれない方がせばまるのは仕方のない話。本来あるべき議論は、患者がどのような医療を受けるべきなのかということ」(三谷氏)など、新薬を生み出せない企業にとって厳しい市場環境になることはやむを得ないとの認識も示された。

なお、シミュレーションの前提条件は、近年の市場動向をもとに設定した。具体的には、新薬部分は▽年間40の新規成分が発売▽ピーク時売上は平均100億円▽新薬創出加算対象品目は新規上市成分の68%――。特許切れ時期とGEの普及率では▽既収載医薬品を含めて全て上市後11年で特許切れ▽GEの普及率は、10年までの普及曲線から、さらに2倍近く傾きが強くなって推移(結果として、GE比率は数量ベースで22年に約60%)――。また、薬価改定は2年に1回実施し、通常改定部分の改定率は平均▲6.4%(長期収載品▲8.2%、GE▲12.1%)とし、市場拡大再算定やGE初参入による長期収載品の特例引き下げも加味した。消費税増税の影響は除外した。

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