大塚ホールディングスは５月14日、2013年３月期（12年度）業績を発表し、日本市場の医療関連事業の売上は前期比7.8％増となる3518億円だった。主力の抗精神病薬エビリファイのほか、2010年以降に発売した新薬６製品が堅調に売上を伸ばし、12年度薬価改定やジェネリックの影響を受ける抗血小板薬プレタールや胃炎・胃潰瘍治療薬ムコスタの減収を吸収し、増収を確保した。

エビリファイの12年度国内売上は286億円で、前期比15.5％増だった。12年４月にＯＤ錠を発売し、11月には双極性障害における躁症状の適応を追加、これらのライフサイクルマネジメントもあって、２ケタ成長を達成した。13年度計画では、前期比26％増の360億円を目指す。なお、来週開催予定の薬食審第一部会では、大うつ病補助療法の適応拡大が審議される予定だ。

新薬６製品を領域ごとに見てみる。中枢神経領域では、抗てんかん薬イーケプラの12年度国内売上が前年から倍増となる105億円だった。同社は「他剤と異なる作用機序で、併用率ナンバー１」と説明している。13年度は売上150億円を目指す。今年２月には、世界唯一の経皮吸収型ドパミンアゴニスト剤ニュープロパッチをパーキンソン病とレストレスレッグス症候群の適応で発売を始めた。

循環器領域では、心不全患者の体液貯留を改善する水利尿薬サムスカも前年からほぼ倍増となる128億円を売り上げた。13年度は売上200億円突破を掲げた。

がん及びがん関連領域では、ティーエスワンなど標準薬も売上を維持・拡大させたほか、新薬群の抗がん剤アブラキサンも２ケタ増収となった。アブラキサンは前処理不要で点滴時間も短縮できることが特長のひとつ。遅発性嘔吐を抑制する制吐剤アロキシは12年度に売上100億円、13年度は120億円を目指す。

そのほか、12年１月に発売したドライアイ治療薬ムコスタ点眼は、同年12月から長期処方が可能になり、「売上が大幅に拡大した」としている。

一方で、同社製品のうち国内市場で最も売上の大きいプレタールは、12年度売上401億円、前期比9.2％減だった。同社によると、脳梗塞発症後の患者に利便性の高いＯＤ錠の訴求によって販売数量は維持したものの、薬価引き下げとジェネリックの影響で減収になったという。

◎エビリファイの米国売上は3361億円

医薬関連事業全体の12年度売上を見ると7822億円で、市場別には北米46％、日本41％、その他13％だった。日本の売上を上回った米国ではエビリファイが好調だった。エビリファイの米国12年度売上は前期比6.3％増の3361億円。米国ではクエチアピンやオランザピンなどのジェネリックが浸透しているため、13年度は数量ベースでは微減を見込むが、同社は値上げを実施するなどして売上3920億円を目指す。

なお、大塚ホールディングスの医療関連事業の業績は、エビリファイなどを扱う大塚製薬、抗がん剤を主に扱う大鵬薬品、臨床栄養などを扱う大塚製薬工場で構成される。

大塚ホールディングス12年度業績

【12年度連結業績（前年同期比）　13年度通期予想】
売上高１兆2180億5500万円（5.5％増）　1兆3700億円（12.5％増）
営業利益1696億6000万円（14.1％増）　2050億円（20.8％増）
経常利益1844億6200万円（21.3％増）　2100億円（13.8％増）
純利益1224億2900万円（32.8％増）　1380億円（12.7％増）

【12年度米国製品売上高（前年度実績）13年度予想、億円】
エビリファイ　3361（3161）3920

【12年度国内売上高（前年度実績）13年度予想、億円】
エビリファイ　286（248）360
プレタール　401（441）345
ムコスタ　205（260）180
ティーエスワン　370（365）390
ユーエフティ　112（129）90
ユーゼル　132（127）120
バップフォー　56（63）55
アミノレバンEN　57（6１）55
メプチン　52（57）50
プロテカジン　59（63）60
アロキシ　100（79）120
アブラキサン　37（32）60
イーケプラ　105（48）150
サムスカ　128（67）205
スプリセル共同事業※　120（76）230
ゾシンおよびタゾシン（原薬供給）124（107）130
※ BMSと大塚製薬のコ・プロモーション、製造販売はBMS