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厚労省 「医薬品産業ビジョン」公表 新薬メーカーは得意領域で国際展開を MR大量投入モデルは「岐路」

公開日時 2013/06/27 05:00

厚労省は6月26日、医薬品産業の中長期的な将来像を描き、それを後押しする政策方針を示す「医薬品産業ビジョン2013」をまとめ、公表した。経営の支えとなるブロックバスター製品の登場が今後見込みにくく、単に企業規模の拡大が成功つながらなくなっていることなどから、新薬メーカーは「過去に正解のない領域に入っていく」と指摘。その中では「対象を絞って、得意分野に注力し、その得意分野で世界をリードするという方向に進むことが望ましい」との方向性を提示した。医薬品情報提供にも触れ、欧米でのネットを通じた情報提供が進んでいることを挙げ、日本において、MRを大量に投入する「情報提供のあり方についての再検討が必要である」と問題提起した。

産業ビジョンの策定は前回は07年で、11年までの5カ年の政策アクションプランを併せて提示していた。今回、策定したのは▽ブロックバスターモデルが終焉▽新薬開発の成功率の低下▽がんや難病などアンメット・メディカル・ニーズ(未充足治療領域)といった市場性の限られる新薬の台頭、ニーズの高まり▽バイオ、再生医療への対応の必要性▽新薬研究開発の大学等との連携の必要性の高まりのバイオといった環境の変化を受けたものだとしている。

それら変化から、「もはや以前のように、規模と対象領域だけでいくつかのタイプに分類することにはなじまない状況にある」として、前回ビジョンで提示した将来の製薬会社のモデル像を示さず、新薬メーカーの役割を記述。革新的新薬の創出の担い手としたうえで、その研究開発の方向性について「ニーズが細分化している中では、あらゆる分野を対象として研究開発するのではなく、対象を絞って、得意分野に注力し、その得意分野で世界をリードするという方向に進むことが望ましい。そして、その得意分野を複数持つということがさらに望ましい方向性である」と指摘。国内市場では収益面に限界があることから「海外市場への進出は必須である」との認識を示した。

また、新薬開発で得た利益を新たな研究開発への投資に充てる仕組みとして導入された新薬創出加算の経緯を挙げて「長期収載品依存の体質からの脱却は必須である」と強調した。

医薬品情報提供のあり方「再検討必要」

ビジョンでは医薬品情報提供活動にも触れた。その中で「欧米の製薬企業では企業のスリム化のためにMRを削減する傾向にあり、ICT(情報通信技術)を利用した医療従事者の情報収集も進んでいることから、我が国でも、情報提供のあり方についての再検討が必要である」と問題提起。さらに接待規制を挙げて「医薬品の情報提供の方法にも変化が生じており、これまでのMRの大量投入によるマーケティングモデルも変革の岐路に立たされている」との見方を示した。

政策面では、基礎研究から臨床試験、承認審査、保険適用に至るまでの医薬品開発の全てのフェーズで切れ目のない支援を行い、実用化に向けた支援、スピードアップに向けて取り組む姿勢を改めて示し、バイオベンチャーの育成、実用への橋渡し研究支援、国際共同治験の環境整備、承認審査体制の強化などをこれまでのメニューを列挙した。

薬価制度についても「イノベーションを適切に評価すると同時に、医療保険財政の持続可能性を確保していくためには、新薬の開発について、リスクとイノベーションに見合う収益が特許期間中に得られ、かつ特許期間及び再審査期間の満了後は、後発医薬品に速やかに置き換わることが重要である。こうした新薬開発を取りまく状況と、長期収載品依存の体質からの脱却に対しては、イノベーションを適切に評価する制度面での検討を行う必要がある」と、従前からの方針を記載した。

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