アステラス 腎性貧血治療薬ASP1517で国内P2開始 新規機序の経口薬
公開日時 2013/08/12 03:50
アステラス製薬はこのほど、米ファイブロジェン社(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)と共同開発している経口投与できる腎性貧血治療薬ASP1517について、日本で透析期の慢性腎疾患に伴う貧血患者を対象にフェーズ2(P2)試験を開始したと発表した。14年12月の終了を計画している。保存期の慢性腎疾患に伴う貧血を対象としたP2も年内に開始する予定。
腎性貧血の治療は現在、エリスロポエチン製剤が標準治療として用いられているが、皮下注製剤であることや、血圧上昇の副作用を伴うなどの課題がある。ASP1517は経口投与可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害剤(HIF-PHI)の新規機序の治療薬で、この機序では開発が最も進んでいる。HIF-PHIは、HIF赤血球形成カスケードを介した幅広いメカニズムで赤血球の形成を誘導し、エリスロポエチンの循環レベルを生理的条件下に抑えたうえで、用量依存的にヘモグロビン値を上昇させる。グローバルで進行中の保存期を対象にしたP3試験では、投与間隔を週1回~複数回で調整するプロトコルとなっている。
透析期が対象の国内P2は、エリスロポエチン製剤のダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ)との比較で120人を登録する予定。
同薬はファイブロジェン社が創製したもの。アステラスは日本、欧州、独立国家共同体、中東、南アフリカでの開発・商業化の独占的ライセンス契約を締結している。今回の国内P2の開始に伴い、アステラスは1250万ドルをファイブロジェン社に支払った。また、開発費も負担する。