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関西労災・林院長 HCV標準療法はシメプレビル含む3剤併用療法に GL年内改訂

公開日時 2013/10/07 03:50

関西労災病院の林紀夫院長は10 月3日、メディアセミナー「C型慢性肝炎治療の変遷と最新治療」(主催:ヤンセンファーマ)で講演した。この中で、C型肝炎ウイルス(HCV)治療薬として9月に承認された第二世代プロテアーゼ阻害薬のシメプレビル(製品名:ソブリアード)について、「C型慢性肝炎の標準治療と位置付けられる」と述べ、治療ガイドラインが年内に改訂されるとの見方を示した。

 

シメプレビルは酵素の1つであるプロテアーゼを阻害することにより、宿主細胞内のHCVの寄生と増殖を抑える直接作用型の抗ウイルス剤。1日1回服用タイプのシメプレビルは▽週1回のPEG-インターフェロン(IFN)皮下投与▽1日2回服用のリバビリン――との3剤併用療法で用いる。このシメプレビル3剤併用療法のトータル治療期間は24週だが、治療開始から12週のみ3剤併用し、残り12週はシメプレビルを除く2剤を投与する。治療効果判定は終了後半年の時点で行い、ウイルス陰性の場合に著効とみなす。

 

未治療患者を対象にした国内フェーズ3試験では、3剤併用療法とシメプレビルをプラセボとした2剤併用療法で比較され、3剤併用療法の著効率は89%、対照群の2剤併用療法は62%だった。白血球数減少や発熱など副作用の発現率は同程度だった。

 

林院長はこの国内P3結果を解説し、特に著効率が89%だった点について、第一世代プロテアーゼ阻害薬テラプレビル(テラビック)を含む3剤併用療法が7割程度だったことを引き合いにしながら、「テラプレビルの登場で著効率が向上したが、シメプレビルでさらに改善された」と評価した。安全性については、テラプレビルで認められた皮膚障害や溶血性貧血など重篤な副作用がシメプレビルでほとんど見られず、また、PEG-IFNとリバビリンの2剤併用療法と同程度であることから、これまで治療を躊躇していた高齢者などにも使いやすい薬剤との考えを示した。実際に、シメプレビルの登場を見越して治療待機を望む患者が増えているという。

 

ただ、林院長はウイルス除去の観点から、テラプレビルで3剤併用療法を開始した症例では途中でシメプレビルへの切り替えを行うべきでないと指摘したほか、治験対象外の70歳以上の患者は安全性が確認されていないことから、「個々の体力差に合わせて慎重に投与して欲しい」と注意を促した。

 

◎新薬開発は「著効率95%」が条件へ

 

現在、C型肝炎の治療については多くの新薬開発プロジェクトが進行中で、新規プロテアーゼ阻害薬のほかにもNS5a阻害薬やNS5bポリメラーゼ阻害薬の治験が行われている。その中にはIFNフリーの経口薬併用レジメンも含まれる。このうち初期治療でのIFNフリー治療レジメンについて林院長は、▽治療失敗時の耐性菌形成▽治療選択肢が狭まる▽IFNを含む治療にみられるがん進展抑制効果が望めない可能性―といった理由から慎重な立場を示した。

 

また、シメプレビルが治験で約9割の著効率を示したことから、林院長は「今後の新薬にはシメプレビルを上回る95%程度の著効率が求められてくるだろう」との見解も述べた。

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