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【World Topics】クロノセラピー(時間治療)で薬効を上げ、副作用を下げる

公開日時 2014/03/17 03:50

治療効果を上げるには薬を「飲むタイミング」が重要。体内時計機能を勘案し、投薬時間を調節するクロノセラピー(時間治療)の考え方に、最近あらためて注目が高まっている。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


遺伝子に組み込まれた体内時計機能の研究は、まだ比較的新しい。だが、近年の研究の蓄積により、さまざまな医薬品について「投与のタイミングによって薬効に違いがある」ことが認められている。


たとえば大腸がんの治療に用いられる抗がん剤 5-Fluorouracil(5-FU) は,細胞がもっとも抗がん剤のダメージを受けやすく、健康な細胞がダメージを受けにくい夜間に投与されるようにプロトコルが書きかえられている。


慢性疾患の治療薬等についても服用が見直されはじめた。たとえば慢性高血圧の患者の場合、薬局で受け取る降圧剤の容器には現在でも「一日一錠服用」という指示しか書かれていないが、実は降圧剤は夕方以降に服用した方がよいト言われ始めている。


というのは、健常者では日中起きている時間帯に高く、就寝中は低くなる血圧が、慢性高血圧患者では、夜間に低下しにくくなるという場合が多いからだ。脳梗塞や脳出血等の発作が明け方に置きやすいのはそのためだが、これを防ぐために就寝前に降圧剤を服用するよう指導する例が増えているのである。


アメリカの例ではないが、英国心臓病協会のガイドラインはコレステロール治療薬スタチン(statin)は就寝直前に服用するようにと推奨している。肝臓のコレステロール生成力は深夜にもっとも高く、朝から午後早めには低くなるからで、就寝前の服用で深夜の生成力を抑制し、治療効果を高めるためだ。


今後、大量の患者データの解析などにより、服用時間で治療効果に違いがあることが明らかになれば、クロノセラピーが急速に普及することは間違いない。2014年に全面施行のオバマケアでは「医療費の支払い償還は、今後、治療(医療サービス)の『量』ではなく、『質』にもとづいて行う」と明言していることも解析の追い風だ。

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