【World Topics】新しい健診項目「患者の参加度」測定
公開日時 2014/04/28 03:50
自分の健康は自分で守る-。これは常識だ。当たり前だと言われそうな一文だが、実は実践するのは案外むずかしい。患者がこのような「自分の健康は自分で守る」という自覚をもっているか、自分で健康管理する自信があるか、そのための知識や方法を身につけているか、さらには実践できているかなどについて、心身のバイタル情報の採取にあわせて、健康診断の一環としてテストし,評価しようという動きがある。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
新しいテスト項目は一般にPatient Activation Measure(PAM:患者の参加度測定)とよばれ、もともとはイギリスで開発されたもの。予防と自己管理を重視するオバマケア元年にあたり、PAMを用いた患者の参加度レベルを健康評価基準に加えていこうという動きがアメリカで活発化している。
米国でよく引用されているのはInsignia社の4段階評価法だ。検査用の質問に応えると患者としての参加度レベル(健康管理に関する自己効力感)が判定される。
レベル評価は以下の4段階。
レベル1:参加を始める
受診・治療・健康管理について受け身。自分でできる自信がない。
レベル2:学習して自信をつける
自分の健康管理を学び、理解し始めるが、まだ自信はない。
レベル3:行動をおこし始める
とるべき行動は理解。だが、十分なスキルや方法論がなく、自信もない。
レベル4:健康行動を維持する
通常は健康行動をとれるが,ストレスや急病に際しては助けが必要。
平均的な参加度の分布状況は、アメリカの場合、レベル1が10−15%、2が20−25%、3が25−30%、4が20−25%だという。http://www.insigniahealth.com/products/pam.html
アメリカでは健康診断時および初診時に参加度テストを実施する医療機関が増加していると報じられている。しかし、これら医療機関は一般に、評価結果を患者に伝えることはせず、評価はもっぱら医師等の専門職が「患者にあわせた処方」を行うためにのみ活用されている場合が多いとのことである。