武田薬品 DPP-4阻害薬ネシーナ苦戦 糖尿病領域の新薬開発は継続

公開日時 2014/05/09 03:51
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武田薬品の長谷川閑史社長は5月8日、2014年3月期(13年度)決算会見で、「糖尿病領域からexitするかどうかも検討した」と述べ、同社の代名詞でもある糖尿病領域からの撤退を検討したことを明らかにした。昨年末に次期グローバル製品と位置付けていた新規の経口血糖降下薬であるGPR40作動薬の開発を中止し、競争激化している国内糖尿病市場でも苦戦が続いている。同社長の発言は、同市場での今後の戦略を質されたことに対して述べたもの。

 

会見の中で同社は、早期ステージの開発薬の中に経口血糖降下作用に加え体重減少作用も併せ持つ新規化合物を有する点についても触れ、糖尿病・代謝領域での開発を継続していることも明らかにした。長谷川社長はこの領域の市場成長について新興国で著しいとしながらも「革新的新薬のマーケットなのか、ジェネリックのマーケットなのか見極めないといけない」と述べ、市場ニーズを見極めながら慎重に判断していく姿勢を示した。

 

同社は10年に発売したDPP-4阻害薬ネシーナをはじめ、異なる機序の経口血糖降下薬の製品群を有し、市場のトップシェアを目指す方針に変わりはない。ただ、ネシーナ単剤では発売4年目で売上が前年度を下回った。配合剤を含むネシーナファミリーでの合計売上は0.6%増と横ばいをキープしたが、薬価改定年ではない年の業績としては物足りない結果だった。14年度も、新規の経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬の登場や市場拡大再算定による約10%の薬価マイナス改定によって、ネシーナファミリーで15億円の減収を見込むなど厳しい状況が続く。一方、3月にDPP-4阻害薬週1回製剤でファーストインクラスとなる見込みのトレラグリプチンを承認申請している。

 

こうした状況について岩﨑真人・医薬営業本部長は、「糖尿病に対するアンメットメディカルニーズはまだ高く、今までのように血糖をただ下げるだけでいいという薬剤ではニーズに応えることはできない。ひとつ興味深いことは、軽症患者でかつ潜在的には心血管イベントのリスクを多く持っている方がいること」との認識を示し、ネシーナファミリーや週1回タイプのトレラグリプチンの市場での位置付けやポテンシャルの検討を深めるとした。特にトレラグリプチンは軽症かつ潜在的な心血管イベントリスクを持つ患者に適する可能性が高いとの見方も示した。

 

◎疾患領域担当MR制 1コールあたりのインパクトを強化

 

同社はこの4月から疾患領域担当MR制を導入した。循環器・糖尿病・代謝性疾患を担当する「CVM」と消化器・中枢・泌尿器・骨・免疫疾患を担当する「RS(ライジングスター)」に大きく分けて情報提供している。岩崎氏は体制変更の理由について、医師などの顧客がより専門的な情報を求める傾向にあるとして、「より効率的なディテールを行い、1コールあたりのインパクトが増すことを考えた」と、そのねらいを述べた。ただ、同社の全MRが引き続き全ての疾患領域・製品の教育を受け、医師らのニーズに応じて全製品の情報提供も行っていくことから、担当製品以外の情報提供は行わない事業部制に基づく専門MRとの違いも強調した。

 

◎国内医療用医薬品売上高1.0%減 ブロプレスなど主力品の減収で

 

同社の国内医療用医薬品の13年度売上高は5821億円で前年度比1.0%減だった。ブロプレスやタケプロン、リュープリンなど主力品の落ち込みをアジルバやネシーナの新製品群が吸収できなかった。アジルバは売上253億円と伸長したものの、期初計画の320億円からは下回った。4月の薬価改定で薬価を維持する新薬創出加算が適用されたことから14年度は465億円を計画する。ただ、ARBブロプレスは薬価改定影響やジェネリック医薬品の登場もあることから、配合剤を含むブロプレスファミリーで1000億円を下回る計画を立てた。なお、14年度の国内売上は薬価改定影響などで13年度並みかそれを下回ることを見込んでいる。

 

14年度はトレラグリプチンのほか、タケプロン後継品と目されるボノプラザンやHibワクチンなどの承認取得を目指すほか、リュープリン6カ月製剤の申請を予定する。

 

【13年度連結業績(前年同期比) 14年度通期予想】 国際会計基準(IFRS)
売上高  1兆6916億8500万円(8.6%増) 1兆7250億円(2.0%増)
営業利益  1392億7400万円(114.3%増) 1500億円(7.7%増)
税引前利益 1588億5100万円(19.4%増) 1400億円(11.9%減)

 

【13年度国内売上高(前年度実績)14年度予想、億円】
ブロプレス※  1258(1340)980
タケプロン※  676(691)600
リュープリン  645(660)585
エンブレル  454(432)非開示
ネシーナ※  380(378)365
アジルバ  253(34)465
ベクティビックス  194(188)185
ベイスン  161(193)135
アクトス  155(191)130
レミニール  123(84)非開示
ベネット  116(133)95
ロゼレム  60 (45)80
ロトリガ  52 (11)120
アドセトリス   -(-) 5

14年度予想は、アライアンス先の開示方針により一部非開示
※配合剤などを含む

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