米ファイザーは、5月26日、英アストラゼネカ（AZ）の買収を断念するとの声明を発表した。

ファイザーは5月18日、総額690億ポンド（11兆7300億円、1ポンド＝170円換算）に上る買収最終案を提示、翌19日にAZは同案を拒否した。英国の企業買収関連法規で定められる今回の買収提案が有効な5月26日までのファイザーの対応が注目されていたが、「AZの取締役会の反対を受け、買収オファーは行わない」ことを明らかにした。

ファイザーのIan Read会長兼CEOは、「我々の最終提案は、我々が入手できるすべての情報に基づき、AZの価値を十分に反映したものだと現在も信じている」とし、AZに対し最大限の評価を行ったとした。その上で、「この買収を追究したことは我々の戦略にとって魅力的だったからだ。我々は、患者ニーズを訴求し、株主に対する責任として新規治療法の開発を前進させることに集中する」とコメントしている。

AZもファイザーの声明を受け、同日ただちにLeif Johansson会長のコメントを発表。Johansson会長は、「我々は、ファイザーがもはやAZに対して買収オファーを行わないことを承知している。我々は、すでに独立企業として築いてきた勢いをさらに続けることができるこの機会を歓迎する」と今後もひとつの企業としての継続的な成長への姿勢を示した。その上で、「我々は魅力的な成長展望を持ち、急速に進展するパイプラインを持っている。今後数か月で、我々のビジネスの長期的展望についての自信を裏付ける中核的薬効領域で前向きなニュースを複数出せると見込んでいる」と話し、M&Aは無用だの考えを示唆した。

英国の企業買収関連法規では、今後6か月間は、ファイザーによる買収オファーは不可能になるが、6か月経過すれば、また可能となる。ファイザーにとっては、英国でのファイザーと合併に反対がいかに強いかを見せつけられたことを教訓に今後、どのような戦略をとるかまだ目が離せない。