武田薬品・14年度第2四半期 国内医療用薬売上2.7%減 ブロプレス、リュープリン、タケプロンが影響
公開日時 2014/10/31 03:52
武田薬品は10月30日、2015年3月期(14年度)第2四半期(4~9月)決算を発表し、国内医療用医薬品事業はARBブロプレス、前立腺がん薬リュープリン、消化性潰瘍薬タケプロンの売上上位3製品がそろって2ケタ減収となり、国内医療用医薬品売上は2832億円、前年同期比2.7%減だった。薬価改定や後発医薬品(GE)の市場浸透が減収要因。一方で、2010年以降に発売したARBアジルバやDPP-4阻害薬ネシーナは伸長し、特にアジルバは売上203億円、前年同期比124億円の増収となった。
国内製品の売上をみると、▽ブロプレス(配合剤含む)562億円(前年同期比14.3%減)、▽リュープリン297億円(同12.0%減)、▽タケプロン275億円(同21.9%減)だった。
ブロプレスは14年度通期で950億円を計画しており、上半期の売上から差し引くと、下半期の売上は388億円と前年同期比36%減を想定していることになる。9月にオーソライズドジェネリックが登場し、12月には通常のGEの登場が見込まれており、これらGEの影響とともにアジルバへのシフトを進めた結果、ブロプレスは3割超の減収になるとみて差し支えないだろう。
同社のクリストフ・ウェバー社長(写真)はこの日に開いた決算会見で、国内市場について「ジェネリックの浸透が加速し、薬価も抑制傾向にあり、厳しい環境にある」としたものの、「循環器・代謝領域で揺るぎないポジションを築いている。週1回投与タイプの(DPP-4阻害薬の)トレラグリプチンや消化性潰瘍薬ボノプラザンという大型新薬が申請中の段階にあり、これら日本独自で展開する新製品によって、ジェネリックの浸透による影響を挽回していける」と述べた。
◎連結売上高は2.8%増 6月発売の潰瘍性大腸炎ベドリズマブが好調
ウェーバー社長は会見の中で今後のグローバル戦略に触れ、▽消化器系▽オンコロジー▽中枢神経系▽代謝性・循環器系――の4疾患領域とワクチンビジネスに経営資源を集中させる考えを示した。
消化器系薬については米国、欧州で発売を開始した消化性大腸炎・クローン病の抗体治療薬ベドリズマブ(海外製品名:エンティビオ)が発売後4カ月間で60億円超の売上を記録。ウェーバー社長は、難治性疾患への新しい作用を有する抗体医薬としての市場ニーズの高さを強調し、将来的に20億ドル以上の売上見込みがあるとして期待感を示した。国内では臨床第3相試験を実施中で、2018年の終了予定となっている。ウェーバー社長は「できるだけ早期に提供できるよう、開発を進めていきたい」と述べた。
なお、上半期の連結業績は増収、営業増益だった。米国で多発性骨髄腫治療薬ベルケイドが伸長したほか、新興国における消化性潰瘍薬パントプラゾールが好調で、海外売上が6.4%の増収となった。
【14年度中間期連結業績(前年同期比) 通期予想(前年同期比)】
売上高 8513億5200万円(2.8%増) 1兆7250億円(2.0%増)
営業利益1166億9500万円(6.2%増) 1500億円(7.7%増)
税引前利益 631億5400万円(21.6%減) 1400億円(11.9%減)
【14年度中間期の主要製品国内売上(前年同期実績)通期予想、億円】
ブロプレス※ 562(656)950
リュープリン 297(338)575
タケプロン※ 275(351)540
エンブレル 204(225)非開示
アジルバ※ 203(80)490
ネシーナ※ 196(179)395
ベクティビックス 92(96)185
レミニール 64(57)非開示
ベイスン 60(86)125
アクトス 58(83)110
ベネット 53(60)95
ロトリガ 50 (18)120
ロゼレム 32 (28)80
通期予想は、アライアンス先の開示方針により一部非開示
※配合剤などを含む