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日薬連薬価研・加茂谷委員長「次期改定で新薬創出加算制度化実現を」 エッセンシャルドラッグのルール化提案へ

公開日時 2015/06/15 03:51

日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会(薬価研)の加茂谷佳明委員長(塩野義製薬常務執行役員)は6月12日、都内で会見し、次期薬価制度改革に向け、現行ルールでの新薬創出加算の制度化実現に注力する姿勢を改めて示した。厚労省が後発医薬品(GE)の数量シェア目標80%達成に向けて策定する総合戦略の柱の一つである、臨床上の有用性の評価が定まっている使い慣れた基礎的医薬品、いわゆる“エッセンシャルドラッグ”の安定供給については、「エビデンスを含め、具体的な解消法等々は、提案していく必要性があるのだろうと強く認識している」と述べた。対象品目については、個別の領域や品目によらない議論を進める考え。医薬品マーケットを踏まえ薬価収載からの期間を軸に要件を追加するなど、ルール化に向けた検討を進める。


後発品への置き換えが進まない先発品の特例引き下げ(Z2)の導入やGEの価格帯集約化などがあった2014年度の薬価改正について加茂谷委員長は、「1978年度の銘柄別収載方式の導入、92年度のバルクライン方式からの薬価算定ルールの変更に匹敵するドラスティックな改定だった」と振り返った。その上で、「引き続き強烈なアゲインストの風邪が吹いているが、業界一枚岩となって対処していきたい」と意気込みを述べた。


◎新薬創出加算 “原資を新薬創出に投資”エビデンス提示で理解求める


現在、薬価研として取り組むべき最重要項目としては、新薬創出加算を“試行的導入”から制度化へと格上げすることをあげた。試行的導入の目的とされた、未承認薬や適応外薬などのドラッグ・ラグは、「業界が真摯に対応してきた」(加茂谷委員長)結果として解消されつつある。こうした中にあって、新薬創出加算の導入は、革新的新薬の創出がもうひとつの目的であると説明。製薬メーカーの新薬創出意欲を削がないためにも、特許期間中の薬価を維持することで、「GEが出てくればGEにマーケットを委ねる。その代わり、特許期間中に、開発原資をきちっと回収できる」ことが重要との考えを示した。


一方で、業界として、新薬創出加算導入が革新的新薬創出に寄与することを明確に示すことの必要性も強調。「新薬創出加算により獲得した原資が、営業経費や内部留保に回っているのではなく、革新的新薬創出のために投資されているというエビデンス作りは最低限必要だと考えている」と述べた。具体的には、厚労省側から開発要請を受けた未承認薬・適応外薬や革新的新薬の開発状況などの調査を実施する考えだ。


「乖離率が市場全体の平均乖離率以内」とする現行ルールについて中医協の支払い側委員や財務省などから懸念が示されている点についても触れ、「市場で安売りしているものまで救ってくれというのはいかがなものか。市場乖離率が対象加算の第一次課題ではないという認識」と説明。特許期間中に得られた収益を研究開発に投資する新薬創出加算のコンセプトと照らし合わせて考えれば、薬価収載時の補正加算とは考え方が根本的に異なるとの考えを示し、本来のコンセプトの理解を中医協の場でも改めて主張する考えも示した。


薬価上のイノベーションの評価としてはそのほか、2014年度改正で、国内で最初に承認を取得した医薬品を対象とした先駆導入加算が導入された。ただ、2014年度に加算を取得した品目はない。この理由として、画期性加算または有用性加算Ⅰの適用が条件となっており、企業の予見性の観点から、条件の緩和も求めた。


一方、GEへの置き換えが進まない先発品の特例引き下げ、いわゆる“Z2”については、業界側が「GEへの置き換えを阻害しているわけではない」との見解を表明。規格が異なるなど「現実的、明確な理由なりがあるのであれば、Z2への見直しが必要だと言っていく必要があるのではないかと思う」と述べた。また、現在最も厳しい調整幅(R幅)2%については、「調整幅2%を上限とした引下げであれば、ギリギリ市場実勢価格を割り込んでの算定ではないと思う」と述べ、調整幅2%を堅守する考えも示した。


◎エッセンシャルドラッグ 品目や領域によらない選択を 局方品の検討も視野



エッセンシャルドラッグの安定供給について加茂谷委員長は、WHOの300品目に及ぶリストを引き合いに、「日本版に置き換えたときに、どういうものがエッセンシャルドラッグに位置付けられるのか。知恵を絞って考えていく必要性がある」との見解を示した。日本薬局方に収載される医薬品(局方品)の検討なども視野に入れる。


その上で、エッセンシャルドラッグの条件としては、「ある程度年月が経っていること」を条件にあげた。医薬品マーケットは、特許期間中、特許が切れてGEと市場競争を繰り広げる期間を経て、第三のステージとも言える維持期に入ると説明。「マーケットでの成熟期を過ぎて維持期に入っても供給継続を求められているところに、さらに条件を付していく」方針を示した。


2011年以降、中医協の場で製薬業界が提案してきた「保険医療上必要性の高い医薬品」について薬価の下支えを求めてきたが、診療側、支払い側から理解が得られなかった経緯を踏まえ、理解を得られるルール作りが必要との考えも表明。対象品目についても、「特定の品目や領域でこれがエッセンシャルだという話は難しい」と強調した。また、安定供給を重視する観点からは、薬価の下支えだけでなく、設備投資に対する優遇策なども一考との考えを示した。


そのほか、毎年薬価改定について事業・研究報告では、「著しく妥当性を欠くものであり、実施すべきではないと考える」とした。消費税増税に伴い、2016年度、17年度、18年度の三年連続薬価改定も予想される。これに対しては、1989年に実施された、薬価調査を実施せずに、過剰転嫁とならないように、薬価基準に0.9を乗じて改定率を算出した方式を例としてあげ、「市場実勢価に基づく薬価引き下げではなく、消費税率の引き上げを適正に薬価に転嫁する方向で検討を行うべき」とした。


 

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