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流改懇・新提言 単品単価の促進、GE使用促進踏まえた流通のあり方改善を GEのリベートは金額ベースも

公開日時 2015/09/02 03:51

厚生労働省の医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(座長=嶋口充輝慶應義塾大学名誉教授)は9月1日、「医療用医薬品の流通改善の促進について」提言(以下、新提言)をとりまとめた。新提言では、後発医薬品(GE)80%目標が掲げられるなど、流通を取り巻く環境が大きく変化する中で、①単品単価のさらなる促進、②後発医薬品(GE)のさらなる使用促進踏まえた流通のあり方、③市場の変化や社会的要請に対応する流通のあり方—を柱に、改善に向けた取り組みを要請している。GEについては、流通量が増加することから「少なくとも2017年度央までに流通の混乱を避けるための措置が必要」と指摘。具体的には、新バーコード表示の必須化やリベート体系を現在の率ベースを見直し、金額ベースでの形態について検討することの必要性を明記した。また、医療費削減の観点から、いわゆる規格揃えについても、使用頻度の少ない非汎用規格については、他メーカーと補完するなど、現行ルールの見直しも盛り込んだ。


提言が出されるのは、一次売差マイナスの改善、長期にわたる未妥結・仮納入の改善、総価契約の改善について取引当事者が留意すべき事項として取りまとめた2007年の緊急提言以来のこととなる。新提言は、創薬にかかわるイノベーションの推進、後発医薬品(GE)80%目標の提示、2014年度診療報酬改定での未妥結減算の導入など、医療用医薬品流通を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中で、今後10年間を見据え、流通改善を促し、持続可能な流通体制を構築するための施策を取りまとめた。


GEをめぐっては、流通量が医療用医薬品の半数を占めることを見通し、特に流通への影響が大きいと指摘。「変動情報を含んだ新バーコード表示の必須化、在庫管理や配送コストのあり方の早急な対応など、流通当事者が共通認識をもって取り組むことが重要」とした。安定供給の観点から、頻回配送や急配を解消し、通常の配送回数を超えない適正な在庫管理も求めた。また、不良医薬品等の回収を行う上でトレーサビリティーが重要と指摘。変動情報を含んだ新バーコード表示を行った上で、最終的にはすべての医薬品に対する強制力のある措置に基づく必須表示とすることも求めた。そのほか、地域での医療機関と保険薬局との連携による汎用医薬品のリスト作成と共有化、一般名処方の推進などの施策を進める必要性を強調した。


医療費削減の観点から現行ルールの見直しの必要性も指摘。現在、先発医薬品が揃えている規格はGEでもすべての規格を収載する、いわゆる“規格揃え”が必須となっているが、医療現場で使用頻度の少ない非汎用規格については、他メーカーと規格を補完できる規格揃えを認めることを提言。収載数減少も見込め、検討に値するとした。また、先発品と同じ適応症がとれないケースがあることが指摘される中で、こうした問題を解消するための措置を検討することも検討に値するとした。


GE80%目標が示される中で、卸にとっては、収益の柱だった長期収載品のアローアンスなどが減少する中で、先発医薬品のような率ベースのリベート体系ではなく、「メーカーと卸との間で金額ベースの形態について検討する必要がある」ことも明記した。この際、フランスにおける薬局マージンの算定方法の違いなども参考にすることも盛り込まれた。



◎未妥結減算 妥結率と単品単価取引の状況踏まえたあり方検討を


GE80%目標が示される一方で、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)でも、成長戦略に資するイノベーションの推進が盛り込まれている。こうした中で、発売後の継続的な評価としては新薬創出加算が市場での薬価からの市場実勢価格の乖離率に基づいていることなどから「流通過程での市場実勢価格が唯一の指標となる」とし、「個々の医薬品の単品単価取引がきわめて重要」とした。特に、搬送・保管に高度な品質管理が要求されるバイオ医薬品やウルトラオーファンなどの高額医薬品が増加している中で、単品単価の重要性は高まっているとした。


単品単価取引の推進に向けた施策としては、覚書締結の促進や、いわゆる未妥結減算制度導入による市場取引や価格形成への影響を評価した上で、「診療報酬制度も含め、単品単価取引等の適切な価格形成やコスト負担に対する流通当事者の取り組みへの評価のあり方についても検討に価する」とした。

2014年度診療報酬改定で未妥結減算が導入されたが、すべての流通当事者が納得できる適正な市場実勢価格を形成するためには、「十分な交渉時間を確保する必要がある」と説明。早期妥結に向けてなんらかの強制力をもってすすめることは、「市場実勢価格を適切に把握できなくなるばかりか、医薬品本来の価値を歪め、部分妥結や総価取引を助長し、流通改善に逆行する恐れがある」と指摘した。その上で、未妥結減算制度のあり方については、「妥結率と単品単価取引の状況を踏まえて検討が行われることが望まれる」とした。


◎基礎的医薬品「議論を始める時期ではないか」 流通コスト含んだ適正価格で取引を



臨床上必要性が高く将来にわたり継続的に製造販売されることが求められる基礎的医薬品については、定薬価となり安定供給が困難になっているものも存在するとした。「必要な流通コストが含まれた適正な価格により医療用医薬品が取引されることは、市場実勢価格に基づく薬価改定を実施している現行薬価制度において、単品単価と並ぶ非常に重要なものであり、これからも積極的に取り組むべき課題」と指摘した。その上で、「個々の医薬品の医療上の必要性を踏まえた継続的な安定供給に資するという観点からこれらの基礎的医薬品の取り扱いについても議論を始める時期ではないか」とした。なお、医薬品流通は薬価制度の影響が大きいことも指摘し、流通上の必要性を踏まえた中医協での議論も求めた。
 

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