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武田薬品・15年度業績 国内医療用薬3.5%減収 ブロプレスGE影響大きく アジルバが売上トップ製品

公開日時 2016/05/11 03:52

武田薬品は5月10日、2016年3月期(15年度)決算を発表し、国内医療用医薬品売上は5417億円、前期比3.5%減だった。降圧薬アジルバなど新薬群が伸長したものの、降圧薬ブロプレスが後発品(GE)の急速な市場浸透により、配合剤売上を含めて前期比38.1%減、金額ベースで361億円の減収となったことが大きく響いた。

同社の国内医療用薬売上は11年度の5922億円をピークに4年連続のマイナス成長となる。これまで国内事業を支えた大型品の特許切れ影響を新薬群で吸収できない状況が続いている。

15年度の国内製品売上をみると、アジルバ(配合剤含む)が590億円(前期比30.1%増)で国内売上トップ製品となった。長く売上トップ製品の地位にあったブロプレスは14年9月以降にオーソライズド・ジェネリックやGEが相次ぎ登場し、15年度は売上585億円だった。このほか新薬群では高脂血症用薬ロトリガが223億円(69.0%増)、15年2月発売の抗潰瘍薬タケキャブが84億円(161.0%増)と成長。一方で、長期収載品はブロプレス、タケプロン、糖尿病薬ベイスン、同アクトスが各20~30%超の減収だった。

クリストフ・ウェバー社長は同日、東京本社で開いた決算会見で、15年度の国内医療用薬事業について、「特にブロプレスのGE影響が大きかった」と振り返った。ただ、タケキャブや週1回DPP-4阻害薬ザファテックが14日投与日数制限の期間だったことから、「フルポテンシャルではなかった」とも指摘し、タケキャブ、ザファテックの16年度の急成長に期待感を示した。

■ウェバー社長「リーディングカンパニーとは売上規模だけでない」

武田薬品は16年4月に、長期収載品30成分をテバ社とのGEと長期収載品を扱う合弁事業に移管した。合弁事業により、武田薬品はGE及び長期収載品の利益の半分や流通マージンを受け取る。

この日の公表資料によると、この30成分の15年度売上は計817億円。ちなみに13年度は計1736億円、14年度は計1263億円で、15年度は13年度比で53%減となる。

ウェバー社長は、「長期収載品の資産価値がかなり急速に減少している」との認識を示した。その上で合弁事業は、「資産がかなり低いレベルにまでいくことを待たずに、GEの世界的リーダーであるテバ社との合弁事業に移管して、合弁事業の49%の株式を得るもの」と述べ、資産価値の残っている長期収載品を活用して、GEを含む利益の半分を武田薬品が得る仕組みだと説明した。テバにとっても▽武田の流通網が使える▽タケダMRが持つ病院市場などの情報を共有できる――といったメリットがあり、ウェバー社長は「両社にとってWin-Win」と語った。

武田薬品にとっては中長期的な利益面への貢献が見込めるものの、16年度は、移管製品の売上がそのまま武田薬品の国内医療用薬売上の目減りにつながる。結果として国内売上トップの座を他社に明け渡す可能性がある。

この点についてウェバー社長は、「タケダがリーディングカンパニーとして日本で存在していくことにコミットしているが、リーディングカンパニーとは売上規模だけではない。いろいろな要素がある」と述べ、リーディングカンパニーの指標として顧客満足度、研究内容、パートナーシップ、時価総額を挙げた。

国内医療用薬事業のトップを務める岩﨑真人取締役も会見で、「(売上の)順位が大切かと言えば大切」と語ったものの、「売上規模だけがリーディングカンパニーのポジションだとは思っていない」と強調した。そして、アジルバ、タケキャブ、ロトリガなどの新薬群や今後毎年上市していく新薬を「確実に伸ばしていくという観点で、リーディングポジションをとっていきたい」と話した。タケダMRを新薬ビジネスに集中させ、新薬をしっかり市場に定着させることで顧客の評価を得て、存在感を示していく考えを示した格好だ。

■潰瘍性大腸炎・クローン病薬エンティビオ 18年度に売上20億ドル達成に自信

武田薬品の15年度の連結売上は1兆8073億円(前期比1.7%増)だった。14年6月に欧米で販売を始めた潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬エンティビオや日本のアジルバなどの好調が増収要因。エンティビオの15年度売上は862億円。同剤は国際戦略製品のひとつで、18年度中の売上20億ドル超を目標にしている。ウェバー社長は15年度実績から「順調に進捗している」と述べ、その達成に自信を見せた。

ウェバー体制では消化器系疾患、がん、CNS系疾患、新興国事業を成長ドライバーに位置づけている。特に消化器系疾患はエンティビオによって売上2977億円(23.6%増)と成長著しい。これら4つの成長ドライバーの売上合計は連結売上の52%を占め、前期比9.5%の成長を果たした。

16年度計画は売上1兆7200億円(4.8%減)、営業利益1350億円(3.2%増)、純利益880億円(9.8%増)と減収増益を見込む。減収の理由は、円高影響や日本での長期収載品の移管など事業再構築によるもの。増益は長期収載品の移管による譲渡益や利益が計上されることが大きい。

【15年度連結業績 (前年同期比)16年度予想(前年同期比)】 
売上高  1兆8073億7800万円 (1.7%増) 1兆7200億円(4.8%減)
営業利益  1308億2800万円 (-) 1350億円(3.2%増)
純利益  801億6600万円 (-) 880億円(9.8%増)
*純利益は親会社所有者帰属の数値 

【15年度のグローバル主要製品全世界売上高(前年同期実績) 16年度見込、億円】
ベルケイド 1620(1527)20~30%減
リュープロレリン(国内製品名:リュープリン) 1244(1240)10~20%減
パントプラゾール 1008(1037)10~20%減
ランソプラゾール(同タケプロン) 895(1029)30%超の減
エンティビオ 862(278)30%超の増
カンデサルタン(同ブロプレス) 848(1257)30%超の減
デクスラント751(623)±10%以内
アジルバ 590(454)±10%以内
ネシーナ 489(443)±10%以内
コルクリス 465(588)±10%以内
ユーロリック 425(332)±10%以内
アミティーザ 373(320)±10%以内
アドセトリス 276(229)±10%以内
ブリンテリックス 245(136)30%超の増
タケキャブ 84(32)30%超の増
ニンラーロ 40(-)30%超の増

【15年度の国内主要製品売上高(前年同期実績)、億円】
アジルバ※590(454)
ブロプレス※585(946)
リュープリン538(576)
タケプロン※413(525)
エンブレル408(412)
ネシーナ※369(384)
ロトリガ223(132)
ベクティビックス184(183)
レミニール160(139)
ベネット97(104)
ベイスン87(112)
アクトス※85(108)
タケキャブ84(32)
ロゼレム74(66)
アドセトリス31(28)
※配合剤などを含む
*通期予想は非開示

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