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米FDA オピオイド依存症治療埋込み薬を承認

公開日時 2016/05/31 03:50

米食品医薬品局(FDA)は5月26日、オピオイド依存症維持療法薬で初の皮下埋め込み型製剤となるProbuphine(ブプレノルフィン)を承認した。同剤は、オピオイド依存症を治療する目的で使用され、舌下錠や口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠などの剤型があったが、新たな剤型となる。米Titan Pharmaceuticals社(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)および米Braeburn Pharmaceuticals社(本社:ニュージャージー州プリンストン)が販売する。


同剤は、ブプレノルフィンの他剤型を低もしくは中等用量を安定的に服用している患者向けに、6ヶ月間ブプレノルフィンを低用量供給するよう設計されている。既存の舌下錠や口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠などの剤型があったが、有効性は示されているものの、紛失や飲み忘れ、盗難などのリスクがあることが指摘されていた。


新たな剤型である埋め込み型製剤は、全長1インチの小さな棒状のもの4本で成り立ち、上腕内側の皮下に埋め込むため、このような懸念は解消される。埋め込みには、切開、除去の技術を要するために医師に特別の訓練が求められ、訓練を終了しない限り、同剤の埋め込みはできない。また、同剤は副作用監視制度の一環であるREMS(リスク評価緩和戦略)の対象となっている。


また、FDAは、当該製薬企業に対して同剤の安全性確立と埋め込みを新規治療コースと位置付けるための可能性を確認するために市販後調査の実施を求めている。


FDAのRobert Califf長官は、「オピオイドの乱用と依存は全米の家族に壊滅的な打撃を与えてきた」とオピオイド乱用が社会問題化している現状を指摘。その上で、「我々は、患者が自分たちの生活を取り戻せるように新たな画期的な治療選択肢を提供できるように何でも行わなければならない」とFDAの決意を示した。さらに、「今日の承認は、患者がすべてを回復しようという計画の一環として行う維持療法を支援する初の埋め込み治療選択肢を提供することになる」と同剤の登場を歓迎した。


新薬承認にFDA長官自身がコメントを述べることは異例で、オピオイド乱用が米国社会にとっていかに深刻な問題かを浮き彫りにしたものといえる。

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