バイエル薬品は６月29日、血友病A治療薬コバールトリイ静注用250、同500、同1000、同2000、同3000（オクトコグ ベータ（遺伝子組換え））を同日に新発売したと発表した。独バイエルが開発し、日本で20年以上の実績を持つコージネイトと同じアミノ酸配列を有する非修飾、完全長の遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤。同社はコバールトリイをコージネイトの後継品に位置付けている。

コバールトリイの臨床試験では、週２回または週３回投与による定期補充療法で、血友病A患者の出血抑制効果が確認された。コージネイトを含む既存薬による定期補充療法は、週３回または隔日での投与が推奨されている。週２回投与も可能なコバールトリイは、患者の出血傾向やスポーツなどの生活スタイルに応じて柔軟な治療選択肢を提供できる薬剤となる。

荻窪病院理事長で血液科部長の花房秀次氏は、「血友病は、出血傾向や活性レベルの推移など薬物動態の個人差が大きく、生活における活動性も加味しながら個々に応じた投与量・投与頻度で定期補充療法を実施する必要がある」と指摘。その上で、「コバールトリイは週２回投与または週３回投与の定期補充療法のエビデンスをもち、個々に応じた止血管理を目指す個別化治療に適した製剤」とし、血友病患者のQOL向上に貢献することに期待感を示した。

既存薬のコージネイトは生産培養工程において、アルブミン及びグロブリンを含有するヒト血漿タンパク質溶液を使うが、コバールトリイはこの溶液を使わないで生産できるようにしたもの。これにより安全性を高める。

【訂　正】
下線部に誤りがありました。訂正します。（７月４日14時30分）