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EFPIA・ブルン会長 “アウトカム”ベースの薬価制度にシフト RWD活用に産業界も協力を表明

公開日時 2016/10/06 03:52

EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanのカーステン・ブルン会長(バイエルヘルスケア日本代表兼バイエル薬品代表取締役社長)は10月5日の記者会見で、実臨床情報などリアルワールドデータ(RWD)の活用により、日本の薬価制度もアウトカムを重視した医療システムに変化すべきと強調した。電子カルテやレセプトなどの集積で得られた医療ビッグデータの活用により、アウトカムを評価し、無駄を省き価値を高める医療を実現させたい考え。政府や医療者、患者などステークホルダーとパートナーシップを構築し、欧州での経験やアイデアを共有することで、日本の有する国民皆保険に合致した薬価制度、医療システムにすべきとの考えを示した。また、データの利活用のためには、患者や製薬業界を含めたステークホルダーからの賛同が不可欠であることも指摘した。


日欧ともに、高齢化が進展する中で、医療の効率化を進めることが重視されている。こうした中で、RWDの活用などで医療の質向上と、効率化が推進されることに期待がかかっている。


同日の会見で講演したEFPIAのステファン・オシュマン副会長(独メルク経営執行委員会会長兼CEO)は、「デジタルヘルスケア時代の新たな幕開けだ」と指摘。アプリやウエブサイトなどにとどまらず、「より良い治療アウトカムにつながっていく。支払側にとっても低いコストですむ」と強調し、持続可能な医療の実現に不可欠であるとの見方を示した。


それと同時に、新薬開発などの観点からみれば、RWDの活用はイノベーションを成功させる鍵でもあると指摘した。実際、抗がん剤などでは、ゲノムデータを活用したバイオマーカーの特定や、患者をパターン化することなどで、米国で進められるプレシジョン・メディシンとも言うべき最適使用の推進も行われている。患者にとっては、有効性が担保される一方で、支払側にとっても無駄なコストを省くことが可能になる。


また、製薬業界にとっては、医療ICTなどのインフラが整備されることで、患者レジストリーに基づくランダム化試験の実施や、安全性の観点からの継続的なモニタリングなども実現可能になる。日本の先駆け審査制度に当たるアダプティブ・パスウエイにより、アンメットメディカルニーズを有する患者に有望な医薬品を届けることも可能になる。治験だけでは実臨床下での有効性・安全性が十分わからない中で、患者レジストリーを通じて得たRWDを活用することで、実臨床下での安全性・有効性を構築するとともに、最も奏功する患者を特定することも視野に入る。



◎数値やアウトカムに基づいた償還スキーム“MEA”も浸透


さらに、もう一つのポイントが、アウトカムに基づく償還スキームの構築だ。高額薬剤の登場で、一部新薬は、HTA(費用対効果)や薬価算定、償還モデルが障壁となり、結果として新薬へのアクセスが阻害されているケースもある。こうした中で、数値やアウトカムに基づき、支払側と企業が合意することで償還されるマネージド・エントリー合意(MEA)の取り組みも欧州では進んでいる。


オシュマン副会長は、オンラインでの論文検索が進むなど社会的にITが浸透する中で、「データに基づいた医療が確立していかなければならない」と指摘した。一般情報保護規則の法整備も必須になるが、「規制が厳しくなりすぎると、重要な分野で欧州がリーダーシップを取れない」と説明。ゲノムデータの取り扱いなどをEU内で統一するなど環境整備を進めることで、価値を最大化できるとの考えを示した。そのためには、「医療データの価値を説得するストーリーを語る」ことの必要性を強調。発言と行動で患者や医療者など他のステークホルダーからの信頼を得て、共にアイデアを生み出す、真のパートナーシップを構築することが重要との考えを示した。
 

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