米FDA STS治療薬Lartruvoを加速承認
公開日時 2016/10/26 03:50
米食品医薬品局品(FDA)は10月19日、成人における軟部組織肉腫(STS)治療薬Lartruvo(一般名:オララツマブ)注射剤10mg/mLについて、化学療法剤ドキソルビシンとの併用で加速承認(accelerated approval)した。
適応は、放射線治療不可能あるいは切除不能なSTS、および化学療法剤アントラサイクリン系薬剤が適さない場合のSTSである。同剤は、血小板由来成長因子(PDGF)受容体α阻害剤。
同剤は、STSが重篤かつ生命を脅かす疾患であり、初期臨床試験のエビデンスで有効性において既存療法よりも有意に改善を示したため、迅速審査、画期的治療薬(BTD)、優先審査の指定を受けた。重篤かつ生命を脅かす疾患の場合、FDAが、臨床ベネフィットが見込まれるとして、サロゲートエンドポイントの達成を示すデータに基づき、承認する加速承認の対象とされたため、リリー社は現在、さらに有効性を確認するために大規模な臨床試験を実施している。
米イーライリリー社(本社:インディアナ州インディアナポリス)が発売する。リリー社オンコロジー事業部のRichard Gaynor上級副社長(製品開発・医事担当)は「Lartruvoの承認は、我々の励みとなった良好な臨床試験の結果に基づいた」と話し、さらに、「今後も、我々は、希少がんを含む、新たながん治療法の発見に取り組み続ける」と意欲を示した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「STSの患者にとって、Lartruvoは、ドキソルビシンに加え、新たな治療オプションを提供する」と述べたうえで、「本剤は、ドキソルビシンが承認されて以来、STSの第一選択薬として40年ぶりの新たな治療薬になる」と同剤の登場を歓迎した。
米国立がん研究所(NCI)によると、2016年には、新規に1万2310人がSTSと診断され、約5000人が死亡すると想定されている。STSの標準治療はドキソルビシン単剤あるいは同剤と多剤の併用である。STSは、筋肉、脂肪、血管、神経、腱など様々な部位に腫瘍が発生する。