地域包括ケア「見える化」システム

公開日時 2016/11/30 00:00
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在宅医療・介護連携の現状と未来

 

厚生労働省が地域包括ケアシステムの構築に向けて、全国・都道府県・二次医療圏・老人福祉圏域・市町村・日常生活圏域別の特徴や課題、取組等を客観的かつ容易に把握できるように、介護・医療関連情報を、国民も含めて広く共有(「見える化」)するためのシステムの構築等を推進している(http://mieruka.mhlw.go.jp/)。今回は老健局老人保健課 課長補佐 石井 洋介氏と対談を行った。

 

石井 洋介 (医師)氏
厚生労働省 
老健局老人保健課 課長補佐
佐藤 正晃 氏
マルチチャネル3.0
研究所 主宰

 

 

マルチチャネル3.0研究所とは:(MC3.0研究所)
「地域医療における製薬会社の役割の定義と活動スタイルを定義することを目的にして、製薬 企業の新たなる事業モデルを構築し地域社会並びに患者や医師をはじめとする医療関係者へのタッチポイント増大に向けたMRを中心とするマルチチャネル活用 の検討と実践を行う研究機関」である。設立2015年4月主宰 佐藤正晃(一般社団法人医療産業イノベーション機構 主任研究員)

 

 

佐藤 最初に医療介護情報の見える化を推進する背景についてお願いできますか。

 

石井 例え話をします、穴が空いて水が入ってきたボートがあったとします。その対策として例えば漕ぐ人数を増やしスピードを上げて早く岸まで戻るとか、最新鋭のハイテクのオールを導入しよう等その場しのぎのソリューションで処置をする事はままあります。しかし重要なのはその場しのぎの対応策ではなく、穴が空いているという課題を俯瞰的に指摘し修復する事でありますし、そのような全体最適の視点を持つことが重要であると考えています。医療や介護の問題に置き換えても同じことが言えますよね。短期的な問題解決ではなく、これからの少子高齢化の課題をしっかりとらえ施策を進めることが本質的な課題解決につながると思います。2000年から介護保険制度はスタートしました。現在は、地域毎に人口構造や高齢化率に差が生じてきているため、地域の人口特性等を考慮した計画として、地域包括ケアシステムや、これを推進するため地域医療構想がスタートしています。

 

また、高齢化が進み死亡者数が増えていく中、終末期を安心して在宅で迎える地域での受け入れを推進するために、医療と介護の連携が重要であるとされております。このような地域にとっての全体最適を目指した施策はいずれも長期的な医療介護資源の配置を行う視点に基づき進められています。

 

 

介護保険の地域支援事業の推進と見える化システム

 

石井 在宅医療・介護連携推進事業としては、幾つかの施策を市区町村が中心となって進めているところです。今回のテーマである、地域包括ケア「見える化」システムでは、地域の課題抽出と介護資源の把握を補助するものです。様々なデータを加工し、見える化することで、自治体職員だけでなく、医療介護事業者や国民にも同一の情報提供を可能としていることが特徴の一つです。

 

佐藤 具体的な地域包括ケア「見える化」システムの機能を教えてもらえますか?

 

石井 地域包括ケア「見える化」システムは、都道府県・市町村における計画策定・実行を支えるために「介護・医療の現状分析・課題抽出支援」「課題解決のための取組事例の共有・施策検討支援」「介護サービス見込み量等の将来推計支援」「介護・医療関連計画の実行管理支援」の機能を提供しています。これらは、地域包括ケアを推進するための PDCAサイクルの指標としても有効であると考えております。例えば、現状分析機能をみると、高齢化率の可視化、介護資源の可視化、年齢調整をした要介護度別の認定率やサービス別の1人当たり給付費などから統計的視点から地域間比較が行えます。また施策の検討支援として、他地域の具体的な成功や取組事例がポータル化されており、地域包括ケアの集合知ポータルとして活用が可能となっています。

 

自治体職員が施策を検討する以外にも、例えばMSW(医療ソーシャルワーカー)の方が紹介先の介護施設を探すときに、これまでの経験知に加え周辺の機関の状況も気軽に入手するような使い方も可能ではないでしょうか。

 

佐藤 地域包括ケアのデータの連携は進んできているのですか?

 

石井 ICT連携という意味では、地域医療ネットワークを構築している地域が増えてきており、地域内での情報共有は進んできていると感じています。個人的には、より質の高い医療を提供するためには、データのサイロ化を無くし使いやすい形でデータを連携していく事が必要であると考えていますが、その為には制度面の問題や技術面の問題等の議論が必要になってきます。本システムや地域医療ネットワークもふくめ、データを揃え共有する取組を行っているところでありますが、これからは、揃えたデータを有効活用し、地域全体を見渡す全体最適の視点を持つことが必要です。まずは本システムを活用し、地域の現状分析と課題抽出からはじめてもらえればと思います。

 

佐藤 現在政府で様々なデータを活用し医療ICTを推進する取り組みが進められているが、クリティカルサクセスファクターは何だと思いますか?

 

石井 データ整備だけで医療介護の連携や質が向上する訳ではないので、個人的には全体最適の視点を持ったマネジメント人材の増加と、現場のコミュニケーション強化が重要だと思います。そのための素材として、自分達の地域の現状がどうなっていて、どんな課題があるのか分析をする。その上で、地域全体として連携や質をどう高めていくかという議論になるといいですね。この辺りの温度差を揃え、共通認識をつくるためにも、本システム利用による情報共有は有効だと思います。

 

 

民間企業のビックデータの活用

 

佐藤 地位包括ケア時代の中で製薬企業の活動に期待することはどの様なことでしょうか?

 

石井 地域での情報の橋渡しをMR が実践する等、これまで以上に地域医療の情報ソースとして活動する事、より幅広い活動が重要になると思います。これからは、行政職員や医療従事者だけではなく地域医療全体の取組を企業も理解することが必要だと思います。本システム等を活用し是非とも積極的に地域に携わる活動を行って頂ければと思いますね。
私自身、医師として様々な現場を経験しましたが、行政業務に携わる事で医療現場だけでは気づかなかった様々な課題に気づくことが出来ました。これからも医療の現場を良くするためにマクロな視点とミクロな視点を持ちながら活動していきたいと思っています。

 

佐藤 国のデータオープン化が進むにあたって企業サイトもデータ活用のスキルが必要と感じました。国会会期中にもかかわらずお忙しい時間を縫ってインタビューありがとうございました。

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