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中外製薬 東京第二支店 東京第二がん専門二室 歌川 毅 氏

公開日時 2018/02/28 00:00

ベストを尽くす医師の想いを共有

医師の話を聴きたい!がMR活動を変える

 

中外製薬
東京第二支店 東京第二がん専門二室
歌川 毅 氏

 

MR-1コンテストで優秀賞を受賞した中外製薬の歌川毅さん。現在は東京慈恵会医科大学附属病院を担当している。オンコロジー領域を中心に医師とのコミュニケーションに励む毎日。抗がん剤を扱うMR活動に憧れ、中外製薬の門を叩いた。中途入社ながら日々の仕事に対する情熱は熱い。「訪問規制云々より、医師から話を聴きたいという想いが強い。だから活動している。そこを軸にしていれば、世間でいわれている訪問規制やMR不要論は無い」と言い切る若者MRの眼は自身に満ち溢れていた。(インタビュアー 沼田 佳之)

 

 

――MR-1コンテストに出場した感想から聞かせてください。

 

歌川氏 コンテストの結果がミクスOnlineの速報に載ってから沢山の反響があった。何人かの先輩や同僚から受賞のお祝いメッセージを頂いた。また、MRになって最初に担当した千葉県柏市エリアで懇意にしていた他社のMRさんからも連絡があり、お祝いの会を催して頂いた。こうした経験を通じ、本当にMR-1コンテストに出場してよかったと実感することができた。もちろん社内でも優秀賞受賞を周知して頂き、本当に感謝している。

 

 

――これまでの経歴をご紹介ください。

 

歌川氏 MRのキャリアを前職で10年間積み、2015年5月に中外製薬に中途入社した。

 

最初は東京都青梅市、福生市など西多摩地区を一人で任せていただき、2016年10月からは東京都港区の東京慈恵会医科大学附属病院を担当している。

 

 

――がん専門MRとしての課題とは?

 

歌川氏 前職で医療用麻薬を扱っていた経験がある。MR2~3年目の時だ。「あの薬はよく効いたよ」と医師から声をかけられた。その医師によると、「魔法のクスリ」と患者さんが絶賛してくれたとのことだ。すごく嬉しかった。その残像が常にある。これがMRのやりがいなのかな、と思った。薬剤の専門性をどこで深めていくかを考えた時に、がん患者さんに何か希望をもっていただけたらと思い、いまは抗がん剤の情報提供に打ち込んでいる。

 

ただ、課題という訳ではないが、私のがん領域でのキャリアはまだ浅いので、がん化学療法の歴史を十分に理解できていない。よって自分の知識の足りなさを痛感している。もっとエビデンスを理解して伝えたいと思うが、まだ届いていないのかな。まだまだというのが本音のところだ。

 

 

――実際に医師と面談する中で工夫していることはありますか。

 

歌川氏 もちろん自社製品の紹介内容が医師の好みと一致しないこともある。医師との面談では、なるべく目の前の患者さんにお役立て頂けるような情報を伝えるよう工夫している。医師も想いをもって患者さんに抗がん剤を処方されているので、問診時に役立つような情景を思い浮かべながら情報提供するよう心掛けている。

 

 

――MR経験の中での成功体験をお聞かせください。

 

歌川氏 西多摩地区を担当しているとき、乳腺の専門医とお会いした。患者さんのためになることならなんでも言って欲しいと医師から話しかけられた。私自身も医師の想いに応えたいと思い、何度も面談した。ところが何度も何度も跳ね返され、紹介した薬剤をなかなか処方して頂けなかった。ただ医師と話しているうちに、いくつか話が合う場面があった。実際に1症例に使って頂き、本当にイイネと言って頂いた。やっと患者さんのために役立ったと実感できた。それ以降は、医師から患者さんの経過を教えて頂けるようになった。

 

患者さんのためにベストを尽くすという医師の想いを一緒に共有できたことは大きい。ふとしたきっかけで医師と同じ方向を向けたのだと思う。実は、今回のMR-1コンテストの推薦者になって頂いた。いまはこの医師に対して感謝の言葉しかない。

 

 

――院内の訪問規制など活動に制限されることが多い。歌川さん自身で働き方に工夫はありますか。

 

歌川氏 自分の紹介した薬剤で治療を終えることができたということを医師から聞くことが一番のモチベーションにつながっている。訪問規制云々よりも、医師から話を聴きたいという想いが強い。だから活動している。そこを軸にしていれば、世間でいわれている訪問規制やMR不要論は無いのではないか。

 

日々心掛けていることは、担当エリアで仮に自分の親や家族が病気になった時、最短距離で安心して治療を受けることができるクリニックや病院に出会えるか考えることにある。その際に課題は何か、何がボトルネックになっているか、終末期になった時はどうすべきか――などに想いを馳せながら、ペイシェント・ジャーニーを思い描く。そうすれば我々MRは薬剤を、どこにアプローチし、誰にアクセスすれば届けられるかを自然と考えることができる。そこをまず考えて日々の活動に活かすことが望ましい。

 

もう一つある。それは、患者さんがきちんと薬物治療を終えた、終えてどうだったかということをMR自身が知り、実感することだ。これはMRとして重要な役割なのではないかと思う。

 

 

――非常に重要なポイントですね。治療の結果をMRが把握するような活動にウエイトを置いているということですか?

 

歌川氏 まさにそうです。生活習慣病薬を扱っていた時は、あまり感じなかったのですが、抗がん剤を扱うようになって、それを強く意識するようになった。医師の想いに寄り添っている姿をMR自身が見せていかないと医師から信頼されないのだと思う。

 

 

――今回のコンテストでも2020年の姿を想像するプレゼンを行いました。いま改めて・・・。

 

歌川氏 実際にどう変わっているかは分からない。一方、変わっていないものは何かという問いに変えると見えてくるものもある。

 

私は患者さんと医師、医師とMRという関係は変わらないと思う。ヒトとヒトの関係は変わらない。もちろん感謝の気持ちも変わらないだろう。これは10年先まで同じだ。インターネットや遠隔診療なども発展するだろうが、MRはFace To Faceで様々な提案をしていかなければいけない。

 

また、医師が治療を通じて得た「感謝」を引き出し共有することも我々MRに課せられた役割ではないかと思う。

 

一方、変わるとすれば、訪問の効率化だと思う。アポイント制が中心になるならば、空き時間が増える。MRが一人で担当するエリアが広くなるというイメージだ。関連病院などを訪問するなど、活動の幅が広がる。医療スタッフの方への面会も増えるだろう。
そのほか、がん患者さんの就労支援の関係で、医療連携室などを訪問することも増えている。“ながらワーカー”という言葉があるが、仕事をやめないで抗がん剤の治療を継続する人を支援する活動も大切だ。

 

 

――最後に全国のMRさんに向けたメッセージをお願いします。

 

歌川氏 MR-1コンテストを知らないMRも多い。ただ、私はここに一歩踏み出して初めて見えた景色がある。足りない部分も見えた。自分のこれまでのキャリアを棚卸できたことは非常に良い経験だった。是非、多くの人にエントリーしてもらいたい。
MR不要論は30歳代が一番強いと言われている。私は、家族に自信をもって自分の仕事を話せる。各MRが仕事を通じて感じたやりがいを家族に伝えていく。この積み重ね一つひとつがMR不要論を打破できると思っている。是非、30歳代MRとして皆で乗り越えられるように今後も取り組んでいきたいと思う。

 

 

歌川さんの上司
東京第二支店 東京第二がん専門二室・石黒貴士室長からコメント

 

正直、MR-1コンテストの認識が私自身もなかったのだが、これに気づかせてくれた。彼の良いところは高い行動力と実践力だと思う。そこがあったからこそ、今回のコンテストに身を投じて優秀賞を頂けたのではないかと考えている。

 

いま医薬品業界は環境変化が激しく風当たりも強い。その中にあって、これから生き残るためには、自らの想像力、思考力によって顧客のニーズをいかに捉えるかが必要になる。これ無しにアクションはとれない。アクションがあるからこそ、成果が創出されるのだ。

 

さらに、真の課題に対しての嗅覚、アンテナが優れていること。加えて、ゴールを明確化し、アクションプランの策定とマイルストンが明確になっている。本当の成果をきちんと出してくれている。再現性もある。今後、この業界に対して規制も厳しくなる中で、それを補うための対話力、会話力も重要になってくる。この部分について開拓精神をもっている。支店の中でももっと伝播させて欲しい。より大きな組織を底上げするような人財になって欲しいと思う。期待しています!

 


歌川毅さん:2005年に武田薬品に入社、千葉県柏市の慈恵医大柏病院を担当し、生活習慣病など幅広い領域を担当した。8年後に札幌に転勤になり、リウマチ、消化器領域でエリアを担当した。当時、所属会社も専門性を求めるようになり、自分も専門性を極めるなら抗がん剤の領域と思い、業界ナンバー1の中外製薬の門を叩いた。2015年5月に中外製薬に入社した。

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