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サノフィの中国戦略 Viehbacher CEO退任で変化は?

公開日時 2014/11/19 03:50

サノフィのグローバル全体の売上高のうち、32%は新興国が占める。中でも中国の存在は大きい。2014年9月26日、サノフィのChristopher Viehbacher前CEOは、IFPMA(欧州製薬団体連合会)初の中国使節団代表として北京空港に降り立った。

Viehbacher前CEOは、北京での会合の挨拶で、世界最大の新興経済大国としての可能性に触れた。医療費の対GDP比率は欧州で8~9%に対し、中国では5%にとどまっている。それにもかかわらず、現在、米国の総研究開発(R&D)費の61%に達している。しかも、成長率は12~20%である。同氏は、中国は2022年までに米国を抜くと予想した。

多くの演者が、中国の画期的新薬創製モデル、産官学の協力モデルなどに言及したが、同氏が1か月後(同氏解任発表は10月26日)にサノフィを去るとはほとんど誰も予想しなかった。

その萌芽は、サノフィが米国でベストセラーのインスリン製剤Lantus(日本製品名:ランタス、一般名:インスリングラルギン)が米国で競争による圧力が増していることを報告したことに端を発している。同剤は、今年第3四半期は、対前年比5.8%伸長した。


これに対し、ノボノルディスクのTresiba(日本製品名:トレシーバ、一般名:インスリンデグルデク)との競争は熾烈。さらに、米FDA暫定承認された、イーライリリーのバイオシミラー・インスリングラルギンとの価格競争も予想される。このような中で、米国ではLantusの価格も下落している。


しかし、Viehbacher前CEOは、10月28日の第3四半期決算発表では、米国での値付けについて質問攻めにあいながらも、新興国市場でのLantusの成長に期待を寄せていた。その一例として中国では、すでに現地メーカーのバイオシミラーとの競争に直面しているとしながらも、25%の伸長を示していることをあげていた。


Viehbacher前CEOは、サノフィをグローバル化したと言われている。現在、新興国市場からの売上が、同社の売上の約3分の1を占めている。同社は2008年まで新興国市場の売上高においては、トップ企業だった。同前CEOは、11年12月にパリで開催された会議で、08年のノバルティスの決算発表のなかで同社が新興国市場でナンバー2だと報告しているのを聞き、サノフィがトップであることを知ったと意外な告白をしている。その時点では新興国は経営における関心事ではなかったという。ただ、その後、サノフィは、いわゆるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)における現地企業の買収など集中的な投資を行い、新興国市場を一層拡大してきた。


Viehbacher前CEOが同社を去った後の新興国展開路線は注目されるところだが、Serge Weinburg 会長兼CEO代行は、「サノフィグループを国際的に展開していく」と10月29日の第3四半期決算発表で話し、国際化推進に変更がないことを明らかにした。中国、ブラジルなどについては個別に業績に言及し、今後も新興国市場に注力する構えを示した。一方で、ジェンザイム買収のような大規模な買収をする考えのないことも付け加えている。


(The Pink Sheet 11月10日号より)
 

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