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政府・新型コロナ専門家会議 「出口戦略」を議論 PCR実施体制に不備 迅速抗原診断キット開発を要請

公開日時 2020/05/07 04:51
政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は5月4日、「緊急事態宣言」を5月31日まで延長するにあたっての「出口戦略」に向けた対応策を議論した。専門家会議は宣言解除の目安として、地域ごとの新規感染者数や医療提供体制の整備状況を判断材料にあげたが、具体的な数値目標を示すには至らなかった。一方、新規感染者数を把握するPCR検査数が諸外国と比べて限定的と指摘されたことに専門家会議の問題意識が示された。副座長の尾身茂氏(地域医療機能推進機構理事長)は記者会見で、PCR検査について「疑い患者に迅速かつ確実に実施できる体制に移行すべき」と強調。政府に対し、PCR等検査を補完する迅速抗原診断キットの開発および質の高い検査の実施体制の構築を早急に求めたいと要請した。

安倍首相は同日の記者会見で、5月14日を目途に現状分析を行い、「地域ごとの感染者数の動向、医療提供体制のひっ迫状況を詳細に分析し、可能と判断すれば任期満了を待つことなく解除する」ことを明らかにしている。これを受け専門家会議も、「新規感染者数は着実に減少に転じている」と一定の評価を下したが、「収束のスピードが期待されたほどではない」として、「当面、現在の緊急事態宣言下での枠組みを維持することが望ましい」と提言するにとどまった。

◎PCR検査 感染者数急増の3月下旬以降「十分対応できなかった」

一方、感染者数を把握するための
PCR等検査の対応に関する評価に、あえて言及。感染者数が急増した3月下旬以降に十分対応できなかったことを指摘した。PCR等検査能力が早期に拡充されなかった理由(考察)としては、「制度的に、地方衛生研究所は行政検査が主体で、新しい病原体について大量に行うことを想定した体制は整備されていない」と強調。さらに、過去のSARSやMERSなどが国内で多数の患者が発生せず、日本でPCR等検査能力の拡充を求める議論が起こらなかった、とした。

◎PCR等検査件数が増加しなかった原因分析

さらにPCR等検査件数が増加しなかった原因に触れ、①保健所の業務過多、②入院先確保の仕組みが十分機能していない地域があった、③地方衛生研究所のリソースと検査業務の実施体制、④検体採取者・実施者のマスク、防護服の圧倒的不足、⑤保険適用後、一般の医療機関は都道府県との契約がなければPCR等検査が実施できない、⑥民間検査会社等に検体を運ぶための特殊な輸送器材が必要だった-と報告した。

◎医師が必要と考える軽症者にPCR検査を迅速に実施できる体制確保を

その上で今後求められる対応として、「医師が必要と考える軽症者を含む疑い患者に対し、迅速かつ確実に検査を実施できる体制に移行すべき」と提言した。具体的施策として、①保健所、地方衛生研究所の体制強化および労務負担軽減、②都道府県調査本部の活性化、③地域外来・検査センターのさらなる設置、④感染防護具、検体採取キット、検査キットの確実な調達、⑤検体採取者のトレーニングおよび新たな検査を実施する機関におけるPCR等検査の品質管理、⑥PCR検査体制の把握および、検査数や陽性率のモニターの公表-をあげた。


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