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アステラス製薬が「Astellas Rx+ Day」開催 患者アウトカム最大化、重症化予防に前進 コア事業化も

公開日時 2021/03/26 04:52
アステラス製薬は3月25日、「Astellas Rx+ Day~治療薬ビジネスのその先」をテーマにメディアセミナーをオンラインで開催した。同社が取り組む「Rx+」とは、医療用医薬品の枠を超えたヘルスケアソリューションを指す。最新テクノロジーとの融合を通じ、患者アウトカムの最大化や、慢性疾患の重症化予防、さらにはBeyond the pillを通じ、患者や社会に対する価値創造のソリューションを提供する。同社はこの日のセミナーで、蛍光造影剤「ASP5354」を用いた尿管イメージング法の開発状況、米国のデジタルヘルス企業Welldoc,Incの糖尿病治療アプリ「Blue Star」を活用した重症化予防、心房細動の早期発見・適切な医療介入をサポートするクラウド型ホルダー心電図解析システムの実用化に向けた取り組みなどを紹介した。

◎「クスリで出来なかったこと、難しかったこと」を他の技術と融合 ソリューション化

「これまでアステラス製薬は自らをクスリによる治療という極めて限定された領域に閉じ込めてきた。しかし、2018年に開始したRx+事業への挑戦は、ペイシェントジャーニーの全体をend to endでカバーし、これまでクスリだけでは出来なかったこと、クスリには難しかったことを違う技術と融合することでソリューションを考え、様々な価値を創造し、提供する」-。岡村直樹代表取締役副社長はこう説明した。また、「患者にとって意味のあるアウトカムをさらに改善させる。そのアウトカムを提供するためにヘルスケアシステム全体が負担するコストを低減する」-。これが同社における「価値」の共通定義だ、と岡村副社長は力説した。

◎蛍光造影剤「ASP5354」を用いた尿管イメージング 23年度中に米国で承認取得目指す

同社は、Rx+事業の提供価値として、①パーソナルデータを活用して発症や重症化を予防する、②既存の医療手段が利用できない人の選択肢を拡げる、③身体機能を支え手活動的な暮らしを可能とする-を掲げている。

実際の取り組みでは、手術・診断精度向上による患者アウトカムの最大化に挑戦している。この日のセミナーで紹介された蛍光造影剤「ASP5354」を用いた尿管イメージングは、手術時に同定が困難な臓器や組織を可視化し、術後を含めた手術全体のアウトカムを改善するというもの。米国において臨床第2相試験が完了し、20年10月にFDAからファストトラック指定を取得。23年度中の承認取得を目指している。米国以外に日本、中国、欧州などグローバル展開も検討中だ。

◎「Blue Star」を活用した重症化予防の事例 医療費の適正化、標準化、個別化に寄与


一方、「デジタルが行動を変える、医療を変える」をテーマにした取り組みでは、米・Welldoc,Incの糖尿病治療アプリ「Blue Star」を活用した重症化予防の事例が紹介された。医学的・臨床的に有用な情報をデジタルで収集・分析し、患者や医療従事者の個々にあわせて最適化した治療を提供するというもの。これにより現状の医療が抱える課題のうち、医療費の適正化や地域・時間を問わない医療の標準化、さらには個別化された治療の提供を実現できるという。日本国内において、「Blue Star」を使った糖尿病の臨床試験を21年中にスタートさせる方針も明示された。

◎慢性疾患の重症化予防 AIを用いたホルダー解析装置用プログラムを開発

慢性疾患の重症化予防については、心疾患患者サポートエコシステムが紹介された。循環器疾患の医療費は6兆782億円、介護が必要となる主な原因に占める割合は、脳血管疾患が16.1%、心疾患が4.5%で、合わせると20.6%に及ぶ。高齢化の進む日本において心房細動の早期発見は社会課題解決の起点の一つになるという訳だ。同社は、MedTechベンチャーのエムハート(岩手県盛岡市)と共同で、AIを用いたホルダー解析装置用プログラム「マイホルターⅡ」を開発。21年3月に薬機法認証を取得した。今年度中のビジネス化を予定しており、今後はホルター心電計メーカーとの協業も検討、デバイスとデータ解析をセットにしたトータルソリューションとして提供することも視野に入れている。

◎Beyond the pill  iota社のセンシング技術 将来のコアビジネス化を目指す

Beyond the pillでは「極小医療機器が薬を超える」というテーマで米・iota Bioscience社の超小型デバイス技術の医療機器への活用が報告された。iota社は20年10月にアステラス製薬が米子会社を通じて買収した企業。iota社のセンシング技術を使って、これまで病院でなければ測定できなかった生体のパラメータを家庭で手軽にモニタリングするというものだ。これにより疾患の急変に対応できるほか、自分で測定したデータが病院の電子カルテで確認できれば、受診頻度を減らすことも可能になる。さらに医薬品の効き目を患者自身が確認できるようにもなる。将来的には個人情報保護を徹底した上で、データの二次利用などのビジネス展開も視野に検討することにしている。


アステラス製薬は、既存のセンシング・電気刺激プロジェクトについては2020年代後半に上市を予定する。また将来のコアビジネス化を目指したい考えだ。
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