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欧米製薬団体 新型コロナワクチン知財放棄に反対を表明

公開日時 2021/05/11 04:50
PhRMA(米国研究製薬工業協会)、EFPIA(欧州製薬団体連合会)およびBIO(米国バイオテクノロジーイノベーション協会)は、米政府による新型コロナワクチンの知的財産の放棄に反対する声明をそれぞれ発表した。発展途上国への新型コロナワクチンの供給などをめぐる課題を踏まえ、米政府が新型コロナワクチンの知的財産の一時的な放棄を支持しており、波紋が広がっている。

PhRMAのStephen Uble会長兼CEOは、5月5日に発表した声明で、「致死的パンデミックの渦中で、バイデン政権は、パンデミックへのグローバルな対応と安全性確保をしている我々の努力を損なうような前例のない措置を取った」と政権を批判した。そのうえで、知財保護の権利放棄は、「国民と民間パートナー(製薬企業)との間に混乱を招き、さらにすでに確立したサプライチェーンを弱体化させ、偽造ワクチンの蔓延を助長することになる」と悪影響を懸念した。また、米国が従来主張していた知財保護政策を変更したことについて、「米国のリーダーシップの弱体化を狙う国々に米国のイノベーションを手渡すことは、バイデン大統領が提唱している米国のインフラ構築および雇用創造の政策を無視している」として、政権の姿勢と矛盾すると指摘した。そのうえで、「この決定は、ワクチンのロジスティクスの末端の課題や原材料の入手が限られていることなどを含め、ワクチン接種を増やすという真の課題解決には何の役にも立たない」としている。

EFPIAのNathalie Moll専務理事は、5月6日の声明で、「バイデン政権による、この近視眼的で無力な決定は、コロナウイルス感染症でようやく得た進歩を危険に晒す」と指摘した。そのうえで、「我々は本心から世界中の市民をワクチンで守るというゴールには同意するものの、知的財産の放棄は、コロナウイルスとの戦いでの勝利を一層困難にさせる」と述べ、放棄への反対を表明した。

さらに、ワクチン供給量を増やすには開発者の技術やノウハウが必要で、幅広いパートナーが必要であることも指摘。単に知財の放棄によって成し遂げられるものでないと主張した。また、パンデミックの当初から、欧州は診断法からmRNA技術に至るまで新型コロナの研究やイノベーションのエンジン的な役割を担ってきたとしたうえで、知財がその原動力との見解を表明。知財保護がイノベーションを生み出すとの立場を改めて訴えた。

BIOのMichelle McMurry-Heath会長兼CEOは5月5日、「バイデン政権が、米国人の創意工夫を守る知財放棄の支持を選んだことに非常に失望している」と表明した。そのうえで、ワクチンの製造を料理に例え、「原材料も安全確保策も必要なかなりの労働力もなしにレシピ本(料理本)を途上国に手渡すことは、ワクチンを待っている人々にとって助けにはならない。最善の状態でも建設に1年かかるキッチン(製造工場)の設計図を彼らに手渡すことは、我々が危険な新興の変異ウイルスの発生を食い止めることに役立たない」として、知財放棄は無益、との考えを示した。そのうえで、「より良い代替策は、バイデン大統領が一般教書演説(4月29日)で米国を世界の『ワクチンの武器庫』にすると述べた目標を追究することであり、それは議論を反対方向(良い方向)へ向かわせる」としている。
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