オピオイド乱用抑止の表示は前途遼遠 FDA諮問委が否決
公開日時 2010/11/30 04:00
米食品医薬品局(FDA)麻酔・生命維持薬および医薬安全・リスク管理諮問委員会は、オピオイドのラベルに「乱用抑止性(を持つ)」という表記を入れるという案を否決、「乱用抵抗性」の表記を勧告した。 FDAは、乱用防止のため、「乱用抑止性」という包括的な表記にする考えだったが、諮問委は、より乱用の実態に即した、注射抵抗性、鼻吸入抵抗性など投与経路を特定した注意を促す必要があるという観点から、FDA案に異議を唱えた。
FDAは、委員らが、乱用抑止性という表記をラベルに謳うことにより実際に乱用防止が可能かというデータが十分でないため包括的な表記を嫌った、と見ている。
今回の諮問委の勧告で、キングファーマシューティカルズのEmbedaとパデューファーマのOxyContinが恩恵を受けることになる。Embedaは塩酸モルヒネ徐放性製剤で、咀嚼、崩壊、溶解すると陶酔感が減ずるように設計されたナルトレキソンを核にしている。2010年第2四半期で1億5000万ドルを売り上げているが、今回の勧告で、さらに売り上げに拍車がかかりそうだ。OxyContin持続性製剤(新剤型)は、崩壊、咀嚼しにくく、かつ溶解すると粘着性のゲル状となる。患者は新剤型への変更を推奨されており、パデューは大きな市場が期待されている。同社は諮問委に現段階では、乱用抵抗性の表示を求めないとしているが、データが揃えば変更する意向を示している。