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真菌性肺炎を合併したAML患者 至適投与量の確認条件にL-AMBの外来投与が可能

公開日時 2010/12/09 18:00

第59回日本感染症学会東日本地方会学術集会 第57回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会


真菌性肺炎を合併したAML患者
至適投与量の確認条件にL-AMBの外来投与が可能
患者QOL、病院経営の双方にメリット


急性骨髄性白血病(AML)に真菌性肺炎を合併した症例に、抗真菌薬アムホテリシンBリポソーム製剤(製品名:アムビゾーム:L-AMB)による外来治療が有効だったとの報告を、栃木県立がんセンターの和泉透氏が10月21日に東京都内で開かれた第59回日本感染症学会東日本地方会学術集会 第57回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会で明らかにした。


◎他の抗真菌薬無効例に有効 K補充も不要


患者はAMLの40代男性(体重81kg)。入院時に発熱症状があり胸部CTを行ったところ、左下葉の胸膜直下に肺炎像が確認された。アスペルギルス肺炎を疑い、入院4日後からボリコナゾール(VRCZ) で治療を始めた。AML治療(DNR+Ara-C)も翌日から開始したが、AML治療開始10日後に発熱が増悪し、VRCZをアムホテリシンB(AMPH)に切替えた。だが腎障害を認めたため、その3日後よりミカファンギン(MCFG)300mg/日に変更し、AML治療を中断して肺炎治療を優先した。


その結果、肺炎は徐々に良くなり、MCFG投与開始22日後には一旦、肺炎像の改善がみられたことからMCFGをイトラコナゾール(ITCZ)に切替えた。しかし、ITCZ投与9日後には再び発熱し、肺炎も増悪するなど症状が再熱した。


MCFGの治療では完全に肺炎の陰影が消失しなかったことから効果不十分と考え、翌日からL-AMB200mg/日での治療を開始した。9.17mg/dlだったCRP値は、L-AMB開始1週間後には0.82mg/dlへと改善がみられた。しかし、血清Cr値は1.51mg/dlに上昇したため、翌日からL-AMBを150mg/日に減量した。L-AMBを継続した結果、L-AMB開始2週間後には肺炎像の改善傾向を認め、L-AMB投与は有効と考えられた。ただ、入院治療が長期に及び、患者の希望から、外来でL-AMBを継続し、真菌性肺炎治癒後にAML治療を行う方針を決定した。


外来では処置室でL-AMB100mg/日を連日投与した。方法は5%ブドウ糖液250mlに溶解し、中心静脈リザーバーから2時間かけて投与した。点滴中の有害事象を抑えるためヒドロコルチゾン100mgを前投与し、カリウム(以下、K)徐放剤を4錠分2で用いた。和泉氏によると、K値は一時2.7mEq/Lに低下したが、基本的には3.0以上を保ち、とくに静注でのK補充は必要なかった。発熱などの有害事象も認めず、約2か月にわたるL-AMB投与を経て、AML治療の再開が可能となった。なお、L-AMB投与終了時のCT所見は肺炎像の著明な改善を認めていた。


◎外来移行のポイントは至適投与量の見極め


今回の外来治療例から和泉氏は、「腎障害や低K血症などの副作用が現れる可能性があるので、外来治療でL-AMBを使用するには注意を有する。しかし、初回投与後に低K血症の程度や副作用管理が可能な至適投与量を確認し、また患者さんの同意や通院距離などを総合的に判断した上であれば外来投与は十分可能」との見方を示した。また、今回の経験からL-AMBの使用法として「今後、医療経済学的見地からの検討も望まれる」ことも指摘し、入院定額払い制度であるDPCから外れる外来治療への移行も検討すべきテーマと提起した。
 

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