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【ASHリポート】低分子ヘパリン製剤とバイオシミラーの比較研究 先発品と必ずしも同等性を示さない

公開日時 2010/12/21 06:00

先頃、欧州医薬品庁がバイオ医薬品のジェネリック品であるバイオシミラーに関するガイドライン案を公表し、アメリカでもガイドライン策定が進められるなど規制当局の対応が注目を集めている。第52回米国血液学会では、ポスターセッションを中心に低分子ヘパリン製剤の先発品とバイオシミラーとの複数の比較研究が報告され、これらからバイオシミラーの低分子ヘパリン製剤は、先発品と必ずしも同等性を示さないことが明らかとなった。


◎ロベノックスとバイオシミラーの比較 異なる免疫応答


ミシガン大学のMarise Gomes氏は12月4日のポスターセッションで、低分子ヘパリン製剤エノキサパリンの先発品ロベノックスとそのバイオシミラーCutenox(Gland-Pharma) との比較から両製剤の免疫応答が異なると報告した。


Gomes氏らは健常ボランティア220人を対象にロベノックスとCutenoxを1日40mgを10日間投与し、その後30±5日経過観察をしたオープンラベル無作為化試験を実施。抗ヘパリン血小板第4因子複合体抗体価は、投与前と投与10日後で両群間は同等であり、投与期間中の変化でも両群間に有意差はなかった。
ただ、トロンビン生成阻害率はロベノックス群32+9%、Cutenox群45+12%と、Cutenox群のより強い阻害活性を示唆した結果となった。また、抗ヘパリン血小板第4因子複合体抗体(HIT抗体)価のサブタイプ別の検討では、投与初日はIgG、IgA、IgMのいずれも両群間で有意差はなかったが、投与10日目ではIgGはCutenox群で有意に高く(p<0.0001)、逆にIgAはロベノックス群で有意に高くなっていた(p=0.007)。


◎ロベノックスと7種のバイオシミラーの比較 交差反応性の程度に違い


フランス・Tenon大学のVassiliki Galea氏らは12月4日のポスターセッションで、ロベノックスとNovex、Enoxa、Dilutol、Versa、Cutenox、Loparin、Fibrinoxの7種類のバイオシミラーでHIT抗体に対する交叉反応性をin vitroで比較した結果を報告。バイオシミラー7製品はいずれも高い交差反応性を示したが、ロベノックスも含めたその程度は、Versa>Enoxa>ロベノックス>Novex>Fibrinox>Cutenox>Loparin>Dilutolの順だったとした。


◎ASCモデルでバイオシミラーと比較 活性凝固時間にばらつき


ロヨラ大学のDebra Hoppensteadt氏らも急性冠症候群(ACS)モデルでロベノックスとバイオシミラーのCutenox、Fibrinox、Versaを比較結果を12月4日のポスターセッションで発表した。10ug/mlの設定下における活性凝固時間(ACT)は最も短いVersaの172秒から最も長いFibrinoxの200秒までの間でばらつきがあり、カテーテル誘発血栓症モデルでのED50もCutenoxの20ug/ml前後からVersaの40ug/ml前後まで差が見られた。


さらにヘパリン惹起血小板凝集率はロベノックスが17%に対して、バイオシミラーの3製品は25~30%と有意な差が認められた。このことからHoppensteadt氏は「ACSでの低分子ヘパリン製剤の臨床での効果と安全性は先発品とバイオシミラーでは異なる可能性がある」との見解を表明した。
 

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