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        <title>TOP DOCTOR</title>
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        <description>ミクスOnlineは、ヘルス・サイエンスの発展に欠かせない要素である医薬品業界の市場情報やヘルス・サイエンスに関わる人々の知識向上につながる情報・サービスを提供する医薬情報サイトです。</description>
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            <title>ミクスOnline</title>
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            <title><![CDATA[骨髄異形成症候群 新薬が切り拓く新たな治療の可能性]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=38647</link>
            <description><![CDATA[埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科（造血障害部門）　1984年埼玉医科大学医学部卒業。07年より現職。日本血液学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会、日本内科学会に所属。日本血液学会では代議員、同学会認定専門医・認定指導医を務めるほか、日本内科学会では認定内科専門医・認定内科医などを務める。松田 晃　教授　血液がん領域の“薬剤空白地帯”とされていた骨髄異形成症候群（ＭＤＳ：Myelodysplastic syndrome）で新薬登場の期待が高まっている。09年10月にセルジーンがMDSの貧血治療薬としてレナリドミド（レブリミド）、続いて同年12月には日本新薬が脱メチル化薬であるアザシチジン（NS-17）の承認申請を行ったほか、同じく脱メチル化薬のデシタビン（ヤンセンファーマ）の臨床試験も国内で進行している。「造血幹細胞移植以外に予後を改善できなかった状況から脱却できる可能性が出てきた」と期待を示す埼玉医科大学国際医療センターの松田晃教授に、ＭＤＳの治療の現状と新薬がもたらす今後の展望について話をうかがった。◎MDSはどのような病気ですか松田　ＭＤＳは遺伝子異常を持つ造血幹細胞のクローン性増殖にもとづく血球減少症と、前白血病状態を特徴とする疾患群の総称です。臨床症状は血球減少にもとづくものが主ですが、血球減少の程度、予後、白血病移行リスクなどの臨床像は不均一です。慢性に経過するため症状の発現時期が明確にできないことも多く、健診時の血液検査で偶然血球減少を指摘されるケースも少なくありません。長期間症状がなくて日常生活に支障をきたさない症例もあれば、定期的に輸血が必要となる症例、診断後早期に急性骨髄性白血病（ＡＭＬ）に移行する症例もあります。　ＭＤＳの病型は「ＦＡＢ分類」では５病型、08年に改訂された「ＷＨＯ分類」ではさらに細かく分類されます。病型はＭＤＳの予後に反映されますが、病型内でも予後等が不均一であるため、それを補完するための予後判定システムとして「IPSS（International Peognostic Scoring System）」や「WPSS（WHO-based Prognostic Scoring System ）」などがありますが、IPSSが治療法の選択に最も広く用いられています。IPSSでは血球減少の系統数、骨髄の芽球比率、染色体所見の各スコアを合計し、サブグループ化することで全生存期間（ＯＳ）と無白血病生存期間（ＬＦＳ）を予測します。◎診断と治療法を教えてください松田　ＭＤＳの診断は、末梢血所見、骨髄所見、染色体所見、血球減少をきたす他疾患を除外することで行われます。ＭＤＳに共通の生物学的指標は明らかになっていないため、特に芽球の増加が無い場合やＭＤＳで高頻度に認められる染色体異常がない場合、診断は細胞形態学に依存する部分が大きいのですが、血球減少や細胞形態の異形成は他の疾患でも認められるので、それで全てをＭＤＳと診断してよいとは限りません。　また、十分な検査にもかかわらず診断できない血球減少があります。この場合は 「ICUS」（idiopathic cytopenia〈s〉 of uncertain significance）と診断し、適切な観察期間（約６カ月）をおいて再評価が必要となります。芽球の増加が無い場合や、ＭＤＳで高頻度に認められる染色体異常がなく、異形成が弱い場合も同様の対応が必要ではないかと思います。　治癒的治療法は唯一、造血幹細胞移植のみですが、高齢者に多い疾患であるため、移植が可能な症例は多くはありません。治療法の選択はIPSSのカテゴリーと年齢が基本とされ、IPSSのLow、Intermediate-1（int-1）が「低リスク群ＭＤＳ」、High、Intermediate-2（int-2）が「高リスク群ＭＤＳ」と分類されます。　低リスク群に対しては抗胸腺細胞グロブリン（ＡＴＧ）やシクロスポリン（ＣｓＡ）などの免疫抑制療法（ＩＳＴ）が有効な場合があり、最近の報告ではＩＳＴを受けたde novo（原発性）ＭＤＳ患者129例中39例で奏効し、12例はＣＲ（完全寛解）という結果でした。また、122例が治療前に輸血依存性でしたが、31％が輸血非依存性となったことが報告されました。特に60歳以下でIPSSのint-1では、支持療法単独群と比べてＩＳＴ群で生存期間の有意な延長とＡＭＬへの進展阻止効果が認められました。ＩＳＴに対する反応性マーカーも報告されており、NCCNのガイドライン（ＧＬ）は、低リスク群でＩＳＴに対する反応性マーカー（60歳以下、骨髄低形成、HLA-DR15、発作性夜間ヘモグロビン尿症型血球）がある場合、ＩＳＴを選択することとしています。　また、同ＧＬでは低リスク群で血清エリスロポエチン（ＥＰＯ）濃度が500mU/ml以下の場合はＥＰＯ投与が選択されます。ＥＰＯ、顆粒球コロニー刺激因子（G-CSF）の有効率は、ＥＰＯ単独療法で20〜30％、ＥＰＯとG-CSFの併用療法では40％前後の報告が多く、長時間作用型のＥＰＯ製剤であるダルベポエチンαの有用性も報告されています。　高リスク群については年齢やＰＳ（performance status）、合併症などからＡＭＬに準じた化学療法が可能と判断した場合、造血幹細胞移植、またはＡＭＬに準じた化学療法が選択されます。従来、ＡＭＬへの移行を防ぐ目的でシタラビン少量療法やＡＭＬに準じた多剤併用療法が施行されてきましたが、罹病期間が短く、予後不良染色体を持たない例以外は十分な奏効率と寛解持続期間を得ることは困難であることがわかってきましたので、ＡＭＬに準じた化学療法の適応外と判断される場合は、輸血を中心とした支持療法が主体となっているのが国内の現状です。　しかし、ＭＤＳ患者で輸血依存の場合、輸血後鉄過剰症で心不全、肝障害、耐糖能異常などとなり、予後を悪化させます。輸血後鉄過剰症には鉄キレート療法（ＩＣＴ）が行われます。以前は国内で使用可能な鉄キレート剤は注射薬のデスフェラール（デフェロキサミンメシル酸塩）のみで、同薬剤では長時間の点滴が週５～７日必要となることから外来患者への投与は事実上困難でした。近年、経口鉄キレート剤のエクジェイド（デフェラシロクス）が国内でも使用可能になりましたので、これにより輸血後鉄過剰症に対する臨床医の意識も高まったと思います。　ただ、ＭＤＳの類縁疾患である再生不良性貧血の医療費は公費負担の適用対象ですが、ＭＤＳは対象ではないため、輸血やエクジェイドの投与が必要な患者さんの経済的負担は大きいです。また、国内の多くの施設がNCCNのＧＬや厚生労働省の研究班による「不応性貧血（骨髄異形成症候群）診療の参照ガイド」を参考に治療法を選択していると思いますが、国内ではＡＴＧ、ＣｓＡ、ＥＰＯは保険適応外であり、使用には制限を受けているのが現状です。◎新たな治療法、治療薬の展望は松田　近年サリドマイドの誘導体であるレナリドミドや脱メチル化薬の導入によって輸血依存性の解消、ＱＯＬの改善、さらに一部では生存期間の延長効果が報告されています。　症候性の貧血を呈し、好中球と血小板の著しい減少を認めないMDS患者を対象にレナリドミドのフェーズ１/２ 試験を行ったところ、特筆すべき結果として５番染色体長腕部欠失（5q-）の染色体異常を持つ患者12例中10例で奏効が得られました。また、5q-を持つ奏効例10例中９例では染色体異常が消失する細胞遺伝学的完全寛解（CCyR）が得られました。5q-を含む染色体異常を有する148例を対象とした試験では、貧血改善効果（IWG基準でのHI-E）を76％（輸血依存性の解消は67％）で認めました。細胞遺伝学的効果の検討ではCCyRは45％、異常染色体比率が50％以上減少する細胞遺伝学的部分寛解（PCyR）を28％に認めました。　ただ、輸血依存性の解消効果が５年以上維持している例も一部あるものの、5q-症候群を含め、多くは時間経過とともに貧血が再燃し、輸血非依存持続期間の中央値は2.2年とも報告されています。有害事象としては投与開始８週間以内に強い血小板減少、好中球減少がみられますが、逆にこの時期に血球減少が見られない症例では、その後の造血回復も認められませんでした。この事実は、5q-を持つＭＤＳに対するレナリドミド療法では造血の回復に先立って5q-を持つＭＤＳクローンの抑制が生じるものと理解されています。　レナリドミド療法は5q-をもつＭＤＳには劣るものの、5q-の染色体異常をもたない低リスク群においても貧血改善効果があります。症候性の貧血はあるが5q-がない低リスク群214例を対象とした試験では、輸血必要量の減少などを含めてＩＷＧの基準を満たす貧血改善効果は93例で得られ、うち56例で輸血依存性の解消が得られました。5q-以外のレナリドミド奏効者の検体を用いた解析で、レナリドミドがＭＤＳクローンのＥＰＯ感受性を回復する可能性が示唆されたことから、ＥＰＯ療法との併用にも注目が集まっています。　また、高リスク群で5q-を含む染色体異常をもつ患者に対して行ったフェーズ２試験では、47例中７例でＣＲ、２例で骨髄ＣＲ、４例で貧血改善効果が得られ、CCyRも５例に認められました。ＣＲは5q-単独の染色体異常を有する群９例中６例に見られましたが、付加的異常をもつ群では38例中１例のみでした。これは高リスク群では5q-単独の染色体異常であることが必要となることを推測させます。最近患者の長期フォローにより5q-症候群の患者を含めて複雑な染色体異常を呈するＡＭＬに移行した例が複数報告されているので、この点に関してはさらなる症例の蓄積が必要です。　レナリドミドは米国で05年にＭＤＳ（5q-を伴う輸血依存患者対象）の治療薬として市販され、現在は13カ国で同適応での承認を取得しています。NCCNのＧＬでも5q-を有する低リスクMDSの第１選択薬として推奨されていますので、国内でも早期の承認が待たれるところです。　脱メチル化薬の代表的薬剤はアザシチジンとデシタビンです。アザシチジンについてはＦＡＢ分類での高リスク群を対象とした大規模なランダム化比較試験が行われました。その結果、アザシチジン群ではＣＲ17％、ＰＲ12％、ＣＲ/ＰＲ例を含めて49％の患者で造血回復が認められました。生存期間中央値はアザシチジン群24.5カ月、従来の治療群（ベストサポーティブケア、低用量シタラビン、標準化学療法〈アントラサイクリン+シタラビン〉）15カ月と、アザシチジン群での生存期間延長効果が確認されました。　アザシチジンは、NCCNのＧＬでは高リスク群で造血幹細胞移植が適応できない場合の第１選択薬となっています。低リスク群に対しては、①支持療法が必要な症状を有する貧血があり、ＥＰＯ療法またはＩＳＴに反応しない症例への二次治療薬②貧血以外の血球減少（血小板減少症、好中球減少症）症例に対する第１選択薬とされています。国内でも同様の位置付けになると考えられ、早期の承認が待たれるところです。　デシタビンでもアザシチジンと同等の奏効率が報告されています。M. D. Andersonがんセンターではデシタビンの低用量投与法を検討し、低用量投与法（１サイクル４週間、20mg/m2を５日間投与で効果が持続する限り継続）のアザシチジンと同等の奏功率（overall ＣＲ:32%、ＨＩ：18%、細胞遺伝学的効果：52%）を多施設共同試験で報告しました。今後、デシタビンの低用量投与法とアザシチジンのランダム化比較試験の結果が注目されます。　脱メチル化薬を用いた今後の方向性としては、同剤がＡＭＬに準じた化学療法に抵抗性を示す７番染色体異常や複雑核型染色体異常を呈する例にも有効である点を利用し、まず脱メチル化薬で治療を行い、寛解後に化学療法や同種造血幹細胞移植を行うという方法も期待されます。また、遺伝子転写の制御にはＤＮＡのメチル化とともにヒストンの脱アセチル化が深く関与しているということから、脱メチル化薬とヒストン脱アセチル化酵素阻害薬との併用も海外で試みられています。◎新薬が臨床に大きな変化をもたらすことになりそうですね松田　来年度には、「不応性貧血（骨髄異形成症候群）診療の参照ガイド」の改訂が予定されています。その中で、新規薬剤を含む治療戦略が作成されると思われます。これにより、臨床の現場に大きな変化が生まれることを期待しています。（インタビュー　後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Thu, 25 Feb 2010 00:00:00 +0900</pubDate>
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            <title><![CDATA[高まる「サイコオンコロジー」のニーズ　JPOS専門医認定制度も発足]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=38365</link>
            <description><![CDATA[国立がんセンター東病院　臨床開発センター精神腫瘍学開発部　内富 庸介　部長［プロフィール］1984年広島大医学部卒業。1991年米・スロンケタリングがんセンター記念病院研修を経て、05年より現職。日本サイコオンコロジー学会理事（09年10月まで代表理事）、日本総合病院精神医学会理事、日本緩和医療学会、日本癌治療学会の評議員などを務めるほか、厚生労働省がん研究「精神症状の緩和に関する研究」班、第３次対がん総合戦略事業「QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究」班の主任研究者などを務める。国際サイコオンコロジー学会「Bernard Fox記念賞」ほか多数受賞　がんの告知や治療中止など、がん患者は疾患のみならず精神的なストレスとも闘わなければならず、中にはうつ病や適応障害、さらには自殺にまで追い込まれる患者も少なくない。近年のがん患者の急増を背景にこうした精神症状に苦しむ患者が増加するなか、がん患者とその家族の心のケアに目を向けた「サイコオンコロジー」（精神腫瘍学）が注目され始めており、09年７月に一般社団法人化した日本サイコオンコロジー学会（JPOS）が「登録精神腫瘍医」制度を立ち上げるなど新たな動きも始まった。サイコオンコロジーをめぐる現状と今後の課題について、国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部の内富庸介部長に話を伺った。◎「サイコオンコロジー」について教えてください内富　サイコオンコロジーとは、心理学（サイコロジー）と精神医学（サイカイアトリー）、そして腫瘍学（オンコロジー）を組み合わせた造語ですが、心理学、精神医学のみならず、腫瘍学、免疫学、内分泌学、社会学、倫理学、哲学など多くの学問領域から成り立っています。あらゆる科学的手法を駆使し、患者さんの「Quality of life」（ＱＯＬ）の向上だけでなく、がんの罹患や生存の改善も目的とする、すなわち「がんが心に与える影響」と「心や行動ががんに与える影響」という２つの側面から心のケアを研究する分野です。　サイコオンコロジーの歴史は1980年代に遡り、ＷＨＯのＱＯＬに関する専門家会議から86年に「国際サイコオンコロジー学会」（IPOS）が創設されたことに始まります。70年代初めまで、米国においてがん告知はスロンケタリングがんセンターのような一部の病院でしか行われていませんでした。しかし、70年代後半には全米のどの病院でも告知が当たり前に行われるようになるという大きな変化が起きました。　これは推測ですが、まったくがんを告知する文化のないところにわずか６～７年でがん告知が広がったことによって、当時、がん告知による自殺が急激に増え、患者さんの心のケアが重要視され始めたのだと思います。そうした世界の動きを受け、1986年に日本支部という形で日本臨床精神腫瘍学会（JPOS）が結成されました。◎なぜいま、サイコオンコロジーが注目されているのでしょうか？内富　がんの罹患は急激に増加の一途をたどり、いまやがんは国民のＱＯＬを脅かす重大な問題となっています。こうした状況から、07年４月に施行された「がん対策基本法」で「５年生存率の20％改善とがん患者・家族のＱＯＬ向上」が２大目標として明示され、緩和ケアと並んでサイコオンコロジーが注目されるようになりました。　がんの患者さんは非常に多くの局面で相当なストレスにさらされます。まず検査や病名告知の時点で“破局的”なストレスにさらされます。これらのストレスに対する患者の一般的な情緒的反応・適応は、主に①初期反応②不安・抑うつ③適応─という３つの過程をたどります。まず、がんであることを知った患者は非常に強い衝撃を受けます。その後、不安や抑うつ、不眠といった“適応障害”が現れますが、次第に現実を直視してがんと向き合い始める“適応”が始まり、ほとんどの患者は２週間程度で日常生活に支障がなくなるまで改善します。　しかし、一部の患者はこのような適応がうまく行えず、専門的な介入が必要となる精神症状を抱えます。国立がんセンターで行っている精神科コンサルテーション活動のデータによると、精神腫瘍科に紹介されたがん患者さん1721例のうち、もっとも頻度が高かったのは適応障害（34％）で、続いてせん妄（17％）、うつ病（14％）でした。これまでの疫学調査においても同様の結果が報告されており、がんの精神症状としてはこの３つが代表的な疾患としてあげられます。　治療後も患者によっては再発、治療中止などの局面を経ていく上で、がんや治療の副作用による苦痛、生活の不安など様々なリスク因子にさらされ、病期の進行とともに適応障害、うつ病の有病率が増加します（図参照）。さらに、これらの精神症状はＱＯＬの低下だけでなく、患者の自殺のリスクも高めます。今から10年ほど前のデータになりますが、追跡したがん患者さん約２万4000人のうち、自殺率は0.20％という結果でした。有病率も自殺率も決して高くはありませんが、がんを発症する人は年間64万人といわれ、さらなる増加が見込まれる今後において、精神症状を抱える患者も比例して増えるということになります。　最近はがんの情報開示が一層進み、日本の場合は治らなくても２週間で退院を迫られる状況もあって、これまで以上に“悪い知らせ”を伝えなくてはならない機会が増えてきています。そのようなときに、患者がこれまで通ってきた道のりに沿って、不安の解消と今後の見通しを含めた説明をきちんと行うことが重要。医学的な情報を提供しただけでは患者は途方に暮れるだけになってしまいます。しかし、現在のがんの臨床現場ではこうした患者の精神的な側面が看過されているのが実情です。◎がんセンターでは、サイコオンコロジスト（精神腫瘍医）はどのような関わり方をしているのですか。内富　担当医からの依頼があった場合に精神腫瘍医が診察を行う、というのが基本的な流れです。とはいえ、精神腫瘍医に紹介されてきた時点で、かなり精神症状は進んでいます。したがって、患者さん本人に対して「“心の痛み”を専門家に伝える」ということの啓発が重要です。　しかし、患者さんにとってそれはなかなか難しい。そこで医療側からのアプローチとしてスクリーニングが重要となります。現在、がんセンターでは「つらさと支障の寒暖計」というスクリーニング法を導入しています。告知後、または再発後のタイミングで担当医や看護師が患者さんに、「つらさ（心の痛み）」が与える生活への支障を10点満点でたずね、３～４点をカットオフ値としてスクリーニングし、「陽性」と判断した患者さんに精神腫瘍科の受診を促します。このような活動を通して、およそ４人に１人が受診している状況です。現場の意識なくては出来ないケアですが、こういった体制の構築は、早いところだと２～３年、長い場合は10年はかかるでしょう。◎サイコオンコロジストによるフォローアップ体制が整っている病院は、現在どのくらいありますか内富　現在全国に375か所あるがん拠点病院でも数十数施設に限られています。がん拠点病院は都道府県レベルと、地域レベルがありますが、都道府県拠点病院の指定要件には「精神腫瘍科」の設置を必須項目に入れるなどの手を打たなければ、なかなかがん医療として根付かせることは難しいと思います。　人材面も不足しています。ただ、がん対策基本法の育成強化策の影響もあり、研修指導が行えるサイコオンコロジストが300人まで増え、一方でJPOSの会員数も1119人と、世界のサイコオンコロジー学会の中で最多となっています。したがって今後の課題は、さらなる人材育成、そして患者とのコミュニケーション技術の普及です。　患者・医師間で伝達される情報には生命にかかわる内容が含まれていたり、また治療が長期に及ぶことを説明するケースがあるため、とくに進行がんの診断や再発、積極的抗がん治療の中止といった“悪い知らせ”を伝える際の患者・医師間のコミュニケーションには非常に注意を払わなければなりません。効果的なコミュニケーションは患者に高い満足感を与え、心理的ストレスを軽減させますが、一方でコミュニケーションスキルが不十分な医療者は自分自身も燃え尽き、患者さんも抑うつや不安が高まることが示唆されています。　こうした患者・医師間のコミュニケーションをめぐって十分な教育が必要との観点から、がん対策基本法の施行以降、医療研修推進財団が主体となり、JPOSが協力する形で「コミュニケーション技術説明会」（ＣＳＴ）が始まりました。　ＣＳＴは、がん医療経験年数が３年以上あり、難治がんの告知、再発、積極的抗がん治療の中止など、“悪い知らせ”を患者に伝える診療に携わっている医師を対象とした研修会で、主に①がんを伝える②再発を伝える③積極的抗がん治療の中止を伝える─という３つの場面におけるコミュニケーションスキルを、講義と模擬患者さんを相手にしたロールプレイによって体得するというものです。　テキストには「患者さんの感情に配慮する」などといったポイントが敢えて示されています。実は医師はその点を最も苦手としますが、一方で患者さんはそれを一番強く望みます。これはとくにアジア人に強く見られる傾向です。ですので、テキストは日本人の心理状況を配慮した内容に仕上がっていますが、韓国と台湾でも採用されています。◎学会が09年７月に一般社団法人化したということで、今後の取り組みについて教えてください内富　JPOS認定による「登録精神腫瘍医」制度を新たに立ち上げ、現在、ホームページ上で申請を受付けています。申請資格は、JPOS会員であり、がん医療に従事した経験を３年以上有するなどの諸条件がありますが、認定に際しての評価はレポート審査のみで、認定試験は実施しないという、これまでに例のない認定制度です。　というのは、我々は認定制度は単なる“勲章”ではなく、患者・家族の相談に科学と医療技術をもって真摯に対応できる人材こそが認定医であるべきと考えたためです。JPOSの認定を受けた医師は学会ホームページにリストアップして掲載されますので、登録精神腫瘍医として相応しい熱意のある方、具体的には、薬物療法一辺倒ではなく、病気に関わる悩みなどにきちんと耳を傾けられる方々に担っていただきたいと思います。（インタビュー　後藤 恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sun, 27 Dec 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
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            <title><![CDATA[世界標準となった大腸がん化学療法の選択肢　バイオマーカーを用いた個別化医療も浸透]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=38233</link>
            <description><![CDATA[国立がんセンター 中央病院 消化器内科　山田 康秀　医長　89年弘前大学医学部卒業。96年癌研究会附属病院化学療法科勤務を経て、98年より現職。日本癌学会、日本癌治療学会（日本がん治療認定医機構がん治療認定医）、日本臨床腫瘍学会（暫定指導医）などの国内学会のほか、ASCO、ESMOなどの海外諸学会にも多数所属する。　09年の７月に発行された「大腸癌治療ガイドライン」の改訂版で、化学療法の推奨レジメンが多様になった。とくに「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に関しては、ベバシズマブ（製品名：アバスチン）やセツキシマブ（アービタックス）といった新たな分子標的薬の位置づけが明確化され、世界標準に近い治療アルゴリズムが記載された。さらに今後はパニツムマブ（ベクティビックス）の上市が見込まれているほか、抗上皮成長因子受容体（EGFR）抗体とKRAS遺伝子の変異と有効性との関連をめぐる研究も進んでいる。新たな展開を遂げている同領域の現状と今後の展望について、国立がんセンター中央病院の山田康秀・消化器内科医長に話をうかがった。◎大腸がんの新ガイドライン（ＧＬ）の改訂、特に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」の化学療法のレジュメンについてご見解をお聞かせください山田　セツキシマブが承認され、NCCN（米国総合癌センターネットワーク）のＧＬとほぼ同様に国内でも５種類のアクティブな治療薬が使えるようになったので、ようやく世界標準といえるレベルの内容に仕上がったのではないかと思います。　１stラインのベバシズマブ、あるいは１stラインでベバシズマブを使用していない人の２ndラインのベバシズマブ投与については、エビデンスに基づいていてよいと思います。ただ、現在のＧＬではまだ不明なＢＢＰ（Bevacizumab Beyond PD：ベバシズマブをＰＤ〔進行〕後も継続投与する治療法）の部分、１stラインにベバシズマブを使った人に対して２ndラインでも同剤を使うべきかどうかについては、現在ドイツを中心に行われているフェーズ３試験の結果を待って考えるということです。最近は実臨床で２ndラインにもベバシズマブを使っているという話を聞きますが、ＧＬ上、あるいはがんセンターでのプラクティスとしては、１stラインでベバシズマブを使った人の２ndラインの使用はまだ行っていないというのが現状です。　セツキシマブに関しては３rdラインを推奨していますが、FOLFIRI療法（持続静注5-FU＋ロイコボリン＋イリノテカン）の１stラインにおける不応例での２ndラインの使用も、症状が進行し、３rdラインとしてセツキシマブを投与できなくなるかもしれない患者さんや、腫瘍縮小により切除可能となる可能性のある肝転移の患者さんにはよいと思います。　また、２ndラインまででイリノテカンに不応となった患者さんの３rdラインに、イリノテカンとセツキシマブの併用療法、あるいはセツキシマブ単剤を使用すると思いますが、そこがセツキシマブを使うベストのポジションだと思います。その理由は２ndラインのEPIC試験（イリノテカン±セツキシマブ、多国間臨床試験）です。無増悪生存期間（ＰＦＳ）は延長したが、全生存期間（ＯＳ）はイリノテカン単剤とイリノテカン+セツキシマブで全く変わらなかったということで、３rdラインで使ってもＯＳで十分同等の効果が得られるだろうと。しかも、イリノテカンが不応で３rdラインでセツキシマブを使った人が40％ほどだったと思いますが、それでもＯＳのベネフィットが出なかったということですから、副作用を加味して考えても３rdラインでセツキシマブを使用することは極めてリーズナブルだと考えます。　一方で、セツキシマブの副作用で最も問題となるのが皮膚毒性です。治療の初期に出てくるのはニキビ様の皮疹ですが、治療を継続する際に忘れてはならないのが爪囲炎 (そういえん) です。これが、治療初期（約１～２週間）にニキビ様の皮疹が出てくるのと異なり、爪囲炎に関しては約２カ月半～３カ月後から出てきます。要するに、治療効果がある人に対して問題となってくる副作用なのです。　爪囲炎は症状が進行すると強い炎症が見られ、ボタンが留められなくなったり、歩くことも難しくなります。治験時は減量で対応していましたが、減量で治る人はいません。止むを得ず休薬するのですが、休薬でも１～２週間休薬した程度では治りません。これまでの臨床試験の結果であまり表には出ていませんが、白血球減少を伴う抗がん剤と併用した場合にはそこに感染症を併発することもあり、非常に重要な問題です。他の毒性としては下痢や倦怠感などもありますが、トータルに毒性と延命効果を勘案して考えた場合、１st、２ndラインからセツキシマブを併用することは勧められないと私は考えています。　１stラインの患者さんは社会の中で生活可能な人たちで、ほとんどの患者さんが仕事をしながら治療しています。有害事象としては「グレード２」でたいしたことはないと思われがちですが、「グレード３」は機能障害ですから疼痛を伴うような「グレード２」は決して軽いものではありません。◎ベバシズマブの副作用はいかがですか山田　ベバシズマブの副作用は、海外の臨床試験結果から高血圧とたんぱく尿が指摘されていましたが、たんぱく尿は非常に頻度が低く、よく見られる毒性は高血圧のみです。抗がん剤との併用療法を行ってもオーバーラップして悪化するような副作用は極めて少なく、患者さんにとっては抗がん剤の単独治療時とほぼ同じ状況で投与できるので、医師側としても使いやすく、また患者さんにとっても受けやすい治療であると考えています。◎９月に開かれた欧州臨床腫瘍学会（ESMO）でKRAS遺伝子野生型の転移性大腸がんで、セツキシマブが全生存期間を延長したという結果が報告されましたが、この結果をどう評価されますか山田　FOLFIRI±セツキシマブを比較するフェーズ３試験（CRYSTAL試験）とFOLFOX4 （持続静注5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン）とFOLFOX4+セツキシマブ療法を比較するフェーズ２試験（OPUS試験）をKRAS遺伝子野生型の患者さんで見たときに、ＯＳで差が出たというデータですが、２ndライン以降で抗EGFR抗体を使っていた患者さんの割合はCRYSTALで28％、OPUSでは18％と、ほとんどファーストラインで使われており、セカンドライン以降でほとんど使われていません。　したがって実臨床で行われているように２ndライン以降でセツキシマブを使えば、EPICと同様にその差は埋まってしまうのではないかと思います。「抗EGFR抗体を１stラインで使用」vs「２ndライン以降使っていない」ということで、これは実臨床と大きくかけ離れた治療です。実臨床では１stライン、２ndラインで使わなければ３rdラインで投与しますから、そのＯＳの差は縮まっていくのではないかと思います。　実臨床において３rdライン、または２ndラインでセツキシマブをKRAS遺伝子野生型の人には必ず投与するようにしています。その意味で、それを反映していないCRYSTALやOPUSのデータで、いくらＯＳが優っているという結果が出ても、そこは疑問を感じます。　加えて、先述した毒性の問題で、患者さんは１stラインから皮膚症状で悩まされ、機能障害が出るような爪囲炎で苦しめられるわけですから、その点も含めてトータルで考えるべきだと思います。◎申請を控えたパニツムマブについて、上市した際のポジショニングをどうご覧になりますか。とくに同じ抗EGFR抗体であるセツキシマブとの差別化について山田　はっきり言って難しいと思います。パニツムマブは２週間に１回投与という点を特長としているようです。セツキシマブは国内で承認されている療法は週１回の投与ですが、米国ではすでに２週間に１回の投与を実施している施設があります。国内でもセツキシマブを２週間に１回投与している病院はすでにあるでしょうから、おそらく来年にはフェーズ２のデータが出てくるのではないでしょうか。◎副作用のプロファイルは山田　セツキシマブとほぼ同様です。皮膚毒性に関してはセツキシマブより強いと見る人もいますが、両方の試験に関わった立場としては、それほど変わらない印象です。また、パニツムマブにはイリノテカン不応例に対するイリノテカンとの併用のデータがありません。せめて３rdラインでイリノテカン+パニツムマブのフェーズ２のデータでもあれば発売直後に置き換えやすくなるとは思いますが。　転移性大腸がんに対する２ndラインのFOLFIRI+パニツムマブでは、KRAS遺伝子野生型でＰＦＳで有意差を得ていましたが、ＯＳで差は出ていないので、おそらく国内のドクターのこれまでの抗EGFR抗体に対する印象からすると、２ndラインからパニツムマブを積極的に使おうという判断にはならないと思います。◎パニツムマブに続く有望な薬剤はありますか山田　出てきてほしいのはRAS変異例に有効な薬剤ですね。BRAF阻害剤とＭＥＫ阻害剤は国内でも続々と治験に入ってくると思います。ただ、大腸がんに対する効果は不明です。　残念ながら、有望な薬剤という点では、現在はありません。先日、米国のドクターとアジアのドクターが集まったミーティングで同じような質問があったのですが、抗IGF-1R抗体や抗ＤＲ（Death Receptor）抗体、mTOR阻害剤などの選択肢があるなかで、最も多かった意見は「大腸がんの生物学をもっと知ろう」ということでした（笑）。◎KRASとそれ以外のバイオマーカーをめぐる動きを教えて下さい山田　KRASの遺伝子変異検査は測ることが当然になってきており、最近NCCNが発表した大腸がん診療ＧＬでも推奨項目として新たに盛り込まれました。一方で、国内ではまだ保険で認められていませんので、どこのドクターも苦労されているところですが、この問題は早ければ来年の半ば頃には解決するのではないかと思います。　KRASの他にはBRAF、PIK3CAがあります。当センターの研究ではBRAFは５％ぐらいの陽性率で、海外が10％程度であるのに比べて若干低めです。他の施設でも４～５％ということで、おおむねそのあたりに落ち着くかと思います。　BRAFのＶ600Ｅに変異があるがんは予後不良といわれていますが、当センターの症例でもセツキシマブの奏功例は見られませんでした。また、ASCOで発表されたCRYSTAL試験の結果では、「BRAF変異あり」は予後不良でしたが、BRAFの有無でセツキシマブの治療効果に差はない、との報告がありました。　当センターの研究結果を含めても対象は５％のみで、またその５％の中でもＳＤ（病勢安定）症例があるので、もはや高額な検査料をかけてBRAFの遺伝子変異検査を行う必要はない、というのが我々の結論です。　同様に、PIK3CAに関しても海外のレトロスペクティブな解析で、遺伝子変異があるものは効果がないとの報告があります。ただ、当センターのセツキシマブ投与例では長期ＳＤ例も見られています。以上のことから、効果予測因子としてKRAS同様に使うことはできないでしょう。したがってKRAS、BRAF、PIK3CAの遺伝子の中で、現在確認すべきものはKRASのみと、いう結論に達しています。（インタビュー：後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sun, 29 Nov 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[アルツハイマー病の期待の新治療法 ワクチン、抗体医薬の開発は難航]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=38103</link>
            <description><![CDATA[国立精神・神経センター葛原 茂樹　病院長　1970年東京大学医学部卒業。79～81年ウェストヴァージニア大学、クリーブランドクリニックの米国留学、01～05年三重大学医学部附属病院長を経て、07年三重大学名誉教授就任。同年より現職。日本神経学会理事長、日本神経治療学会、日本認知症学会など複数学会の理事を務めるほか、厚生労働省の長寿科学総合研究事業評価委員、難治性疾患克服研究事業評価委員などを務める。　　高齢化の進展ともに増加傾向にあるアルツハイマー型認知症。その治療は、依然として根本原因を食い止めることのできない対症療法が中心となっている。一方で国内では複数の薬剤開発が進行中で、β-アミロイドの産生を抑制する治療薬や抗アミロイド抗体製剤など高い可能性を秘めた化合物が今後10年以内に上市され、治療環境の改善につながると期待されている。現在開発中の新薬の登場が治療上どのようなインパクトをもたらすのか。同疾患の治療上の課題、将来の治療法の展望について国立精神・神経センター病院の葛原茂樹院長に話を聞いた。アルツハイマー病とはどのような病気ですか。近年増加傾向にありますが、その背景について教えてください葛原　病理学的には脳の中に「老人斑」というβ-アミロイドタンパクでできている神経細胞外の蓄積物と、神経細胞の中にできるリン酸化タウタンパクの凝集物「アルツハイマー神経原線維変化」という２つの特徴をもって神経細胞が減少する病気が「アルツハイマー病」と定義されています。その多くは原因不明で、とにかく加齢が危険因子のほとんどを占めています。それから数は少ないですが、優性遺伝性アルツハイマー病。これは若年性アルツハイマーといわれているものです。若年性アルツハイマーが最近話題になることがよくありますが、患者数が増えているのではなく、そういう病気あるということが認識され、注目されるようになったのだと思います。若く発症するものほど、遺伝子異常から遺伝素因があるものを含めて遺伝的要素は大きいです。そしてダウン症候群も病理学的にはアルツハイマー病の所見です。今から30年ほど前、国内では認知症患者のおよそ６割程度が脳血管性の認知症で、アルツハイマー病はせいぜい２～３割程度といわれていました。しかし、いまや認知症のほとんどをアルツハイマー病が占めています。その増加の背景とされる要因のひとつは診断の見方の変化です。欧米では、50年以上前から認知症のほとんどがアルツハイマーと診断されており、脳血管性が多かったのは当時、日本だけでした。血管性障害は画像所見による変化が明らかでわかりやすく、そちらの所見に引きずられていたというのも一因としてあります。しかし、症状から見る限りでは当時もアルツハイマー病がかなりあったと思われます。そしてもうひとつの背景は日本人の食生活の変化です。脳卒中などの脳血管性障害が以前に比べると高齢化・軽症化しており、しかも患者数も減っています。したがって、脳血管性の認知症が実際に減っているということと、臨床症状を正確に診てアルツハイマー病と診断するようになった、その２つの影響がアルツハイマー病の増加に大きく表れていると考えられます。一方で、アルツハイマー病自体ももちろん増加しています。60、65、70歳と、年齢が５歳上がるごとに患者数は約２倍近くに増加し、とくに女性に多いのが特徴です。近年、75歳以上の後期高齢者の女性が増加傾向にありますので、アルツハイマー病の予備軍は確実に増えていると言えるでしょう。現在行われている治療法について教えてください葛原　現在の治療戦略の根本となっているのは「アミロイド仮説」です。これは今から30年ほど前に英国で、ダウン症で亡くなられた方の様々な年齢の脳を比較検証して立てられたもので、その後立証されているのですが、アルツハイマー病では、まずβ-アミロイドタンパクが神経細胞の外に蓄積し、その細胞毒性によって神経細胞の中にタウタンパクの蓄積が起こって神経細胞が死滅するという仮説です。この仮説に基づいた治療法として、β-アミロイドが蓄積しないようにする、あるいは除去すればアルツハイマー病にならない、もしくは進行を抑制できるのではないかということで、β-アミロイドの蓄積を阻害するというポイントが一番基本的な治療方針として注目されました。しかし、そこに至るまでには非常に時間がかかるため、まずは神経細胞が減少した結果に生じた神経伝達物質の是正が着目されました。中でも最初に減少するのが、脳の深部にあるマイネルト核のアセチルコリンを分泌する大型神経細胞です。アセチルコリンは記憶に関係する神経伝達物質なので、アセチルコリンそのものを増やすことで記憶を改善する治療法が考えられました。そこで、アセチルコリン分解酵素の働きを抑制すれば、脳の中のアセチルコリンが増加するのではないかということで、様々なアセチルコリン分解酵素阻害薬が試されました。その結果、フィゾスティグミンという重症筋無力症の治療薬の抗コリンエステラーゼ薬の類似薬などで一定の効果が得られましたが、結局、塩酸ドネペジルがアセチルコリンの分解酵素を抑えて脳内でアセチルコリンを増やすということで、米国で先んじて治験が行われ、現在は国内でも「アリセプト」（エーザイ）という製品名で販売されています。現在、日本国内で認可されているアセチルコリン分解酵素阻害薬はこの塩酸ドネペジルのみで、治療も同剤による対症療法が中心となっています。すでに海外で市販されている同種のリバスチグミンやガランタミンは国内の治験を終了し、現在申請中の段階にあります。また、塩酸メマンチンは作用機序が異なる興奮性アミノ酸のグルタミン酸阻害薬ですが、海外では認知症治療薬として認められています。今後の新しい治療法の展望について教えてください葛原　近年、新たな治療法として最も有望視され、期待されていたのはβ-アミロイドワクチンです。ヒトのアルツハイマー病遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスを用いた研究では、β-アミロイドが脳に蓄積し餌探しが下手になりますが、それにβ-アミロイドワクチンを投与すると、脳の中のβ-アミロイドがどんどん溶け出して減少し、餌探し行動も改善するという実験結果が得られました。その結果を人に応用する試験が６～７年前に行われたのですが、残念ながら副作用のワクチン接種後脳炎が高率に発生し、死者も出るという結果でした。 それ以降、副作用のないワクチンをめぐっていくつか開発が行われていまして、それが一部キーオープンされました。近年開発された「ＰＩＢ　ＰＥＴ」といって、脳の中に蓄積したアミロイドに結合する放射線医薬品を入れて脳内のβ-アミロイドの増減を標識できるＰＥＴを使って調べた結果、ワクチンを使うとβ-アミロイドが減少することはわかりましたが、β-アミロイドを減らしても症状は改善せず、どんどん進行していくことがわかりました。以上の結果からワクチン関係の治験は、一部は続いていますが、途中で中止になっているケースが多いようです。こうした経緯を経て、アルツハイマー病様症状を呈した症例に対しては、もはやβ-アミロイドを除去するだけでは治療できないだろうということで、次の標的となったのがβ-アミロイドが溜まり始めたばかりの軽度認知障害（ＭＣＩ）です。ＭＣＩは発症前段階で、記憶障害のみで生活に支障はない状態ですが、せめてＭＣＩと診断されるよりも前の段階、あるいはもっと早い40代、50代のβ-アミロイドが溜まり始めたばかりであれば有効かも知れない、という見方になってきています。β-アミロイドのみが蓄積し、タウタンパクが溜まっていないようなステージの症例を見つけ出し、β-アミロイドを減らす治療をしたらどうなるかという治験は、今後出来るかも知れません。あるいは「ＰＩＢＰＥＴ」では異常が見られるが、アルツハイマー様症状がないという人に対して、早い時期からワクチンを投与するという方法も可能かと思います。抗体製剤の開発状況についてはいかがですか葛原　抗β-アミロイド抗体についても、いま治験が進行中です。ただ、これの問題点はアレルギー反応が起こる可能性があるということと、結果的にはワクチンと同じことですから、その有効性を疑問視する声もあります。したがってワクチン同様、抗体製剤に関しても始まったときのような熱気はなくなっているように思いますね。以上のことから、最近は塩酸ドネペジルと同様の対症療法を中心に、従来からある薬の中でさらに有効性の高い薬がないか、ということに注目が集まっています。他には脳内の酸化ストレスを低下させ、エネルギー代謝を増強させることで脳内の神経細胞内のミトコンドリア活性を高める作用がある薬剤も、米国で治験が進んでいます。このへんの薬剤については、一昔使用していた薬のリバイバルという感がありますね。もうひとつ、β-アミロイドの生成を阻害する薬剤の候補品として、γセクレターゼの働きを抑制する「γセクレターゼ阻害剤」の開発が現在進行中です。アミロイド前駆タンパク質はβセクレターゼ、γセクレターゼによって切断されるのですが、γセクレターゼによって生じるβ-アミロイド40、β-アミロイド42が凝集し、その凝集体が神経細胞障害・細胞死につながることで、アルツハイマー病になると考えられています。γセクレターゼの働きを抑える作用を持っている薬は、NSAIDという非ステロイド性の抗炎症鎮痛薬にありまして、経口投与でβ-アミロイドの蓄積を予防できると考えられています。これは従来からある試みですが、ワクチンが下火になった分、そういったものが最近強調されるようになってきたように思います。ただ、ワクチン同様、β-アミロイドがまだ蓄積途上で、神経細胞に大きな影響が出ていない時期をターゲットにしないと、すでに神経細胞の中にタウが溜まって神経細胞の減少が始まった時点ではかなり無力だと思われます。したがって、どの病期で使用するかを考えたうえで治験デザインを組む必要があると思います。また、ワクチンよりもβ-アミロイドを除去する作用は弱く、どちらかというとβ-アミロイドが蓄積する流れを止めるという作用であって、現在溜まっているβ-アミロイドを動かすのもではありません。よって、アルツハイマー病の発症前のより早いステージ、β-アミロイドが蓄積状態にある人にどう使うか、といった治療のデザインになるのではないかと思います。β-アミロイドの蓄積については「ＰＩＢ　ＰＥＴ」で見つけられるようになったので、その点に関しては一昔前とは全く異なる開発環境になったと思います。また、最近では細胞療法という話もあります。ＥＳ細胞やｉＰＳ細胞によってアセチルコリンを出す細胞を作製し、移植する治療法です。ただ、この治療法に関してはそんなに容易には実用化されないでしょう。薬物の反応性は簡単に見ることは可能ですが、それを治療に応用するのは当分先のことだと思います。ここ数年でずいぶんと様々な動きがあったのですね葛原　そうですね。非常に劇的な変化で、短い間に栄枯盛衰を見ている感があります。ただ、この分野が非常に進歩しているということは間違いありません。医学の進歩と治療効果が並行しないというのが残念なところですね。アルツハイマー病の患者さんは非常に増えてきており、新たな治療法が待たれていますから、“七転び八起き”で、ワクチンもどのようなステージから使用するかなどを考えれば、まだまだあきらめるべきものではないと思います。（インタビュー：後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Fri, 30 Oct 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[慢性骨髄性白血病の治療に新たな選択肢 第２世代ＴＫＩが与えるインパクト]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=37813</link>
            <description><![CDATA[東京医科大学内科学第一講座大屋敷 一馬　教授　1978年東京医科大学医学部卒業。84～88年ニューヨーク州立ロズウェルパーク記念研究所留学を経て、99年より現職。東京薬科大学薬学部客員教授。日本内科学会評議員、日本血液学会監事・代議員、日本がん学会評議員、日本臨床腫瘍学会評議員などを務める。東京都医師会医学研究賞を受賞。趣味は「絵画鑑賞」。　分子標的薬グリベック（一般名：イマチニブ、ノバルティスファーマ）の登場で飛躍的に治療環境が改善した慢性骨髄性白血病（ＣＭＬ）。今年３月には新たな治療薬、スプリセル（ダサチニブ、ブリストルマイヤーズスクイブ）とタシグナ（ニロチニブ、ノバルティスファーマ）が発売され、グリベック抵抗性・不耐容の患者に対する治療法の選択肢の幅が広がった。これらセカンドラインとなる薬剤の登場がＣＭＬ治療にどのようなインパクトをもたらしているのか、薬剤使い分けのポイントや現状の課題、新薬開発をめぐる状況などについて東京医科大内科学第一講座の大屋敷一馬主任教授に話を伺った。白血病とはどのような疾患でしょうか　白血病は非常に幼若な細胞が増える場合と、形態的に成熟した細胞が増える場合の２つに分かれます。成熟した細胞が増える場合を慢性白血病、芽球という幼若な細胞が増えるものを急性白血病といいます。さらに骨髄系かリンパ系かで、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病に分類されます。従来、ＣＭＬは３～４年の慢性期の後、移行期、急性転化期を辿り死亡する場合が多く、生存期間が大体３～５年ほどでした。そこに造血幹細胞移植やインターフェロンが登場し、インターフェロンでは５年生存率が60％、７年生存率30%にまで改善しました。ところが、この状況を大きく変えたのが、02年に認可された分子標的薬グリベックです。　ＣＭＬではほぼ100%の患者さんにフィラデルフィア染色体（Ｐｈ染色体）という特異的な異常染色体がみられます。これは９番染色体と22番染色体の相互転座によりａｂｌという遺伝子とｂｃｒという遺伝子が融合したもので、新たな「BCR- ABL」蛋白が白血病細胞を無制限に増加させることで白血病を発症します。この遺伝子異常にターゲットを絞って開発されたのがグリベックです。作用機序はＣＭＬの白血病細胞増殖のシグナル伝達に重要なBCR - ABL蛋白のＡＴＰ結合部位にはまり込み、本来ＡＴＰが結合して起こるシグナル伝達を抑制することで白血病細胞の増殖を抑制します。　グリベックの登場以降、７年生存率が86％にまで改善されたという海外の試験データ（IRIS試験）があります。国内でも90％に達していると思います。ＣＭＬが「死に至る病」であるという認識は薄らいでおり、患者さん自身が白血病であることを自覚していない場合も多いです。グリベックに抵抗性・不耐容の患者さんがいることが問題視されています　この「抵抗性」という認識には注意が必要です。抵抗性の判断は、あくまで診断時からグリベック400mgの服用を継続することが前提となります。しかし、実際は慣れにより飲み忘れる場合も少なくありませんし、なかにはＣＭＬであることを認識しておらず服用しない患者さんもいます。もちろん副作用で服用を中断する「不耐容」の患者さんもいますし、１錠3200円（月約38万円程度）という経済的な負担から服用量を自分の判断で減らす患者さんもいます。したがって、抵抗性と判定する以前にまず服薬コンプライアンスをチェックすることが非常に重要となります。　また、抵抗性と判定するにはポイントがいくつかあります。グリベック服用後、①３カ月で血液学的完全寛解（ＣＨＲ）が得られない②12カ月で細胞遺伝学的完全寛解（CCyR）が見られない③18カ月では分子遺伝学的大寛解（ＭＭＲ:診断時の1000分の１にBCR-ABLを低下させる）が得られない─―これらの基準をクリアすることが、抵抗性と判断する基準になります。ただ、それは先に述べた服薬コンプライアンスをチェックした上での話で、そこを見極めずに医師が「これは効いてない」と判断してしまうと、とんでもない間違いを起こすことになります。しっかり服用しなければ分子再発も起こり得ますし、低用量で服用した場合、よりBCR-ABLに変異が生じる可能性があることも指摘されています。　また、抵抗性と判定する際に、そのBCR-ABL変異のチェックも重要なポイントとなります。変異はBCR - ABLのポケットの数十カ所で生じ、それが生じるとグリベックが効かなくなることもあることがわかっています。そこで第２選択薬のＴＫＩ（チロシンキナーゼ阻害剤）の役割が重要になります。タシグナ、スプリセルのセカンドラインとしての位置づけについて教えてください　グリベック投与6カ月目における効果を示した論文がありますが、それを見ると６カ月目の判定で無効、あるいは効きが不十分であった患者さんの予後は極めて悪い結果であることが報告されています。一方、６カ月目の判定で良好な反応（骨髄染色体検査でＰｈ陽性細胞が35%以下：部分的細胞遺伝学的反応あり）を示している患者さんの長期予後は非常に良いです。したがって、治療開始６カ月目の判定でどのような状態にあるかが治療変更の大きなポイントとなりますので、その時点でグリベックの効果が期待できないと判断されたら、BCR-ABL変異も調べる必要があります。　グリベックが効かないなら次の薬、タシグナ、スプリセルにすればよいだろうという意見もあるでしょう。しかし、それまでのグリベックに対する反応性をスコア化することで、第２世代のTKIを使用した場合の反応性、予後がわかるようになってきました。これについてはまだ論文化されていませんが、グリベックでのＰｈ陽性細胞の減少の程度、治療開始時に行うSokalスコア（年齢、脾腫、血小板数、末梢血芽球数で計算する予後因子）、治療後の好中球減少などからスコアを割り出すことで、セカンドラインのＴＫＩを使った場合によく効くタイプか、そうでないかがわかります。セカンドラインのＴＫＩでも非常に効きが悪いと推測される患者さんは、年齢が許せば同種造血幹細胞移植という選択肢に進むことになりますが、問題はどちらとも言えない患者さんです。一度はセカンドラインのＴＫＩを投与し、様子を見ながら治療を進める形になりますが、この場合は主に移植の組み入れ方を考える上での判断材料になります。　セカンドラインのＴＫＩが非常に有効と考えられる患者さんにはもちろん使用を進めますが、そこでスプリセルとタシグナをどう使い分ければよいかということになります。タシグナはグリベック抵抗性を補う目的で作られた薬剤なので、BCR-ABLに対して特異的な性質をもちます。一方のスプリセルはもともと免疫抑制剤として開発された分子標的薬なので、BCR-ABLにはもちろん、標的となるキナーゼの種類が非常に幅広いのが特徴です。　慢性骨髄性白血病とＰｈ陽性急性白血病のグリベック抵抗性症例のうち、約25％の患者は変異はあるものの、ある程度ＴＫＩの血中濃度をあげれば効果が出るタイプです。残りの30％程度がかなり高用量を使わなければならず、さらにそのうち５％は何をやっても効きません。残りの45％の方は変異が検出できなくて抵抗性を示しているので、より広いレンジをもつスプリセルをことも理にかなっています。より濃度をあげれば効果があるタイプの患者さんにはタシグナも良いかもしれません。　結論としては、特殊な標的を狙ってセカンドラインのＴＫＩを用いたければタシグナがよいでしょうし、より病勢が進行したタイプで様々な遺伝子の変異が起きている可能性がある場合にはスプリセルが適しているともいえます。それらを踏まえ、適応も移行期～急性転化にはスプリセル、慢性期グリベック抵抗性・不耐容～移行期にはタシグナで保険適応があります。　また、使用にあたってはこれらの薬剤特性に加え、副作用をしっかり理解することが重要です。タシグナの場合の副作用は、糖尿病や膵炎があるので、それらの疾患をもつ患者さんは使用を避けたほうがよいでしょう。スプリセルの場合は胸水がみられることがありますので、例えば過去に胸腔の外傷、肺炎を患ったことがある、COPD（慢性閉塞性肺疾患）があるという場合には使いにくい薬です。また、スプリセルの副作用のひとつに出血があります。血小板が10万/μlを下回るような患者さんは注意が必要です。そのようなメリット・デメリットを勘案し、使用することが非常に重要です。タシグナについては初発のＣＭＬで現在臨床試験が行われていますがこの薬剤への期待は　これに関しては意見が分かれています。グリベックの投与量を400mgから800mgに増量する試験と、グリベック800mg vs スプリセル、グリベック800mg vs タシグナでファーストラインで用いた場合に、初発のＣＭＬで有用性を比較する試験が、米国のMDアンダーソンがんセンターで行われています。約１年で分子遺伝学的大寛解（ＭＭＲ）を得られたとの試験結果を09年の欧州血液学会（ＥＨＡ）で示しました。セカンドラインのＴＫＩに関しては長期の効果がどの程度期待できるか興味がもたれるところです。　ただ、どの治療法がよいかは試験が行われている最中なので、現状ではなんともいえません。服用量がかなり上がるわけですから不耐容で中断する可能性もありますし、その中断期間を含めた場合に最終的に患者さんの生存にどう影響するのか慎重に見ていく必要があると思います。例えばタシグナを初発の患者に使った場合、12カ月でＭＭＲが85％に達しており、一見有望に見えますが、副作用に関するエビデンスがそろっていない段階ではまだ明確な評価はできません。現在開発中の新規のＴＫＩであるボスチニブの状況は　フェーズ２／３が進められており、７月末で30例が終わりました。ただ、現状ではセカンドラインのＴＫＩとしてのボスチニブのポジショニングは今後の課題と考えます。ボスチニブが決定的に有効性を示すBCR-ABL変異や特殊な有効性があれば非常に有意義な新薬といえますが、タシグナもスプリセルも効かないBCR-ABL変異「T315I」にはボスチニブも効果はありません。一方で、ＭＤアンダーソンがんセンターが新規BCR-ABL変異阻害剤 の「INNO-406」の臨床試験を進行中で、グリベック抵抗性症例に対する有効性が評価されていますが、やはりT315Iには効かないようです。「T315I」に阻害活性を示す新薬の開発状況を教えて下さい　オーロラキナーゼ阻害剤「MK-0457」という新薬の臨床試験が行われていましたが、残念ながら１年ほど前に臨床試験が中止になりました。T315Iの変異が確認された場合の治療は、BCR-ABL変異のチェックとセカンドラインのＴＫＩの効果を見ながら造血幹細胞移植にもっていくというのが現状です。　ただ、まだ情報は少ないですが「ホモハリントニン」という植物由来のアルカロイド系抽出物を皮下投与する治療が試みられ、有効とする報告があります。グリベック耐性ＣＭＬに対してもホモハリントニン2.5 mg/m2量を24時間かけて点滴した後、1.25 mg/m2量を皮下注で１日２回、14日間投与する治療を寛解するまで28日毎に繰り返す治療により５例で寛解が得られたとする報告ですが、T315I変異と無関係に有効であったと聞いています。いまＭＤアンダーソンがんセンターで試験が行われており、それに関しては今後、期待が持てるかもしれません。（インタビュー：後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Mon, 31 Aug 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[がん患者急増でニーズ高まる緩和医療現場変えるスペシャリストの育成急務]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12720</link>
            <description><![CDATA[駿河台日本大学病院病院長日本大学医学部麻酔科小川 節郎　教授1972年日本大学医学部卒業。82年〜83年米ワシントン州立大学留学を経て、02年より現職。日本麻酔学会山村記念賞を２度受賞。日本麻酔科学会理事、日本ペインクリニック学会理事、日本疼痛科学会理事などのほか、ＮＰＯ法人「ＪＰＡＰ」の副代表世話人を務める。趣味は「居酒屋紀行」。　がん患者の急増とともに、ニーズが高まっているがん性疼痛に対する緩和医療。ただ、国内では終末期医療との違いが正しく理解されていなかったり、モルヒネに対するマイナスイメージが障害になったりと、治療の初期から正しく取り入れられていない。そうした状況を改善すべく、06年に施行されたがん対策基本法では緩和医療の早期実施を明記。今後、ますます需要の拡大が見込まれるが、まだ“準備段階”ともいえる。日本の現状について聞いた。「緩和医療＝終末期医療」との誤認も少なくありません。両者の違いを改めてご説明いただけますか　終末期医療というのは何も治療する手段がなくなった場合の最期のケアとしての医療を行うことです。それに対し、緩和医療というのは終末期だけでなく、治療初期であっても疼痛があればそれを取り除く手段です。疼痛といっても様々な症状があり、１番多いのが痛み、そして倦怠感、呼吸困難、食欲不振、便秘−−などです。　よって、緩和医療は終末期医療にも含まれますが、患者さんのＱＯＬを維持する上で、早期であっても当然行われるべきものなのです。がん対策基本法施行から３年、緩和医療をめぐる状況に変化は　緩和医療の早期導入の必要性が明記されたことは非常に意義のあることです。緩和医療を終末期医療ととらえる傾向は依然根強いですが、それでもずいぶん変わってきまして、とにかく疼痛の症状があれば緩和しようという状況になってきました。　具体的にいえば、緩和ケアチームを設ける病院が増えてきました（表参照）。中には基準に達しない施設もありますが非常に増えていますし、また国が緩和医療の専門家の育成にも着手しました。また、日本緩和医療学会が非常に発展してきている一方で、民間では「Japan Partners Against Pain」（JPAP）という５年前に発足したＮＰＯ団体が非常に活発に活動を展開し、緩和医療の重要性を啓蒙しています。　在宅医療も、まだまだ一般的に普及しているとはいえませんが、そういうものがあるという認知度は高まってきています。最近では訪問看護ステーションも充実しつつあるので、そういう意味では基本法が施行された３年前よりも機運が高まっていると感じています。　ただ、医師や医療体制がないという施設がまだまだ多いのが実情です。緩和治療を導入したいと思ってもモルヒネの使い方に対する知識の問題もあります。JPAPでは副代表でいらっしゃいますが、活動内容と設立５年目における活動の変化を教えてください　JPAPは、がんの緩和に携わる医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士といった医療従事者を中心に、がんの疼痛緩和の普及啓発を目的として設立しました。会員は2354人（08年10月現在）とずいぶん増えてきています。　活動は医療者向けと一般向けに分かれていまして、医療者向けでは施設に講師が出向き、緩和医療の講習を実施する活動を続けています。施設によって内容にばらつきがあってはならないので、まったく同じスライドキットを使用した講習で標準化を図っています。もちろんその内容はＷＨＯ式がん性疼痛治療を踏襲したものです。　一般向けの方々には、ＪＰＡＰのホームページに「痛みの相談室」という形で情報を提供していますし、疼痛対策に対するパンフレットなども、会員には無料で配布しています。市民公開講座は、毎回どの会場でも入りきらないほどの来場者数で、関心は非常に高いと感じています。緩和医療が浸透していない状況がありますが、これは医療側の意識、または制度上の問題なのでしょうか　最大の原因は、医療側にあると思います。それは医師個人ということではなく、緩和医療をしたくても１人ではできない状況にあるということです。　治療にあたっている医師はそれだけで手いっぱいですから、とても緩和まで手を回せません。緩和といっても痛みの治療だけではなく、先ほど言いましたよう様々な症状があります。それらにどう対応したら良いかという教育も受けていませんし、勉強しようと思っても講演会を聞く程度の方法しかありません。ですから、これまでの教育体制の不備にも問題があると感じています。教育に関しては、厚労省の研究班で人材育成事業も始まりましたね　始まりましたが、まだまだこれからです。最近では、大学教育において緩和医療の講義が取り入れられているようですが、それでも拡大する需要には追い付きません。それに緩和医療に本気で取り組むとなるとチーム医療が必要なので、医師の育成だけでなくチームを組めるだけの看護師、精神科医、薬剤師などといった人材の育成も必要です。　当然保険医療なので、それだけの人材を集めるとなると人件費を賄えない施設も出てきます。いろいろと保険点数はついていますが、とても足りません。今後の発展の障害は、こうした医療側の問題にもあると思います。緩和医療は在宅医療という観点から地域医療の充実を図る必要もありますね　そうです。徐々に広がりつつはありますが、体制としては十分とはいえない状況です。そういう体制が充実しているところは、「幸運」といわれるほどまれな地域でしょう。　とにかく、今は準備段階です。意識を高めようという時期。確かに学生に対して講義を行うと、緩和医療を志す学生はたくさんいます。　しかし、実際に現場に出られないことが教育上、最大のネックとなっています。薬１つ出すにしてもモルヒネの使い方から副作用の対応、また薬が効かなかったりと、様々な事態が起こりますが、それを実際にやらせてみる場が医学教育の中にはありません。医療者においても麻薬に対する偏見は依然として強いのでしょうか　強いです。もちろん、緩和医療を担当している医師はそんな誤解を抱いていませんが、それ以外の医師との認識のギャップは大きいです。とくに麻薬中毒になると考えるケースが１番多いですね。そういうイメージが強いこともあり、医療としては最後の最後に使う薬、他に方法がないときに使うものだと思われている医師が多いように思います。　１度使い始めると、次に使う薬がなくなるから早期に使用してはだめだとか。それらはすべて誤解です。耐性が生じることはあっても、実際に耐性が生じてオピオイド鎮痛薬が効きにくくなることは実際には少ないと考えられています。　オピオイド鎮痛薬を使用しているにも関わらず痛みが強く感じられる場合、また痛みが消失しない場合は、病状によって痛みが強まったか、あるいはオピオイド鎮痛薬が効かない新たな痛みが生じたと考えられますので、別の治療が必要となります。今後期待されている疼痛治療薬は。また新薬の実用化に向けた動きについて教えてください　世界で使用している良い薬のほとんどが、国内では使用できません。　現在、国内で使用できる代表的な麻薬はモルヒネ、フェンタニル、オキシコドンのみです。その他にハイドロモルホンなど安価で使いやすい薬がありますが、認可されていません。それらが入ってくると使用状況が改善されると思います。ただ、幸いフェンタニルとオキシコドンが使えるので、麻薬という意味では現状でもかなり良いラインナップにあると思います。　それから錠剤、張り薬、静脈投与できる薬、座薬、という点でもいろいろな種類がありますので、あとはそれを使いこなせさえすれば良いのではないかと思います。　その他のがん性疼痛には様々な痛みの要素が入っていて、神経障害性疼痛なども合併していますから、そういう症状に効く薬としては抗うつ薬や、抗てんかん薬が使えます。　現在、抗てんかん薬の中でもプレガバリンやガパベンチンという非常に有用な薬が治験中、あるいは適応の拡大が図られています。欧米ではすでに使用されている薬剤ですが、それが国内で使えるようになれば、かなり痛みの緩和にも役立つだろうと思います。緩和医療には薬物療法に詳しい薬剤師の存在が欠かせませんね　日本緩和医療薬学会で緩和薬物療法認定薬剤師という学会認定制度を設けていますが、専門知識をもった薬剤師の方々に対する期待は非常に大きいです。　薬の組み合わせ、作用機序、薬物動態などの知識に関する専門家ですので、さらに薬学教育も６年制になればそれらの知識も深まると期待しています。　もう一つ重要なのが患者さんに対する服薬指導です。その部分も薬剤師さんにやっていただけると間違いのない正しい薬学的な知識をもって指導にあたれますから、我々としてはぜひもっともっと緩和医療の現場に入ってきてほしいと考えています。　ですからチームには必ず薬剤師が入っていますし、むしろ緩和医療を担う人材として前面に出てきてほしいですね。緩和医療薬学会はこんなに薬剤師の方々は関心が強いのかと思うほど活発ですから、嬉しい限りです。最後に行政に期待することは　大学内に緩和医療科という科が内科や外科などと並んで存在する環境があるべきだと思います。いまは１つの科で治療をしながら緩和医療を行うという、片手間とまではいわないまでも、そういう形にならざるを得ない状況です。標榜科として確立し、そこでしっかりと緩和医療のノウハウから実践まですべてを出来るようになれば良いと思います。　とにかく行政には、緩和医療を担う人材育成や医療体制の構築を財政的に支援していただきたいですね。いまは医療全体が疲弊し、崩壊が起きています。最大の問題は医療費の削減です。医師の数も多すぎるといって減らし、今年からは増やすようになりましたが、時すでに遅いですよね。将来を見据えて、国民の医療のためにもっと予算をあててほしい、ただそれだけです。（インタビュー：後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Tue, 30 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[肝炎対策の課題は高齢患者有効な治療法活かせる政策展開を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=47</link>
            <description><![CDATA[78年東京医科歯科大学医学部卒業。95年に武蔵野赤十字病院内科部長、97年に同院消化器部長を経て08年より現職。近畿大学医学部客員教授、東京医科歯科大学臨床教授、山梨大学医学部非常勤講師を併任。厚生労働省の「データマイニング手法を用いた効果的なC型肝炎治療法に関する研究」の主任研究者をはじめ、「B型・C型肝炎治療標準化研究班」などの委員を務める。99年マイアミ大学に招聘され米国第１例目の肝癌マイクロ波治療を手がける。第48回日本消化器内視鏡学会会長賞受賞。03年度三越医学財団研究奨励賞受賞。武蔵野赤十字病院副院長消化器科泉　並木　部長政府の肝炎対策が強化されている。４月１日からは医療費助成の対象を、Ｃ型肝炎、Ｂ型肝炎治療に対するインターフェロン（IFN）治療期間を広げ、72週まで認めた。難治例を救済するのが狙いだが、一方で、高齢者を中心とする肝炎患者はリバビリンによる副作用などで治療を完遂できないケースも少なくない。また、確かな治療法がある一方で、治療を担う専門医や、専門医を中心とする医療連携など医療体制の整備も課題となっている。高齢患者が多いという特徴を踏まえ、今後どのような政策展開が必要なのか、どのような新薬の開発が期待されるのかなどを伺った。肝炎対策の現状は　02年から全国で行われたウイルス肝炎検診で、高齢になるにつれてＣ型肝炎ウイルスのキャリア率が高いことがわかりました（図）。40代のキャリア率は１％未満ですが、70代になると地域によっては５％を超えるケースもありました。一方で、キャリアの方々が治療に結びついていないという問題が浮かび上がってきました。検診でＣ型肝炎の感染が判明しても、専門医の受診を紹介される割合は非常に低いのです。　ただ、そもそも検診受診率が低いという問題があります。とくに大都市では企業健診が積極的に行われていますので、肝炎検診を行っている市区町村健診の受診率が低い状況にあります。企業健診の項目に肝炎ウイルスを導入するよう厚労省も要望していますが、コストの問題もあり、なかなか普及しないのが現状です。　一方で、専門医の受診につながるシステムとして肝炎拠点病院を県に１ヵ所ずつ選定することになっています。半数以上の都道府県では施設選定が完了していますが、選定するだけでなく、その後の医療連携が非常に重要ですし、専門医が不在の地域で治療をどう進めていくかが今後の課題です。中には医療連携パスを用いている地域もあります。　そしてもう１つの課題として、ＩＦＮ治療に至る患者さんが非常に少ないとのことです。その理由を調査したところ、高額な治療費が弊害になっている状況が明らかになり、08年度からＩＦＮ治療に対する医療費の助成制度が始まりました。さらに今年４月からは、ＰＥＧ－ＩＦＮ＋リバビリンの72週投与が医療費助成の対象になりましたね。　近年、肝炎ウイルスが血液から消える時期によって治療効果が大きく異なることがわかってきました。約３割の方は治療中もまったくウイルスが消えない、いわゆる「無反応」と言われます。残り７割は１度はウイルスが消えますが、そのうちウイルスが消えて治る率がおよそ40～50％です。　つまり残りの20～30％の方は治療中はウイルスは消えているが、治療を終えるとまたウイルスが出てきてしまう。これを「再燃」と言いまして、そうした症例を減らすための検討が行われてきました。　その結果、血液からウイルスが消える時期が12週～36週と、薬剤に対する反応が遅い方は、48週間の治療が終了した時点で治癒率は大体30％前後、25～6％くらいという施設が多いんですが、再燃率が高いために治癒率が低くなってしまうという問題点が浮かび上がってきたのです。　では72週間の治療ではどうなるのか。昨年10月に厚労省で全国６施設で検証した結果が示されました。それによると、12週以上36週未満の間にウイルスが消えた方は72週間治療することで治癒率が４割以上向上することが明らかになりました。したがって、この難治例（ジェノタイプ１ｂ高ウイルス型）に対しては治療を72週間まで延長し、ウイルスが排除できる人を増やそうという狙いから、医療費助成が適用されることになりました。　ただ、日本では高齢の患者が多いという特徴があります。そのため、リバビリンによる貧血などの副作用や体がだるいといった理由で治療を中断し、最後まで完遂できないケースが非常に多いという問題があります。　高齢者に対してはリバビリンの投与量を減らして治療にあたることが多いのですが、そうするとウイルスの消える時期が遅いんです。したがって72週の治療の対象者には高齢者が多くなるんですが、高齢の方で72週間治療を続けるということは非常に大変です。食欲が減退したり貧血で息切れしたり、最後まで治療を続けられない患者さんは少なくありません。国内ではこのような高齢の患者さんをどのように治療するかが重要な課題となっています。治療を中断させないための手立ては？　１つは、ウイルスの消え方を明示することです。ウイルスが何週目までに消えたかによって治癒率を示す科学的なデータがあります。ですから患者さんに対して、いつウイルスが消えたので、あなたは48週間治療したら何％治ります、または72週間治療したら何％治ります――という客観的なデータを逐一お話し、勇気づけて治療を進めていくことが重要です。　とくにいま、病診連携で週に１回の注射を開業医の先生にお願いしているケースがありますが、そのような場合にどうしても注射を続けられないという事態が発生しますので、専門医と開業医の先生方との間で情報共有できるツールとして、医療連携パスの活用が重要と考えます。　私どものデータで検討した結果、65歳以下の患者さんより65歳以上の高齢者の方が３倍くらい発がん率が高いということで、従来は高齢者に対してあまりＰＥＧ－ＩＦＮ＋リバビリン治療を行うべきではないという考えが一般的でした。しかし、最近では高齢者でも他に疾患がない場合、ウイルスを排除すれば肝臓がんにならないということがわかってきました。　なので高齢者に対してもウイルスを排除する治療をしたいのですが、残念ながらリバビリンに対する副作用が高齢者に多い。ＩＦＮも高齢者だと間質性肺炎や脳出血といったリスクも高まりますので、完遂できる率がどうしても少なくなってしまいます。したがって、いま一番重要なのは高齢者でも安全に、ウイルスを排除する効果の高い治療法を開発することだと思います。新薬開発をめぐる最新動向を聞かせてください。　現状では、ウイルスのプロテアーゼそのものを抑えるプロテアーゼ阻害薬が、最も上市に近いと考えられます。　ただ、これは単独で飲むと耐性ウイルスが出てしまうので、プロテアーゼ単独ではウイルスを排除するまでにはいかないだろうということがわかってきました。結局はＰＥＧ－ＩＦＮ、リバビリン、プロテアーゼ、この３剤を併用しないといけないので、やはりリバビリンによる問題はここでも解決されません。　治療効果が24週で出るという点で従来よりも治療期間が短くなる利点はあります。ただし、プロテアーゼ阻害剤を一緒に服用しますと貧血症状がより強く出てしまうという問題があり、高齢者がそれに耐えられるかどうかという危惧はあります。現状ではプロテアーゼ阻害剤に対する期待は非常に大きいのですが、それがどの程度日本人に対して安全なのかが今後の検証課題になると思います。　さらに今年、開発に入る候補の薬剤は多数あります。その中で副作用が少なく、高齢者でも安全にできる薬剤があるかもしれないので、その点も大きなポイントです。ウイルスそのものに作用する薬剤と、宿主に作用する薬剤なども開発されてきています。宿主側に作用する薬は薬剤耐性が出ないと期待されていますので、今後の開発状況から目が離せませんね。日本は海外諸国と比べて患者数は多いのでしょうか？　正確には難しいですが、おそらく多いと思われます。肝臓がんを発症している患者さんの数は、先進国で日本は圧倒的に多いです。その最大の原因は輸血だろうと思います。日本は早くから医療先進国だったので、輸血をするような手術、とくに結核の手術が多く行われ、当時、輸血が多く行われました。それが日本でＣ型肝炎が広まった一つの背景だと考えられます。それが幸いだったのかどうかは今となっては難しい判断ですが、当時、手術しなければ結核で亡くなっていた患者さんが多かったはずです。医療先進国だったがためにＣ型肝炎が広まり、その結果、肝臓がんが増えているということがあると思います。 だからこそ、なんとかしてＣ型肝炎を撲滅し、ウイルス性肝がんになる人を減らすことが日本の重要な課題だと思います。　日本では、高齢のＣ型肝炎患者が多いことが最大の問題ですが、一方で米国ではベトナム戦争以降にＣ型肝炎が流行したので、肝炎患者が多い世代は40代なんです。今のところは米国でＣ型肝炎でがんになる人はそれほどまだ多くないので、あまり注目されてはいませんが、今後10年ほどで肝臓がんの患者が増加してくると思います。したがって米国ではＣ型肝炎、とくに肝がんに対する対策が今後非常に重要になってきますので、日本は世界での対策の模範となるような政策展開ができればと思います。厚労省や製薬企業に対して期待することは？　Ｃ型肝炎は日本にとって非常に大きな問題です。今後、海外で新薬がどんどん出てきますから、それらの情報を厚労省と共有し合い、患者が高齢化する日本でどのような政策展開をするか、きちんと詰めていく必要があります。　さきほど述べたプロテアーゼ阻害薬についても治験は欧米主導で、それらは40代の若い患者さんが対象となっています。したがって、日本で特徴的な60代を中心とする、やや高齢の患者さんに対しても安全に効果が出るのかどうかが、政策展開上重要な検証ポイントの一つになります。一方で、日本発の治療薬は今のところありませんが、世界に先駆けて肝炎対策を講じている日本だからこそ、世界に発信する新薬の開発を期待したいですね。（インタビュー：後藤恭子）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sun, 31 May 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[膵がん特有の性質にアプローチする新薬開発を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=69</link>
            <description><![CDATA[84年千葉大学医学部卒業。99年国立がんセンター東病院医長、01～02年米国トーマスジェファーソン大学留学を経て、08年より現職。専門は肝・胆道・膵がんの化学療法。日本臨床腫瘍研究グループ（JCOG）肝胆膵グループ代表。杏林大学医学部内科学腫瘍内科　古瀬 純司　教授日本でも膵がんは確実に増えている。02年の罹患数は約２万1000人でがん全体では第８位、また06年の死亡数は約２万3000人で第５位を占める。早期発見が難しく、５年生存率は6.7％と、がんの中でも特に予後が悪く、難治がんの代表格だ。膵がん治療の現状と最近の動向、今後の展望などについて話を聞いた。なぜ早期発見が難しいのですか　膵がんの場合、胃がんにおけるピロリ菌、肝臓がんにおけるＢ型・Ｃ型肝炎のように、ハイリスク群を設定することができません。リスク因子として糖尿病や喫煙、慢性膵炎や家族歴などがありますが、ハイリスクというほど相関は高くないため「条件を満たす人を集めて検査すればがんがたくさんみつかる」という設定ができないのです。　また、特有の症状に乏しい、位置的に腹部の奥にあってみつけにくい、確実な検査法が少ない、がんの性質が悪く進行が早いことなども、早期発見を難しくしています。　発症のメカニズムも研究途上の段階です。細胞学的にみるとEGFR（上皮成長因子受容体）がかなり発現しており、K-rasの変異も認められるのですが、EGFR抗体薬の中にも多少効くものと効かないものがあり、それだけで治療に結びつけるのは難しいといわざるをえません。　病理学的にいうと、膵がんはがんの固まりというより線維の中にがん細胞がパラパラとある、間質の多いがんです。そのため血管新生が少なく、抗がん剤がなかなか届きにくいという特徴があります。早期発見が難しいとなると、治療は化学療法が中心になりますか　膵がんは診断がついたときにはすでに進行や転移していることが多く、手術で切除可能な例は２～３割にすぎません。　そのため、治療においては化学療法の占める割合が大きくなります（図）。その中心はゲムシタビン（製品名ジェムザール、以下カッコ内は製品名）です。96年に米国で有効性が報告され、97年に論文が出て、その後世界中で瞬く間に使われるようになりました。日本では01年に膵がんの効能が承認されました。　とはいえ、ゲムシタビンは奏効率10％前後と腫瘍縮小効果は低く、決定的に効くという薬ではありません。進行を抑え良好な状態を保つ効果はあるものの治癒には至らず、５年生存率が上がるところまではいっていません。　しかし、かつてはこれといった抗がん剤がなく、そもそも化学療法を行わなかったり、行っても副作用が強く、効くか効かないかのうちに進行してしまうような状況でした。それを思えば、きちんとしたエビデンスがあり、少なからず効く人がいるゲムシタビンの登場は、大きな進歩だったといえるでしょう。「膵がんでも化学療法を行う意義がある」ことが認識されるようになり、「もっといい化学療法を開発していこう」と考えるきっかけにもなりました。　副作用として、まれに間質性肺炎がみられますが、多くの場合、投与直後に軽い吐き気や倦怠感などが出ても２～３日で戻ります。基本的に週１回外来で点滴治療を受ければよく、仕事をしながら治療を受けている患者さんがほとんどです。一定期間にせよふだん通りの生活を送れるようになった点でも、ゲムシタビンの意義は大きいと思います。　ただ、当時は「もっと良い薬がすぐに出るだろう」と思われていました。しかし、もう10年以上にわたってゲムシタビンの単独投与が標準治療として君臨し続けている状況は変わっていないのが実情です。日本ではS-1という薬もありますね　S-1（ティーエスワン）は日本で開発されたフルオロウラシル（5-FU）のプロドラッグです。S-1単独の後期第２相試験では奏効率37.5％、全生存期間（OS）中央値9.2ヵ月という成績が得られ、06年に膵がんの効能が承認されました。腫瘍縮小効果はゲムシタビンより高いのですが、ゲムシタビンとS-1を比較したデータは出ておらず、S-1によって本当に長期生存につながるかはまだわかりません。また、S-1は経口薬で簡便さはありますが、吐き気や下痢などが出ることがあります。　今のところ、間質性肺炎の既往があるなど何らかの理由でゲムシタビンを使えない人、ゲムシタビンが効かなくなった人でS-1を使っており、「１次治療はゲムシタビン単独」という原則は変わっていません。　現在、ゲムシタビン単独、S-1単独、ゲムシタビン＋S-1併用の３群を比較する第３相試験が進行中で、１～２年で結果が出る予定です。その結果によって、初めてどの治療法がよいか評価が可能になるといえます。併用療法の効果は　ゲムシタビンが登場して以来、世界中でさまざまな併用療法が試みられてきました。しかし、ゲムシタビン単独より絶対的に勝るものはいまだに出ていません。唯一、統計学的有意差が出たのが、分子標的薬エルロチニブ（タルセバ）です。進行膵がん患者の死亡リスクを21％減らすことが05年に報告されていますが、中央値は２週間程度とわずかな差にすぎません。その一方で副作用はゲムシタビン単独より多く、皮疹や間質性肺炎などが報告されています。欧米では保険適応になっていますが、標準治療というところまではいっていないのが現状です。日本人でも臨床試験が終了しており、安全性と有効性が評価されています。　このほかオキサリプラチン（エルプラット）、分子標的薬のベバシズマブ（アバスチン）やセツキシマブ（アービタックス）は、いずれも大腸がんで有効性が確認されたことから膵がんでも期待され、第２相試験では良好な結果が得られたのですが、第３相試験では有効性が確認されませんでした。またアキシチニブは少数例のランダム化比較試験で非常にいい結果が出て、大規模な第３相試験が日本を含め世界中で行われていましたが、データ解析の結果、有効性が得られず、最近開発中止となりました。　現在はペプチドワクチンなどの試験が進行中ですが、ここでいえるのは、その治療法が本当にいいかどうかは、全部のデータをきちんと解析してみないとわからないということです。「単剤より併用の方がいいのでは」と思いがちですが、データを客観的に評価しない限り、印象だけではわかりません。　また、「ほかのがんに効くから膵がんでもやってみよう」というのではなく、「膵がんだから効くだろう」という発想の薬、膵がん特有の性質にアプローチする薬を開発する必要があると考えられます。]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[予防の徹底で死亡率を下げる 内科患者にも注意を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=97</link>
            <description><![CDATA[1975年名古屋大学医学部卒業。76年浜松医科大学産婦人科入局、94年同助教授、03年信州大学保健学科小児・母性看護学講座教授、08年より現職。専門は産科血液学、凝固線溶、静脈血栓塞栓症など。県西部浜松医療センター　小林 隆夫　院長一般にはエコノミークラス症候群として知られる静脈血栓塞栓症。手術後や出産後、がん患者などでリスクが高く、急性発症例での死亡率は約30％、うち約４割が１時間以内の突然死とされる。日本における現況、予防医療の実際などについて、予防ガイドラインの作成にも携わっている小林隆夫氏に話を聞いた。日本における発症の状況は　静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症（主に下肢の深部静脈に血栓ができる）および肺血栓塞栓症（血栓が血流に乗って肺動脈に詰まる）の総称です。リスク因子にはさまざまなものがありますが、日本では手術や妊娠・出産などによるものが多いといわれています（図）。深部静脈に血栓ができても必ず肺血栓塞栓症を起こすとは限りませんが、いったん発症すれば死に至ることも稀ではありません。速やかな救命処置が必要なだけでなく、予防が大切な病気だといえるでしょう。　欧米ではかなり以前から手術すれば当たり前のように起こる病気と考えられ、予防が行われていました。日本でも、がんや肥満などリスクの高い人を手術する場合に起こりうることはいわれていました。しかし頻度としては非常に低く、予防が行われるようになったのは90年代になってから、それも一部の施設で、非常にリスクの高い人に対してのみです。　米国では深部静脈血栓症が年間200万人以上、肺血栓塞栓症が約60万人発症し、うち６万人以上が死亡しているといわれています。また、ヨーロッパ６ヵ国における06年の報告では、静脈血栓塞栓症関連死亡は約37万人と推定され、大きな健康問題になっています。　日本ではどうかというと、06年に行われた厚生労働省研究班の調査結果から、肺血栓塞栓症の患者数は約8000人と推定されています。数字でみれば欧米よりまだまだ少ないですが、96年に行われた同様の調査と比べ、10年で２倍以上に増えています。また、病気に対する認識に欧米と20年以上のずれがあるので、診断がついていない症例もかなりあるのではないかと思われます。予防ガイドラインが作成された経緯は　１つのきっかけは、2000年に全国紙で肺血栓塞栓症による妊婦の突然死が報道されたことです。当時は全国的な予防の取り組みがまったくされておらず、ガイドライン作成の必要性を痛感しました。その後04年に、肺塞栓症研究会および９つの学会が共同で、「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症（静脈血栓塞栓症）予防ガイドライン」を刊行しました。　欧米ではこの頃すでに、抗凝固薬による薬物療法が予防の主体となっていました。しかし日本の場合、まったく予防策を講じていない施設にいきなり薬を推奨しても、出血を恐れて使ってもらえない可能性があります。また、欧米ほど頻度は高くないので、欧米のガイドラインをそのまま導入すれば過剰に薬を使うことになりかねません。　そこで日本人に合わせた、理学的予防法主体の内容とし、普及を図ったのです。具体的には、疾患や手術（処置）のリスクレベルを低・中・高・最高リスクの４つに分け、まずは歩く・足を動かすことを推奨し（低リスク）、それが十分にできないときは弾性ストッキングをはいたり、マッサージ（間欠的空気圧迫法）を行うこととしました（中リスク）。薬物療法が推奨されるのは、高リスクと最高リスクにおいてです。　04年２月にダイジェスト版が出た後、４月に診療報酬改定があり、「肺血栓塞栓症予防管理料」が新設されました。リスクの高い入院患者に対し理学的予防を行えば、１回に限り305点算定できるというものです。これが全国への普及に拍車をかけてくれました。予防医療として初めて保険点数がつき、3050円請求できるようになったため、多くの施設が予防に取り組むようになったのです。ガイドラインも重要ですが、それに併せるように診療報酬がついた意義は大きいですね。これら２つのセットが普及に貢献したと考えています。医療の現場ではほぼ認知されているのでしょうか　外科系に関しては認知は広まっているといっていいでしょう。しかし実際には内科入院患者の方が発症が多いのではないかと考えています。たとえば、脳血管障害のため寝たきりで手足にマヒがある場合、約半数に血栓ができることがわかっています。そもそも安静に寝ている入院患者は血栓のリスクが高く、肥満や高齢、合併症などが加わればさらにリスクが高くなります。にもかかわらず、予防を行っている内科医はほとんどいないのが現状ですね。　こうした状況は欧米でも同じで、手術に関してはほぼ周知されましたが、内科入院患者についてはまだこれからといったところです。ようやく08年に米国胸部疾患学会予防ガイドライン改訂版において、内科入院患者に対しても抗凝固薬を使うことが積極的に推奨されました。日本では病院のマッサージ機器が足りなさすぎるという問題がありますし、抗凝固薬を使うことへの抵抗感もあると思われます。啓発はこれからの課題ですね。]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sat, 28 Feb 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[今こそ、うつ病を正しく理解し適切な対応を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=122</link>
            <description><![CDATA[1974年慶應義塾大学医学部卒業。88年藤田保健衛生大学精神医学教室助教授、93年立川病院神経科部長を経て、97年より現職。日本うつ病学会理事長。防衛医科大学校精神科学講座　野村 総一郎　教授　うつ病を取り巻く状況が変わってきた。厚生労働省の調査によれば、うつ病患者は10年前の約２倍に増加。その一方で、「新型うつ病」とよばれるタイプが話題になっている。そもそもうつ病とはどんな病気なのか、診断や治療はどのように行われるのか、今何が問題になっているのか。野村総一郎教授に話を聞いた。最近はいろいろなうつ病があるようですが　うつ病には主に４つのタイプがあり、全体では気分障害と総称されます（表）。このうち古典的なタイプのうつ病が、メランコリー型うつ病（重苦しい気分が続き、いいことがあっても改善されない、罪の意識が強い、気分が朝に悪化するなど典型的なうつ症状がみられる）と双極性障害（かつての躁うつ病）です。　一方、軽い抑うつ状態が2年以上続く気分変調症と、典型的なうつ症状とは異なる症状（過眠や過食を繰り返す、いいことがあると一時的に気分が晴れるなど）がみられる非定型うつ病は、「新型」「現代型」などとよばれるタイプのうつ病です。　後者の2つはうつ病の中に含まれていなかったのですが、うつ病の診断に米国精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル」第４版（DSM-Ⅳ）が世界的に用いられるようになり、うつ病の一部として考えられるようになったのです。いずれにしろ、一口にうつ病といってもいくつかのタイプがあり、それぞれ性格の傾向や発症年齢、治療方法も異なることを知っておく必要があります。発症のメカニズムは　生物学的なメカニズムはまったくわかっていません。抗うつ薬の多くはセロトニンの働きを一時的に高める作用をもつことから、脳内のセロトニン不足によってうつ病になるのではないかとする「セロトニン仮説」も提唱されましたが、実際にうつ病患者でセロトニンが低下しているというデータはなく、因果関係は明らかになっていません。　最近注目されているのは「神経細胞仮説」です。脳細胞の一部では細胞死の一方で細胞新生も起こっていることから、うつ病は細胞死と細胞新生のアンバランスによって生じるのではないかとする考え方です。こうした脳細胞の研究をはじめ、遺伝子研究や脳の画像研究など盛んに行われていますが、いずれも臨床に反映されるほどの成果は上がっていないのが現状です。診断はどのようにするのですか　基本的にはDSM-Ⅳに基づいて、①エピソード（症状）診断、②障害診断、③特異項目診断の３ステップで診断します。エピソード診断は病態像をみるもので、「抑うつ気分」「興味や喜びの減退」など９項目のうち５項目以上の症状が２週間以上続いている場合、臨床的な介入を要するレベルのうつ状態と判断します。そして障害診断で躁があれば双極性障害、なければ大うつ病性障害（このうちの一部がメランコリー型うつ病です）と診断されます。エピソード診断に該当しないものの症状が2年以上続く場合は、気分変調症と診断されます。特異項目診断では重症度を判断したり、特定の項目に当てはまるかどうかで非定型うつ病などの診断がつけられます。　もともとうつ病は2500年以上の歴史をもつ病気で、国によって定義もまちまちでした。それがグローバル化にともない、米国のDSM-Ⅳが世界標準になったという経緯があります。米国の文化は「何が正しいか」ではなく「何が役に立つか」を追求し、「誰にでも理解できる」ことを重視します。　DSM-Ⅳもわかりやすく作られており、コミュニケーションをとりやすいという点ではよいのですが、反面、①症状の質や重さより数を問題にしている、②患者がもともともっている性格の項目が含まれていない、③うつ病の範囲が広すぎるという問題があります。それぞれの症状に重みづけがないので、単なる数合わせに陥りやすいといえます。また、うつ病では頭痛や腹痛などの身体症状が前面に出るケースもありますが、DSM-Ⅳではこうした不定愁訴は診断基準に入っていません。　私自身はDSM-Ⅳだけでなく、WHOによる診断基準「国際疾病分類」第10回改訂版（ICD-10）と、日本の伝統的な診断基準の３つを使って、立体的にうつ病をとらえるようにしています。　うつ病の疾病概念をおさえた上で、DSM-Ⅳを知っておくことが大切だと思います。DSM-Ⅳについては現在改訂作業が進行中です。2011年に第５版が出る予定で、内容は全面的に変わることになるでしょう。治療は薬物治療が中心ですか　薬物治療が効果的なのは古典的なタイプのうつ病で、メランコリー型うつ病には抗うつ薬が、双極性障害には気分安定薬がよく効きます。　抗うつ薬は三環系抗うつ薬に始まって、四環系、SSRI（選択的セロトニン再取り込み阻害薬）、SNRI（選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬）などが出ています。いずれも効果の点で大きな違いはありませんが、三環系は便秘や口渇などの抗コリン作用に加え、立ちくらみや動悸など心循環系の副作用が強く出ます。　その点、SSRIは心循環系の副作用が少なく、使いやすい薬だといえるでしょう。ただ副作用の割合は三環系と変わらず、また吐き気が出ることが多いため、むしろ三環系を好む患者さんもいます。　世界的にはSSRIまたはSNRIを第１選択薬として用いるのが標準です。初回治療の有効率は30～40％で、効果や副作用に応じてSSRI/SNRIを切り替える、気分安定薬のリチウムを上乗せする、三環系に変更するなどの治療は段階を踏んで行い、全体では60～70％の有効率となります。　抗うつ薬は効果が出るまで１カ月近くかかる一方で、副作用は飲んだその日から出ます。そこが抗うつ薬の難しい点ですね。医師としては精神療法も併用しながら、患者さんとの治療関係を維持していくことになります。また、うつ病は患者さん自身よくなっていることが自覚できる病気ですが、薬が効いてから１年間は量を減らさない方がいいことがわかっています。こうした服薬上の注意点をしっかり説明しておくことも、治療を継続するコツだといえます。期待される新薬などはありますか　日本ではSSRIが３剤、SNRIが１剤出ていますが、どの薬剤も効果はほぼ同じです。現在の「有効率60～70％」を超えるには、「セロトニンを強化する」という発想から脱却する必要があるでしょう。今のところ細胞新生を促進する薬が検討されており、いくつか候補が挙がっています。　また、うつ病患者ではステロイドホルモンの分泌が多すぎることがわかっており、分泌に関与するCRH（副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン）を遮断する薬にも期待がもたれています。ただ残念ながらあまりよい臨床成績は出ていません。　難治性のうつ病に対してはドパミン作動薬を補助的に用いたり、抗精神病薬のオランザピンやクエチアピンなどをSSRIと併用する試みがなされており、米国ではオランザピンとSSRIの合剤が発売されています。物理療法という選択肢もあるそうですね　脳に電気刺激を与えるECT（電気けいれん療法）は、うつ病に最も効果の高い治療法です。難治性のメランコリー型うつ病や双極性障害によく効き、自殺未遂など緊急性が高いケースでは迷わず適応となります。ただし全身麻酔や入院が必要で、劇的な効果はあるものの再発を防ぐことはできません。この点については、「ECT後の再発予防にはECTが必要」というのが最近の考え方です。すなわち、予防的に月１回ECTを行う維持ECTが提唱されており、米国ではよいデータが出ています。日本では外来で麻酔がかけられる施設がほとんどないため、今のところいくつかの施設で行われているのみです。　再発予防としては、心臓ペースメーカーのように体内に電極を埋め込んで迷走神経を刺激する方法も、米国を中心に海外で検討されています。日本の場合は生理的な抵抗感もあるのでしょう、施行例がない以前に検討すらされていない状況です。精神療法の適応は　精神療法はうつ病の治療と再発予防を目的に、薬物療法と並行して行われます。認知療法もその１つで、うつを引き起こすような考え方のゆがみを現実社会の中でトレーニングしながら正していきます。精神療法は通常のうつ病や気分変調症にはよいのですが、難治性となると対応が難しいといわざるをえません。また非定型うつ病の場合、患者さんの人間不信が強いことも多く、治療者との関係性を築きにくいという問題もあります。　難治性うつ病に対しては、CBASP（Cognitive Behavioral Analysis System of Psychotherapy）という療法が注目されています。イメージとしては認知療法と精神分析療法を足したような感じですね。日本にも紹介されていますが、実際どれぐらい効果があるかはわかっていません。最近、臨床の現場で感じることは　一般にうつ病はまじめで過度に気を使う人がなりやすいとされ、周囲の人も「励ましてはいけない」などといわれてきました。しかし最近は、こうした典型的なうつ病は減っている印象があります。　その一方で、病名がつくと「治すのは先生の責任ですね」という態度になって、自分で治そうという気がみられない患者さんが少なくありません。そうなると、あまり病気だという扱いをしすぎない方がいいのではないか、ある程度自分で病気を引き受けて自己改造することも必要なのではないかと思うことがあります。こうしたタイプにどう対応すればよいか、今はまだノウハウが確立していない状態です。そこをこれから確立していく必要があるでしょう。　「うつ病は早期発見・早期治療が重要」というのも痛し痒しな面があります。よく「うつ病の１割しか病院にかかっていない」といわれますが、現場の実感は逆で、むしろかかりすぎて病院はどこも手一杯な状態です。メランコリー型うつ病や双極性障害は死に至ることがあり、治療すれば治せる病気でもあるので、これまで通り受診を促していくべきでしょう。　しかし、本来パーソナリティの問題など、医学的手段では対処しにくい人々がうつ病と称し押し寄せても、医師は無力です。もちろん診断をつける必要はあるわけですが、鑑別診断でこれは医療では対応しにくいということになったら、ほかの方法を検討することも必要ではないかと思います。私個人はその１つの鍵は臨床心理士だと考えています。臨床心理士をコメディカルのスタッフに入れ、保険医療に組み込んで治療のある部分を任せるという形がいいのではないかと思っています。　他科の医師にうつ病診療をどの程度担わせるかについても、さまざまな議論があります。私自身はタイプによっては治せる部分があるので、プライマリケア医にもうつ病の診療を担ってほしいと考えています。ただし、患者さんに対する接し方や理解の仕方など、基本的な精神医療の技術を知っておくことが前提となります。そこをどう伝えるかは工夫していく必要があるでしょう。（インタビュー：江本芳野）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sat, 31 Jan 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[「腎臓が悪い」ことの重大性を認識してほしい]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12408</link>
            <description><![CDATA[1973年東京医科歯科大学医学部卒。94年日本医科大学付属病院腎臓内科部長、98年同病院第2内科教授。専門は内科全般、腎臓病、高血圧、水電解質、酸塩基平衡、透析療法、腎移植。HSP（東京大学医療政策人材養成講座）3期生として、日本の医療を向上するべく活動中。日本医科大学 内科学講座　飯野 靖彦　教授　最近、慢性腎臓病（CKD：chronic kidney disease）という疾患概念が注目されている。日本における推定患者は1300万人。透析だけでなく、心疾患や脳卒中など心血管系疾患の危険因子となることが明らかになっている。CKDが注目される背景、治療法、普及にあたっての問題点などについて聞いた。CKDはどのような病気ですか　02年に米国で提唱された疾患概念で、慢性の腎臓の病気を総称し、広く「腎臓が悪い」ことを危険因子としてとらえようという考え方です。具体的には、蛋白尿などの腎臓の異常や、糸球体濾過量（GFR）で表される腎機能の低下（60mL/分/1.73㎡未満）のいずれか、または両方が、3ヵ月以上続く状態をCKDと呼んでいます。蛋白尿は尿検査で、GFRは血液検査で測定した血清クレアチニン値をもとに算出します。　米国では心臓専門医が診ている心疾患のうち、蛋白尿や血清クレアチニン値が少し高いだけで心疾患により亡くなる人が多いことがわかりました。そこで調べたところ、糖尿病や動脈硬化などさまざまな原因がある中で、蛋白尿と高クレアチニンが最もリスクの高い因子であることが明らかになったのです。その結果、腎臓専門医だけでなく心臓専門医の間でも、腎臓の問題が重要視されるようになったという経緯があります。　これまでCKDに対しては、病名ごとに研究や診療が行われてきました。しかし、こうした個別のアプローチでは発見が遅れたり、治療がうまくいかないという問題がありました。糖尿病性腎症の場合、糖尿病を診ている医師は血糖値には注意しても、尿の検査まではしないことがほとんどです。そこで、従来とはアプローチをまったく変え、大まかにCKDというとらえ方をすることで、腎臓が専門でない医師や開業医、国民にも注意を向けてもらうことを目指したのです。　CKDは日本にも紹介され、脳卒中とも関係が深いことが明らかになりました。日本では糖尿病性腎症の増加にともない、血液透析に至る人が急増しています。また、世界でも有数の高齢社会であり、腎臓が悪い人は今後ますます増えると考えられます。メタボリックシンドロームも、CKDはごく初期の段階から関与していることが指摘されています。つまり、日本こそCKDを問題にする必要があるといえるでしょう。どのような治療が行われるのですか　日本腎臓学会が07年に作成した診療ガイドライン（08年11月に改訂版刊行）では、CKDを蛋白尿とGFRにより５つのステージに分け、対処法を記載しています。全体を通じて基本となるのは、まず「原疾患の治療」です。CKDで問題になる３大原疾患には糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎（特にIgA腎症）、腎硬化症（高血圧による動脈硬化が原因で腎臓が硬くなる）があります。　これらに対し、それぞれ血糖コントロール、扁桃腺摘出とステロイド大量療法、血圧コントロールなどの治療を行います。同時に、すべてのCKDに共通して「蛋白尿を少なくする＋血圧を下げる」ことも必要です。これまでの研究で、蛋白尿が抑えられると予後が良い、すなわち腎機能の悪化を防ぎ、心血管イベントの減少が示されているためです。病状に応じて、腎性貧血の治療や食事療法なども行います。　蛋白尿および高血圧対策に用いられるのが、降圧薬のレニン－アンジオテンシン（RA）系抑制薬です。大規模スタディで蛋白尿を改善し腎機能の悪化を防ぐことが示されており、第一選択薬として使われています。RA系抑制薬にはアンジオテンシン変換酵素（ACE）阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬（ARB）があります。両剤とも腎臓に対する効果は証明されていますが、どちらがより有効かについての結論は出ていません。ちなみに、心臓に対してはACE阻害薬の方がよい成績が出ています。いずれを用いるかは、医師の判断によります。　なお、ARBのひとつであるロサルタンは、グローバルスタディで糖尿病性腎症に対する有効性が認められ、日本では唯一糖尿病性腎症に適応のある薬です。ただ、これ以外のARBは、糖尿病に対するスタディが行われていないので明確にはいえないのですが、同じように有効ではないかと考えられます。今後期待される治療薬はありますか　レニンに直接作用して血圧を下げる新しいタイプの降圧薬、アリスキレンがあります。ロサルタンとの併用で蛋白尿に対する相乗効果が示されており、欧米では07年から使われています。　治療については、ACE阻害薬とARBの併用療法も検討されています。ただ、数年前に有用性ありとするデータが出た一方で、最近になって腎機能はかえって悪化するという報告もあり、どちらが正しいかはまだわかっていません。CKDの重大性を広く知ってもらうには　CKDでは早期発見・早期治療が非常に重要です。早く発見して早く治療すれば、糖尿病や糸球体腎炎などの原疾患も完全に良くなり、腎機能の悪化も防げます。ただ日本の場合、医療制度などの点でそれが難しい側面もあるのです。　たとえば、微量アルブミン尿はCKDの初期から出てくるので、これを尿検査で調べれば早期発見が可能です。実際、欧米ではCKDの定義に微量アルブミン尿が入っています。しかし、日本では保険適応になっていないため、蛋白尿を調べているのです。　また、生活習慣病の予防を目的として08年４月にスタートした特定健康診査では、費用がかかるという理由で血液検査の項目から血清クレアチニンが除外されています。そのため、保険組合によっては検査項目に入れていないところもあるのです。　これについては、日本腎臓学会が全国の医師会と協力して各都道府県にモデル地区を作り、蛋白尿と血清クレアチニンの測定によってCKDがいかに抑制されるか、５年間にわたって調べる研究を始めたところです。　そのほか、CKDの治療ではRA系抑制薬が必須ですが、日本では蛋白尿に対する適応がないので、高血圧への適応で処方せざるをえません。そうすると、たとえば病名統計をとったときに、高血圧の有病率が日本だけ世界と違うという現象が起こったりするのです。正確な統計がとれていないんですね。　RA系抑制薬の使用頻度は、欧米ではACE阻害薬とARBが半々か、ACE阻害薬の方が多いのですが、日本では薬価が高いARBの方が多いという状況です。　一般にARBは高用量の方が腎保護作用は大きいとされますが、ヨーロッパでは用量が異なっても薬の値段は同じこともあって、その患者さんに最も適した用量が使われています。一概に高用量である必要はないのですが、日本では薬価の高い高用量の方が推奨されがちです。厚生労働省、製薬企業には、患者さんのために薬を作る、売るということを考えていただきたいですね。　CKDについては、一般のかかりつけ医にいかに注目してもらうかも大きな課題です。しかし、講演会を開催しても参加するのは熱心な医師だけです。医学教育を含め、医師の質という問題も今後は問われていくでしょう。　CKDの恐さは初期に症状がほとんどなく、症状が出たときには遅いことです。早期発見・早期治療につなげるために、今後も広く普及活動を行う必要があると考えています。（インタビュー：江本芳野）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Wed, 31 Dec 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[新薬の登場で治療成績向上に期待]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12433</link>
            <description><![CDATA[慶應義塾大学薬学部 大学院薬学研究科病態生理学　服部 豊　教授プロフィール1984年慶應義塾大学医学部卒業。2008年より現職。専門は血液内科学、病態生理学。　血液のがんである多発性骨髄腫は、今のところ治癒は望めないが、新たな薬剤の登場で薬物療法をとりまく状況は変わりつつある。06年12月にボルテゾミブ、本年10月には、薬害を引き起こしたサリドマイドが治療薬として承認された。サリドマイド誘導体のレナリドミドも臨床試験中だ。治療の現状とこれら新薬登場の意義、今後の展望などについて話を聞いた。多発性骨髄腫はどのような病気ですか　骨髄中の形質細胞（成熟したBリンパ球）ががん化する病気で、悪性リンパ腫、白血病に次いで頻度の高い造血器腫瘍です。健康診断で原因不明の貧血や蛋白尿、腰痛、病的骨折などを調べてみたら多発性骨髄腫だった、ということがあります。平均発症年齢は60代と高齢者に多い病気ですが、中には20代で発症する患者さんもいます。　白血病や悪性リンパ腫の場合、タイプにもよりますが約４割の患者さんで治癒が認められるのに対し、多発性骨髄腫では治癒は望めないのが現状です。平均生存期間は国際病期分類のステージ１で約５年、ステージ２で４年弱、ステージ３で２年強とされ、日本では毎年10万人に約３人が発症します。標準的な治療法は　65歳を１つの目安に、65歳未満かつ条件を満たす人は移植療法、条件を満たさない人または65歳以上の人は化学療法と、大きく２つに分かれています（図）。このうち、化学療法は抗がん剤のメルファランとステロイド剤のプレドニゾロンを併用するMP療法と、ステロイド剤のデキサメタゾンによる大量療法に抗がん剤のビンクリスチンとドキソルビシンを併用するVAD療法の２つが標準的治療とされ、そのほか様々な組み合わせによる治療法があります。　MP療法は60年代から行われている治療法で、初発の患者さんで本当に効いたといえるのは４割程度です。その後、様々な多剤併用化学療法が検討されましたが、根本的にMP療法を上回るものが見当たらず、現在も標準的な治療法とされています。VAD療法はMP療法で再発した患者さんを救済する方法として80年代に登場しました。副作用として糖尿病、血球減少、手足のしびれなどの末梢神経障害が出ることがあります。　化学療法の成績自体それほど向上したわけではありませんが、多発性骨髄腫の死因として最も多い感染症に対し優れた抗菌剤が登場したり、骨病変予防にビスホスホネート製剤が開発されるなど、合併症に対する支持療法が進歩したこともあって、生存期間は以前より格段に良くなっています。　問題は副作用で、抗がん剤による骨髄抑制、ステロイド剤による糖尿病のほか、薬によっては心臓にダメージを与えたり、ビンクリスチンでは末梢神経障害が出ることがあります。高齢者ではもともと臓器障害のある患者さんも多く、薬の毒性が出やすいという面もあり、最終的には再発してしまうことを考えると、リスクを冒してでも化学療法を行う意義があるのか、十分考えて治療法を選ぶ必要があります。移植療法はどのような治療法ですか　移植療法には患者さん自身の幹細胞を用いる自家移植と、ドナーから提供された幹細胞を用いる同種移植があります。　自家造血幹細胞移植は超大量の抗がん剤や放射線照射でがん細胞を叩いた後に、あらかじめ冷凍保存しておいた患者さん自身の造血幹細胞を移植し、破壊された骨髄機能を回復させる治療法で、90年代に導入されました。これにより、従来の化学療法に比べ、トータルで生存期間を延長することが明らかになっています。　幹細胞をどこから採取するかによって骨髄移植と末梢血幹細胞移植に分かれますが、骨髄移植では採取を全身麻酔下で行うため、現在では麻酔の必要がない末梢血幹細胞移植を行うケースが大半です。　同種移植は他人の幹細胞を利用するのでがん細胞の混入がなく、移植片対骨髄腫効果（ドナー由来のリンパ球が骨髄腫細胞を攻撃する）により理論上治癒が期待できるのですが、実際には高齢の患者さんは適応が限られ、移植関連死亡があまりにも多いのが現状です。　90年代終わりになると、移植前処置を軽くして移植関連死亡を少なくする骨髄非破壊的移植、いわゆるミニ移植が行われるようになりました。移植後の再発が多く、治癒を期待するところには到達していません。　自家移植が良いのか同種移植が良いのか、まだ分かっていません。現在、アメリカやヨーロッパで大規模比較試験が行われており、近くデータが出てくるものと思います。　移植療法では臓器障害が出たり、白血球がゼロの状態となるので感染症のリスクも高くなります。ただ、従来の化学療法では定期的な抗がん剤投与が必要なのに対し、自家移植では平均１年以上再発のない安定期がみられ、その間は通常の生活を送ることが可能です。生存期間の延長だけでなく、QOLの改善という点でも意義はあるといえるでしょう。]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sun, 30 Nov 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[「効く人にだけ使う」薬物療法が必須の時代に]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12455</link>
            <description><![CDATA[1982年千葉大学医学部卒業。2005年より現職。日本乳癌学会乳腺専門医。臨床EBM研究会代表幹事。専門は乳腺外科、一般外科。聖路加国際病院ブレストセンター長・乳腺外科部長　中村 清吾　氏　固形がんに対する分子標的薬の第1号ハーセプチンが登場して10年。乳がんにおける薬物療法の進歩にはめざましいものがある。今後もさまざまな分子標的薬の承認が見込まれており、患者のQOLや生存率向上にいっそうの発展が期待される。薬物療法の現状と課題、今後の展望と期待などについて、話を聞いた。乳がんの薬物療法の変遷と特徴は　乳がんは他の固形がんと異なり、かなり古くからtargeted therapyが行われてきたという歴史があります。もともと乳がんでは、卵巣を摘出すると腫瘍が小さくなることが経験的に知られていました。すなわち、女性ホルモンを標的とし、これをコントロールすることによって、6～７割のがんで症状が改善することがわかっていたのです。その後、女性ホルモンががん細胞の増殖を活発化するメカニズムが解明され、がん細胞内でホルモン受容体に結合して増殖を抑える薬が開発されました。それが、70年代に登場した抗エストロゲン剤タモキシフェンです。また、アロマターゼという酵素の働きを阻害してエストロゲンの合成を妨げるアロマターゼ阻害剤も開発され、90年代以降、閉経後乳がんに用いられるようになりました。　一方、乳がんの発生メカニズムの解明も進み、がん細胞の表面で増殖を促すシグナルを伝える働きをする蛋白HER2の存在が明らかになり、98年にはHER2に特異的に結合する分子標的薬ハーセプチン（一般名：トラスツズマブ）が登場しました。同年のASCO（米国臨床腫瘍学会）で転移性乳がんに対する臨床的有用性、７年後の05年には早期乳がんに対する再発抑制効果が欧米で相次いで発表されたのですが、いずれも会場でスタンディングオベーションが起きたほど画期的な出来事でした。薬物療法は現在どのような方針に基づいて行われているのですか　日本では「ホルモン受容体（エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体）が陽性か陰性か」と「HER2蛋白の過剰発現があるかないか」という２×２の組み合わせで治療方針が決められ、抗がん剤とホルモン剤、分子標的薬の３種類の薬を組み合わせた治療が行われています。　このうち、「ホルモン受容体陰性・HER2陽性」を示すタイプは患者の約20％おり、かつては治療に難渋するがんの代表格でした。それがハーセプチンを抗がん剤と併用することで再発が半分に抑えられるようになり、最近では術前に両剤を用いると4～5割の患者でがんが完全に消失することがわかってきて、状況は様変わりしています（日本では01年に転移性乳がんで承認、08年に術後補助療法で適応拡大）。　一方、患者の６割以上を占めるのが「ホルモン受容体陽性・HER2陰性」、すなわち女性ホルモンの刺激でがんが増殖するタイプですが、この場合は半数以上でホルモン剤が効きます。今議論されているのは、抗がん剤を上乗せする必要があるかどうかという点です。そこで、乳がん細胞の遺伝子発現を解析し、再発のリスクや抗がん剤の効果を予測する遺伝子検査（Oncotype DX、Mamma Printなど）が、欧米では昨年あたりから用いられています。米国ではすでに今年９月の時点で７万人を超える人がOncotype DXを受けているとのことです。日本では保険適用になっていませんが、今後は検査の有効性を日本人でも証明し、先に検査を行うことで無駄な投薬をしないようにする必要があります。　全体の5％程度と少ないですが、「ホルモン受容体もHER2も陽性」というタイプが存在します。この場合、両方に対する治療が必要になりますが、実際に抗がん剤、ホルモン剤、ハーセプチンの３剤を使わなければいけないのか、最初はホルモン剤だけで始めていいのかについては、まだわかっていません。ただ、閉経後ホルモン陽性乳がんに対する抗エストロゲン剤とアロマターゼ阻害剤の再発予防効果を比較した大規模臨床試験で、HER2陽性・陰性別に解析した結果は、陽性は陰性に比べ明らかに予後が悪い。ということは、HER2陽性患者に対しては、そのための治療を行う必要があるのではないか、というのが私の考えです。　最後に「ホルモン受容体もHER2も陰性」、いわゆるトリプルネガティブのタイプは約15％います。ホルモン剤もハーセプチンも効かないので、抗がん剤を使うしかありませんが、最近がん遺伝子の発現パターンの研究が進み、トリプルネガティブの中には通常の抗がん剤がよく効くタイプと効かないタイプとがモザイク状に混ざっていることがわかってきました。すなわち、発生学的にみて筋上皮系由来のがんである基底細胞型乳がんでは、標準的に使われているタキサン系やアントラサイクリン系の抗がん剤が効かない一方、白金製剤やアルキル化剤などは効果が期待できます。そこで、免疫染色でこれらのグループを特定する検査が研究されているところです。また、家族性乳がんの遺伝子であるBRCA1に異常があるタイプも基底細胞型が約80％を占め、通常の抗がん剤は効きません。これに対しては、PARP阻害剤という分子標的薬の臨床試験が海外で始まったところです。日本では抗がん剤の適応はどのように決められていますか　医師の多くは、スイス・ザンクトガレンで２年ごとに開催される乳がん国際会議のコンセンサスに準拠しています。すなわち、腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無などの条件に基づいて患者を３つの群（低・中間・高リスク群）に分け、原則として低リスク群以外は抗がん剤が適応となります。ただし中間リスク群の幅があまりにも広く、抗がん剤を使って意味のある人とそうでない人が混ざり合った状態で、治療もホルモン剤のみの場合と抗がん剤の後にホルモン剤を使う場合とが併記されており、どちらにするかは患者に選択をゆだねる状況です。本来はOncotype DXなど遺伝子検査で抗がん剤の有効性を予測し、メリットのある人にだけ使うべきですが、残念ながら日本ではまだ実用化されていないため、混沌としているというのが現状です。実用化の目処はあるのでしょうか　Oncotype DXについては、われわれの属する研究グループで過去の臨床経過が明らかな日本人患者百数十名のデータを遺伝子解析して、米国の成績と一致しているかどうかをみているところです。もし一致していれば、日本でも導入する方向にいく予定です。Mamma Printも臨床試験中ですが、いずれも保険適用になるまでは時間がかかるので、当分は自費で行うことになるでしょう。　ちなみにOncotype DXの場合、自費で約50万円かかります。単独でみれば非常に高額ですが、もし日本人でも有効性が明らかになれば、抗がん剤を使わなくてもいい患者を確実に選択できます。抗がん剤を半年使えば、かつら代だけで自費で20万円くらいはかかりますし、その間仕事を休まなくてはならない可能性もあります。薬剤費も抗がん剤だけでなく、副作用対策の薬の費用がかかります。ですからトータルで考えれば、むしろ安いといえるかもしれない。そのあたりのことも含め、きちんと経済分析を行う必要があるでしょう。3種類のアロマターゼ阻害剤の使い分けは　第３世代のアロマターゼ阻害剤にはステロイド系のアロマシン（一般名：エキセメスタン）、非ステロイド系のアリミデックス（アナストロゾール）とフェマーラ（レトロゾール）の３剤があります。ステロイド系のアロマシンとそれ以外については、一方で効かなければもう一方に乗り換えることで数十％の上乗せ効果の可能性があり、多少の意義はあるかもしれませんが、アリミデックスとフェマーラの明確な使い分けの基準はないと思います。また、３剤の中で切り替えることで関節痛などの副作用が改善したというデータもありますが、プラセボ効果かもしれません。各薬剤を直接比較して効果と副作用に差があるかどうかをみる試験が進行中ですが、結果が出るのは何年か先になるでしょう。上市が見込まれる分子標的薬は　順番でいくとまずラパチニブ（海外製品名：タイケルブ）でしょう。EGFR（上皮成長因子受容体）とHER2を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤で、がん細胞の内側で増殖シグナルを抑制することから、ハーセプチンが効かなくなった症例に対する効果が期待されています。また、ハーセプチンは分子量が大きいため脳関門を通りにくく、脳転移が多いという問題がありましたが、ラパチニブは分子量が小さいので脳転移にもある程度効く可能性があります。海外の大規模臨床試験では、ゼローダ（一般名：カペシタビン）との併用で再発乳がんの再増悪に至るまでの期間がゼローダ単独に比べて約２倍延長されたという結果が出ています。米国ではゼローダとの併用で承認されており、両剤とも経口薬なので患者の利便性を考えるといい組み合わせだといえます。問題は、ハーセプチンが効かなくなった場合にどのタイミングで切り替えるかという点ですが、まだよくわかっていません。今年のASCOでは、転移性乳がんに対する臨床試験で、ハーセプチンを継続したままラパチニブを上乗せする方がそれぞれ単独で用いるよりも有効という結果が発表され、使い方がにわかに混沌としてきた感があります。併用で効果があることはわかっても、それぞれ高価な薬なので、使う順番やコストベネフィットも含めた議論が必要でしょう。日本では手術不能または再発乳がんに対し、単独投与またはゼローダとの併用投与で承認申請中です。　アバスチン（ベバシズマブ）はVEGF（血管内皮細胞増殖因子）受容体を阻害することでがん細胞周囲の血管新生を妨げる分子標的薬で、タキサン系抗がん剤などと組み合わせて用い、トリプルネガティブの再発乳がんに対する治療効果が期待されています。海外ではすでにトリプルネガティブの再発予防効果をみる試験も行われていますが、まだ結果は出ていません。欧米ではタキソール（パクリタキセル）との併用で承認されており、日本でも大腸がんで07年に承認を受けていますが、乳がんについては臨床試験の最中で、来年にも申請が予定されています。　トリプルネガティブに対してはこのほか、HER1/EGFR系統を阻害する分子標的薬が効くのではないかということで、アービタックス（セツキシマブ）をパラプラチン（カルボプラチン）と併用する臨床試験が行われています。そのほかに注目されている薬剤は　ハーセプチン耐性のメカニズムにおいて、PTENというがん抑制遺伝子がHER2のシグナルを伝達するうえで重要な役割を果たしていることがわかってきました。このPTENの働きを妨げるPTEN阻害剤が注目されています。また最近、肥満が乳がんのリスクファクターであること、糖尿病があると乳がんのリスクが高くなることがわかってきて、IGF-1（インスリン様成長因子１）受容体を標的とした治療薬も大いに注目されています。そのほか、mTOR阻害剤であるエベロリムス（RAD001）がホルモン剤耐性の乳がんに効く可能性があるということで、来年以降臨床試験が計画されています。今後求められる薬物療法について　どの薬にもいえることですが、その薬が効くか効かないかの検査をして、効く人にだけ使う方向になっています。たとえば、ホルモン剤をホルモン受容体陰性の人に使っても意味がありませんし、ハーセプチンも然りです。また、抗がん剤についても効くタイプであれば使うが、効かないタイプであればホルモン剤やハーセプチンで治療していこうという流れにシフトしてきています。　さらに、より適応を絞ることで無駄な使い方が少なくなっていくと考えられます。たとえば、ハーセプチンの適応はハーセプテストやFISHテストに基づいて決められますが、別の検査法を組み合わせることで、本当にハーセプチンが効く人とそうでない人をもっと厳密に分けられるかもしれません。ハーセプチンについては、１年投与と２年投与とで術後乳がんの再発予防効果を比較する試験も海外で行われています。２年より１年ですめばそれに越したことはないですし、もしかしたら半年でよいという可能性もあります。　今後さまざまな分子標的薬が出てきますが、効くタイプの人を見極めて使う必要があります。限られた医療財源を使う意味でも、適応を絞り、薬を使うタイミングや最適な投与期間などについて、十分に議論を重ねていくことが重要でしょう。（インタビュー：江本芳野）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Fri, 31 Oct 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[VEGF阻害剤はAMDの第一選択薬に]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12557</link>
            <description><![CDATA[1975年日本大学医学部卒業後、同大学医学部眼科学教室入局。80年に日本大学海外派遣研究員としてオランダ留学。帰国後82年から日本大学医学部講師、助教授を経て現在教授、駿河台日本大学病院副病院長。専門は黄斑疾患の臨床研究など。日本大学医学部　眼科　湯澤 美都子　教授　加齢黄斑変性（AMD）に対する薬物治療の進歩は著しく、血管内皮増殖因子（VEGF）が同疾患の病態に深くかかわっていることが明らかになり、VEGFをターゲットにした分子標的薬が海外では既に発売されている。わが国でも２品目が申請中で、うち１品目は今年度中に上市が期待される。AMDの治療法やVEGF阻害剤の特性、臨床上のインパクトなどについて話を聞いた。加齢黄斑変性（AMD）はどのような疾患ですか　網膜の中心部にある「黄斑部」が加齢などで障害され、視力低下を引き起こすのがAMDです。症状としては、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見えるなどです。遺伝的素因と環境要因（喫煙、日光暴露、食生活）が関係して発病するといわれており、男性に多い疾患です。　欧米先進国では成人（50歳以上）の中途失明原因トップで、日本でも発症率は上昇しており、緑内障や糖尿病性網膜症などに次いで、中途失明の第４位になっています。　AMDは新生血管の有無により、２つのタイプに大別され、視力の経過や治療方法が異なります。網膜の重要な部分である「黄斑」に新生血管（脈絡膜新生血管＝CNV）が異常形成され、網膜の下にある色素上皮を破り、水分が漏出し、出血を起こすなどして黄斑機能を障害する「滲出型AMD」と、網膜色素上皮や脈絡毛細血管膜のレベルで二次的に視細胞が萎縮する「萎縮型AMD」に分けられます。　萎縮型は進行が遅く、黄斑の中央部にあり、視力を大きく左右する「中心窩」にかからない限り、高度の視力障害には至りません。ただし、有効な治療法がありません。　滲出型は黄斑部に伸びた新生血管がさまざまな障害を引き起こします。萎縮型よりも進行が早く、網膜の破壊と機能不全のために失明に至ることがあります。　国内患者数は、福岡県久山町の住民への調査で、50歳以上の0.87％に発症します。そのうち、滲出型AMDは0.67％（萎縮型AMDは0.2％）で、国内の50歳以上5400万人のうち、患者数は36万人と推定されます。滲出型AMDの従来の治療法は　滲出型AMDでは新生血管の位置が治療法を決めるうえで重要になります。新生血管が中心窩に及んでいなければ、直接レーザーをあてて治療できます。　しかし、新生血管が中心窩に達している場合には、従来は良い治療法がありませんでしたが、04年からPDT（光線力学療法）という新しい治療法が使えるようになりました。それ以前は、黄斑の中央部にあたる「中心窩」の治療は、レーザー光凝固治療などが行われていました。しかし、中心窩は視機能が特に鋭敏な部分です。その最も大事なところにレーザーを照射すると、中心窩の正常網膜が破壊され、その結果、レーザー照射した場所に一致して見えないところができ、視力が下がったりするので良い治療法ではありませんでした。ほかにも、手術で異常な血管を取り除く方法や、放射線をあてるなどさまざまな治療法が行われてきましたが、有効であると証明された治療法ではありませんでした。04年に登場したPDT（光線力学療法）の特徴について　PDTとは薬剤投与とレーザー照射という２段階の治療からなるもので、特別なレーザーに反応する光感受性物質「ビスダイン静注用」（ノバルティスファーマ）を利用して、新生血管を内側から壊すという治療法です。ビスダインを点滴静注すると、新生血管に集中的に取り込まれますが、そこに熱をほとんど発生しないレーザーを照射すると、ビスダインがレーザー光線で刺激されて化学反応を起こします。毒性の強い「活性酸素」が発生し、新生血管の内部を障害し、最終的に詰まらせます。　この治療法では、正常な網膜をほとんど傷つけずに異常な血管を防ぎ、所要時間も20分間で済みます。初回投与時は２日間の入院が必要ですが、２回目以降は外来で治療が可能です。また、高齢者にとって、精神的・身体的負担が少なく、安全性が高いというメリットもあります。PDTにより治療環境はどう変わりましたか　エビデンスに基づき、治療をしないより、治療をしたほうが視力低下を抑えることが明らかにされ、有効性が確立されました。　同じ基準で治療をしたときに、欧米人ではこの治療法でも視力が下がってしまうのですが（ただし、視力の下がり方が対照群より小さい）、日本人では１年間の臨床試験の結果をみると、視力が低下せず、維持されることが報告されています。国内の５大学で行われた臨床試験（JAT）で、投与１年後の効果（視力低下抑制）として、視力の維持・改善が86％（うち改善は１割）、0.5以上の視力が得られた患者は23％でした。悪化は18.8％。　レーザー光線を照射して治療しますが、それで黄斑の中心窩領域を破壊することがないため、視力維持が可能になります。レーザーによる暗点ができず、たいした副作用もありません。安全性にほとんど問題がなく、視力維持をはかれる治療法です。今後数年のうちに複数のVEGF阻害剤が上市を控えています。臨床現場からの期待は　PDTの対象患者は視力0.1～0.5が適応とされます。市販後調査では、0.6以上の場合には0.68であった平均視力がPDT治療後１年で0.48に低下しており、視力維持という点で良い適応ではないからです。また、0.1未満では視力は保たれますが、１年後に0.1以上の視力を得ることは難しいです。　高い効果が期待できるのは病変が小さい患者さんですが、それらの多くは視力が良いため、PDTが使えない患者さんも多くいます。　先述したように、日本人ではPDTの成績は欧米人より良好です。特に、日本人に多い滲出型AMDの特殊型に分類されているPCV（ポリープ状脈絡膜血管症）に有効です。　それに対し、VEGF阻害剤は視力や新生血管の位置や大きさに関係なく、今まで治療法のなかった患者さんに対して治療ができます。さらに、血管新生を抑える作用とともに滲出を抑える作用があるため、新生血管からの血管外漏出を抑えることができます。　中心窩の新生血管に対しては、今までどんな治療にしても視力維持か視力低下を遅らせることしかできませんでしたが、VEGF阻害剤の中には視力を向上させることが可能なものもあります。VEGF阻害剤の種類と特徴は　海外ではマクジェン（一般名：ペガプタニブ、国内はファイザーが申請中、４月に医薬品第一部会を通過）とルセンティス（一般名：ラニビズマブ、国内はノバルティスファーマが申請中）の２製品が発売されているほか、アバスチン（一般名：ベバシズマブ）が適応外で広く使用されています。　マクジェンはアプタマー医薬。アプタマーとは標的たんぱく質と特異的に結合する核酸分子で、この薬剤の場合はVEGF165が標的となります。VEGFアイソフォームの一部（VEGF165）を選択的に阻害する薬剤です。最も優れている点は抗体医薬ではないため、免疫原性がなく、抗原抗体反応が少ない。ただ、抗血管新生作用が弱いため、効果の面では視力を維持するための治療法の中心になるでしょう。眼球への局所注射により、６週間に１回投与します。　一方、ルセンティスは抗体医薬で、VEGF165、VEGF121、VEGF189、VEGF206、VEGF110といった全てのVEGFアイソフォームの阻害剤です。転移性大腸がん・結腸がんの治療薬として世界で臨床応用されているアバスチンが滲出型AMDの治療薬として国内外で適応外使用されていますが、分子量が150ｋDaと大きく、網膜内移行性（組織移行性）が悪いという弱点があります。そのため、抗中和抗体のFab（抗体結合部位）フラグメントから作られたより小さな分子量（48ｋDa）の誘導体として、ルセンティスが開発されました。アミノ酸配列を一部変更しているため、VEGFへの親和性はさらに強力になっており、病気の進展を抑え、視力改善をもたらすことが可能です。組織移行性が高いため、網膜色素上皮の下の新生血管にも効果を発揮するとされます。マクジェンと同様、眼球への局所注射で、４週間に１回投与します。　それ以外に、完全ヒト型の可溶性VEGF受容体フュージョンたんぱくのVEGF-trap（一般名：アフリバセプト）の開発が進められています（国内はバイエル薬品が国際共同治験でフェーズ３を実施中）VEGF阻害剤により画期的な効果が得られているそうですが　臨床治療研究の結果では、ルセンティスは「視力の改善」という、これまでの治療では得られなかった画期的な効果が得られています。　一方、マクジェンは欧米の臨床治療研究の結果では、視力の維持は難しいという結果でしたが、病変部が小さい患者さんには効いています。日本の臨床試験のデータは海外のデータとほとんど同等でした。医療現場での使い分けは　マクジェンは抗体医薬ではないため抗原抗体反応が少ない。そのため、長期間にわたり何回も投与するなら、より安全で投与間隔の長いマクジェンのほうがよいでしょう。　一方、ルセンティスは抗体医薬で、治療中に抗体ができる可能性がありますし、マクジェンと同様、発生頻度が少ないにしても眼球への注射による有害事象の可能性はあります。また、投与間隔がマクジェンより短いため身体的負担が重いことが課題です。しかし、抗血管新生作用が強いので、例えば治療の導入期は効果の強いルセンティスで病変部を叩いて、視力が向上したら安全性の高いマクジェンに切り替える、もしくは導入期が過ぎたら所見に応じてルセンティスの投与間隔を延ばすという考え方があります。　一方、安全性ですが、眼への局所注射なので薬は微量ではありますが全身に回ります。ルセンティスはVEGFアイソフォームの全てを阻害するため、正常な血管新生にかかわっているVEGFも阻害する可能性があります。　有害事象の発生は眼球に注射投与するマクジェンにもいえる共通の課題ですが、非常に低率ではあるものの、失明にいたる可能性の高い眼内炎を起こす可能性を否定できず、水晶体に触れれば白内障になるし、網膜に触れれば出血したり、穴が開くこともあります。そのため、治療を行う医師の技術の質をきちんと均質化する必要があるでしょう。VEGF阻害剤とPDTとの併用の可能性もありますか　併用の可能性はあります。期待されているのが、PDTとの併用によるPDTの回数の減少や効果の向上です。また、併用によってVEGF阻害剤の投与回数も減らせる可能性があります。　PDTによる治療では照射範囲に虚血が起こり、虚血がVEGFを誘発して、さらに新生血管が増殖するという悪循環が起こる可能性がありますが、VEGF阻害剤と併用すればVEGFを減らすことができ、PDTの施行回数も減らせて、合併症のリスクが回避できると期待しています。さらに、PDTの効果である視力維持が、併用で視力改善に持っていけるかもしれません。　課題としては、経済性（薬剤コストの増加）や、まだ方法論的に確立されていないため安全性に懸念があることです。そのため、欧米では併用の効果や安全性を確認する臨床試験が進行中です。　PDTとの併用の可能性も含め、VEGF阻害剤が認可されれば、AMDの治療の第一選択薬になるでしょう。（インタビュー：編集部）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sat, 31 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[肺障害の発症リスクを考慮した処方を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12625</link>
            <description><![CDATA[1991年東京医科大学医学部大学院（外科学）修了。94～96年まで国立がんセンター中央病院でがん専門修練医として勤務。96年に東京医科大学外科第一講座帰局、大学病院に勤務。07年８月から同大外科第一講座准教授。専門は呼吸器外科、肺がん、外科腫瘍学。東京医科大学病院　呼吸器外科　坪井 正博　准教授　非小細胞肺がんの分子標的薬が国内に登場して約６年。02年５月に世界に先駆けて発売されたゲフィチニブ（製品名：イレッサ）に次いで、07年12月にはエルロチニブ（タルセバ）が上市された。同じ作用メカニズムを持つEGFRチロシンキナーゼ阻害剤で、今最も注目される肺がん治療薬だ。だが、分子標的薬を評価するにはその特性を十分理解し、肺障害などの重篤な副作用を回避する手立てが必要といえる。分子標的薬をめぐる現状と今後の期待と課題について話を聞いた。　肺がんの薬物治療による成績はどう変わってきましたか　肺がんのうち15～20％が小細胞肺がん、残りの80～85％が非小細胞肺がん（NSCLC）です。年間約８万人が罹患し、６万5000人近くが死亡します。５年生存率が10～30％という難治がんです。　薬物治療の歴史をみると、80年代は支持療法（制吐剤や白血球を増やすG-CSFなど副作用の治療法）がなく、嘔吐による体力消耗や白血球減少により肺炎で死亡する患者さんが少なからずみられました。90年代に入ってもシスプラチンやカルボプラチンという白金製剤と別の種類の抗がん剤の２剤を組み合わせて用いるという治療内容（レジメン）の根幹は変わっていませんが、パクリタキセル（タキソール）やドセタキセル（タキソテール）などの第３世代の抗がん剤が出てきて、治療成績全体が以前より15％程向上しました。MST（生存期間の中央値、50%の人が生存した期間）が８ヵ月前後から11～12ヵ月にまで延びたのは、抗がん剤そのものの治療効果の増強はもちろんですが、制吐剤などの支持療法の改善や緩和医療に用いる経口の麻薬製剤の発展などの貢献が大きいと考えられます。　2000年代に入ってゲフィチニブやエルロチニブといった分子標的薬が登場しました。治療成績がものすごく変わったのかというと、ある特定の患者さんには劇的に変わったといえるでしょう分子標的薬の効果や安全性をどう評価していますか　ゲフィチニブは手術不能・進行性の非小細胞肺がんでがん化学療法後に増悪、転移した症例の一部に劇的に効果を発揮します。確かに薬剤性の急性肺障害の副作用による死亡率が他の抗がん剤よりやや高く、従来までの標準的な抗がん剤治療との比較、あるいはそれらの抗がん剤との併用による上乗せ効果の検証において延命効果が未だに十分証明されていないので低い評価をしている臨床家もいます。しかし、実臨床で個々の患者さんを見てみると、再発例全体の５年生存率はまだまだ低く、決して満足すべき状況ではないのは事実ですが、ゲフィチニブを服用した患者さんの一部では明らかに延命効果があり、生活の質を維持できる人もいるのです。従来の抗がん剤でほとんど治療効果がないといわれていた肺腺がんの一種では服用後１～２週間の内にがんが小さくなったり消えたりする人もいれば、胸部レントゲン写真では肺がんの影が変わらないものの咳や呼吸困難などの症状がとれる人がゲフィチニブを服用した人の半数近くにみられます。肺がん領域でこれだけ劇的な効果を示した薬剤はこれまでそうありません。　また、ゲフィチニブ、エルロチニブともに短時間で効果が出るのが特徴です。服用者の７割くらいが投与後１週間以内に苦しい呼吸症状がとれたり、咳が減ったりするなど効果が現れます。顕著な例では服用後２～３日で効果が出てきます。　一方、既存の抗がん剤は投与３日目頃から嘔吐が始まったり食欲が落ちたりして副作用にさいなまれた後、投与１ヵ月後頃に腫瘍が縮小し始めるという状況がままみられ、一般に効果発現まで時間がかかります。延命効果の面でゲフィチニブとエルロチニブの違いについて　エルロチニブについては「TALENT」や「TRIUTE」といった試験が手術不能・進行非小細胞肺がん患者の初回治療に実施され、従来の標準化学療法と比べて上乗せによる延命効果は示せませんでした。しかし、進行・再発非小細胞肺がん患者の２次治療、３次治療として行われた「R.21」という最良の対症療法を対照群とした大規模比較試験では延命効果が報告されています。　ゲフィチニブでも延命効果を期待して海外で実施された臨床試験が幾つかあります。「INTACT1」や「INTACT2」、R.21試験とほぼ同様の試験デザインの「ISEL」がありますが、いずれも上乗せあるいは延命効果は確認できませんでした。　一方、国内では進行・再発非小細胞肺がん患者の２次治療、３次治療として「V15-32」という大規模な比較臨床試験が行われ、ゲフィチニブがドセタキセルと比べ非劣性（治験薬ゲフィチニブが対照薬ドセタキセルに劣らない臨床的意義を持つこと）であることは証明できませんでした。ただし、サブ解析でEGFR遺伝子変異のあった患者で両剤ともに効果が得られています。　その後、V15-32試験と同じデザインの大規模比較臨床試験「INTEREST」の結果が、昨年９月の世界肺がん会議で発表されました。ゲフィチニブとドセタキセルの効果を比較した最大規模の試験です。治療歴のある進行非小細胞肺がん患者でゲフィチニブが全生存期間で優れることは示せませんでしたが、ドセタキセルの効果に劣っていないことをEGFRチロシンキナーゼ阻害剤で初めて証明しました。この結果から、英アストラゼネカは欧州や米国で今後ゲフィチニブを再申請すると聞いています。　延命効果がなければゲフィチニブの承認を取り消すべきだと主張する人がいらっしゃいますが、臨床試験の結果の解釈はある種統計学上の推考であり、そこにはエラーが一定の割合で存在するものです。実臨床では、患者さんにとってその抗がん剤が延命するかどうかはもちろん重要な点ですが、苦しい症状がとれなければすぐに死に追い込まれるという恐怖感のほうがよほど強いのが現状です。ですから、延命効果というのは実臨床の場では評価が難しいところがあります。EGFR遺伝子変異のある患者でゲフィチニブやエルロチニブは高い効果を示しています　EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は上皮成長因子受容体（EGFR）を介したシグナル伝達をブロックして抗腫瘍効果を発揮するため、この受容体が多く発現している人に効きやすいだろうというのが最初の予測でした。しかし、04年にはEGFR遺伝子変異があるかどうかが、ゲフィチニブの効果を左右する鍵であることが分かってきました。　　まだ漠然としていますが、EGFR遺伝子変異が効果予測因子という概念が定着しつあり、臨床的背景と強く関係するといわれています。エルロチニブでもゲフィチニブと同様、東洋人、女性、腺がん、非喫煙者・軽度の喫煙者は効きやすい集団ですから、日本の臨床家もそうした患者さんに積極的に使ってみるという感覚は持ち合わせていると思います。　一方で、別の考え方も出てきています。昨年発表されたV15-32試験のサブ解析でゲフィチニブとドセタキセルがともに、EGFR遺伝子変異のある患者さんで効果があったことから、遺伝子変異は効果の「予測因子」（治療効果を推測する因子）ではなくて、抗がん剤全般の「予後因子」（再発、死亡など病気の自然史を推測する因子）であるとの考え方です。ゲフィチニブの効果とEGFR遺伝子変異との相関はどこまで検証が進んでいますか　ひとつは英アストラゼネカが治療歴のない進行非小細胞肺がんの１次治療でゲフィチニブの単独治療の効果を評価する初めての大規模比較試験「IPASS」です。日本、中国、香港、韓国など含むアジア人を対象に、臨床背景が選択された患者群で、標準化学療法（カルボプラチンとパクリタキセル併用）との効果を比較することを目的に約1200人の患者組み入れが行われました。来年の初めまでに試験結果が出て、間に合えば09年のASCO（米国臨床腫瘍学会）で発表されるでしょう。　腺がんで非喫煙者・軽度喫煙者を投与対象としているため、ゲフィチニブがこの特定集団をターゲットにする薬剤であれば延命効果が示されるだろうとその結果を期待しています。しかし、標準化学療法と同等であれば、これらの対象とリンクすると考えられるEGFR遺伝子変異は、ゲフィチニブの効果の予測因子というよりは抗がん剤治療全般の予後因子であろうと結論することになるかもしれません。　実は、我々もそうですが、欧米の臨床家はEGFR遺伝子変異が“絶対的な”ターゲットだとは思っていません。例えば、FISH法でEGFR遺伝子のコピー数が増える（遺伝子増幅）ことが、これらの薬剤の有効な患者集団だとも指摘しています。また、エルロチニブがゲムシタビンとの併用で進行すい臓がんに延命効果をもたらしているように、EGFR遺伝子変異のないところでもその有効性が評価されています。ブラックボックスがまだたくさんあるので、ゲフィチニブやエルロチニブがEGFR遺伝子変異のある人だけに効きやすい薬だと断言するにはまだ時期尚早なのかもしれません。　日本では、西日本がん研究機構（WJOC）が進めているEGFR遺伝子変異のある人を対象にした大規模臨床試験「WJTOG3405」が行われています。術後再発例と初回治療例を対象にしたゲフィチニブと標準化学療法（シスプラチン＋ドセタキセル）の比較試験です。さらに、北東日本研究グループ（NEJG）でも、EGFR遺伝子変異を有する全身状態がやや不良な非小細胞肺がんに対する救済初回ゲフィチニブ療法を行っています。これらの試験でポジティブな結果が出れば、EGFR遺伝子変異のある患者さんにはゲフィチニブが１次治療で用いる薬剤だという結論になるでしょう。ゲフィチニブとエルロチニブの間質性肺炎発症率の相違点は　多分それほど差はないと思いますが、今後のエルロチニブの投与のされ方で変わる可能性もあり得ます。　実はB-R.21試験のサブ解析では喫煙者や扁平上皮がんでもエルロチニブで効果が得られることが示されています。ただ、喫煙は肺障害のリスク因子ですので、ゲフィチニブの教訓（間質性肺炎の発症で副作用死が相次いだ）を忘れて、扁平上皮がんや喫煙者といったもともとの肺が肺気腫や肺線維症を来して傷んでいる患者さんにどんどん投与すると、ゲフィチニブよりも肺障害の発症例が増える危険性があります。　日本で行われたエルロチニブの開発臨床治験では担当医師が薬の治験対象者を選定する際に、肺障害のリスクの高い患者さんを除外している傾向にあり、エルロチニブの肺障害の発症率はゲフィチニブの市販後臨床試験やケースコントロール試験のそれよりも１％強低い結果でした。注意深く投与しなければゲフィチニブと同様にエルロチニブでも肺障害の頻度が高くなる可能性があります。確実に言えることは、両剤とも薬剤性の肺障害の発症例の半数が死亡していることです。ですから、患者さんはそのことを認識して服用すべきだし、医師もそういう意識で説明しなくてはいけません。２つの分子標的薬をどのような点に注意して使い分けるべきですか　ゲフィチニブ、エルロチニブともに手術不能・進行非小細胞肺がんの２次治療、３次治療の薬剤と位置づけられています。治験の結果からすると、日本人の抗腫瘍効果（腫瘍の大きさが半分以下になる）は両剤とも28％前後とほぼ同等です。　ただ、ゲフィチニブ250mgとエルロチニブ150mgの血中濃度（CmaxやAUC）を比較すると、薬剤の力価としてはエルロチニブのほうが３倍くらい強いように推察されます。実際の臨床現場でもゲフィチニブで効果のない人にエルロチニブが効くことがあります。逆に、エルロチニブで効果がない人にゲフィチニブが効くかはまだ明らかではありません。　韓国の臨床試験ですが、ゲフィチニブで耐性が出た人に対しエルロチニブに切り替えると15％程度の人に効果が認められたという前向き研究のデータがあります。同じアジア人なら日本でも同様の効果が期待できそうですので、国内でも市販後調査で調べている段階です。　エルロチニブを使用するうえで一番懸念するのは先述した肺障害のリスクです。皮膚障害や下痢などの副作用もゲフィチニブより強く出る傾向があります。ただ、後者は減量するなど幾つかの対応策がありますし、致死的になることはありません。開発中の分子標的薬の評価と期待について　フェーズ２以降の開発品をみるとどれも有望ですが、ゲフィチニブやエルロチニブを上回るほど劇的な効果の高い分子標的薬は経験していません。国内ではZD6474（海外製品名：ザクティマ、フェーズ３）やAZD2171（フェーズ２）、ベバシズマブ（フェーズ２）などがあります。　ZD6474はEGFR/VEGFチロシンキナーゼの阻害剤で、AZD2171はVEGFチロシンキナーゼ阻害剤です。私個人の経験では投与初期の段階で、ZD6474はゲフィチニブほどの強いインパクトはありませんでしたが、SD（安定状態）が長い人、すなわち病勢のコントロールが比較的長期に認められた人がいたという印象があります。　ベバシズマブは米国では進行・再発性非小細胞肺がんの１次治療で抗がん剤との併用で承認されています。投与早期の劇的な効果はないのですが、じわじわ効いてくるという特徴があります。ただし、血圧が高くなったり、喀血、脳出血など出血が起こったりするようです。喀血あるいは肺出血のリスクはある一定頻度で起こりうるとすると、この副作用を患者さんにどれだけ受け止めてもらえるかがこの薬剤の課題のひとつかも分かりません。　最近はスニチニブやソラフェニブなどいろいろな標的を効果の対象としたマルチターゲットの分子標的薬が出てきました。その影響もあると思いますが、標的が絞りきれておらず、薬剤がたくさんある中でどれが優れているのか評価しにくいとさえ感じることがあります。どれが最終的に生き残っていくのか、現段階では正直分からない状況です。　一方で、製薬企業に求めたいのは、副作用のマネジメントも考えたうえでの創薬ですね。従来の抗がん剤は嘔吐や腎障害が問題になるので、これらに対する支持療法も考えたうえで開発してほしい。また、ゲフィチニブやエルロチニブでは皮膚障害が発症するのでそれを予防する薬剤とか、ZD6474では日光過敏症が報告されているのでそれを減らすような薬剤を開発してほしいです。（インタビュー：編集部）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[緩和ケア、まずは普及の環境整備を]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12646</link>
            <description><![CDATA[1973年慶応大学医学部卒業、75年国立がんセンターレジデント課程（胸部専攻）、79年国立がんセンター病院内科医員、89年国立がんセンター病院内科医長、97年国立病院四国がんセンター副院長、02年東海大学医学部内科学系教授、08年１月より現職。専門は固形がんの薬物療法、臨床試験、緩和医療。04年から日本緩和医療学会理事長。帝京大学医学部内科学講座（腫瘍内科）　江口 研二　教授　３人に１人ががんで死亡する時代、昨年施行のがん対策基本法をきっかけに、がん医療がこれまで以上に注目されるようになった。従来から「最後の医療」というイメージが患者や国民、医療関係者でも根強かった緩和医療だが、これをきっかけに大きく変わることが求められている。緩和医療を正しく広げるためにどう取り組むか、現状と今後の課題を聞いた。がん対策基本法の施行で緩和ケアは追い風に乗っています　昨年施行されたがん対策基本法で緩和医療の必要性もかなりクローズアップされました。これはとてもいいことだと思っています。しかしながら、困る点が多いのも現状です。一つは緩和医療を支える人材が少ないということ。一般臨床医もある程度の素養を求められますがまだ不十分で、きちんとしたケアを行う意識が欠如している部分もあります。そして二つ目が財政的なことです。緩和医療を十分に普及させるためには、看護師をはじめとしたさまざまな人材を確保しなければなりません。その財政的な裏づけがどこにあるのか、関係者は当惑しています。緩和医療のなかでも医療用麻薬のネガティブなイメージはなかなか払拭できません　一般市民に対しての啓発活動は、これまでも個々の研究団体や学会、有志、医療関係者のグループなどが星の数ほどの市民講座などを開いています。このような努力はこれからも続けていくべきだと考えています。　日本緩和医療学会では、今年度に厚生労働省からの委託研究事業という形で市民啓発の事業を引き受けています。今は準備段階ですが、今年度中には成果を出せればと思います。具体的には関連学会や団体、研究会などと共同で資材を作り、啓発活動を進めていきたいと考えています。具体的にどのような資材を作成しているのでしょうか　緩和医療のスタンダードを患者さん向けにわかりやすく伝える漫画や、そもそも緩和医療とは何なのかという基本的な知識のほか、医療用麻薬に対する注意や正しい情報、治療を受けたいときに問い合わせる連絡先などを記載したパンフレットを作っています。このような冊子はこれまでもありましたが、統一したものを作り、配布しようと考えています。　患者さんに書き込んでもらう「わたしのカルテ」というのもあります。自分の病歴や資料などを挟むバインダーで、患者全員に配布しようと考えています。地域の医師に病状をわかりやすく伝えられると思います。日本緩和医療学会で疼痛管理のガイドラインを作成しています　2000年に作成したガイドラインに改訂を加えています。緩和医療のなかでも大きな割合を占める分野なので、今春までには完成させたいと考えています。ガイドラインの改訂は医療用麻薬でも錠剤やパッチなどさまざまな剤形が出てきているためです。安全で使いやすいのは当然ですが、選択肢が増えたのはいいことです。　しかし、使いやすいとされる薬でも患者さんによっては使いにくいこともあります。元気な人が便利と思っても患者さんからみればそうではない場合も多いのです。耳が遠くて目が見えないひとつの生活を守るような人生を送ってきた患者さんが使いますから。　また、老老介護の場合は深刻で、いくら薬剤師が説明してパンフレットを渡したり、看護師や医師が説明したとしても、自宅でまったく使い方がわからないことがあります。たとえば80歳の奥様が90歳の患者さんを看ている場合では、２人を前に説明しても医療用麻薬の使い方は理解できないのです。このようなケースの対策も考えなければなりません。ガイドラインを出せば、使い方は上達しますが、一方でそれだけでは済まない場合もあるということを関係者には十分考えてほしいと思っています。医療機関の緩和ケアチームはまだ黎明期といえます。人材育成をどのように考えていますか　緩和医療の専門家を育てる一環として、学会では専門医制度を２年後に立ち上げるための準備を進めています。　そのためにも体系的な教育カリキュラムをまとめ、２年前から学会員を対象に年数回セミナーを開催しています。１回600～800人が参加しています。　また、地域のコアになる人材を育てるため、緩和医療のプログラムを教える人を育てる取り組みも行っています。海外の教育資材を和訳し、２年前から実施しています。緩和医療の経験年数が10年程度の医師60人を対象に２日間の合宿形式で行っています。現時点で300人くらいの卒業生がいますが、このような医師が全国で緩和医療の中核になってほしいと思います。医師の関心が低い領域ですが、がん医療に携わる医師には緩和医療の知識が求められています　がん対策基本法をもとに策定された「がん対策推進基本計画」には10年以内にがん医療に携わる医師全員に緩和医療の研修を行うという項目があります。これは安倍晋三前総理の一言で５年以内に前倒しすることとなりました。問題は、現役の医師で研修セミナーを受講する人が少ないということです。これは関心の低さというだけではなく、時間がないためというのが大きい。平日夜には回診があり１～２時間の研修のために他院までは行けません。日曜日も患者さんを診ないとならない。院内で開催されるセミナーでも医師の参加は少ないので、院外ではなおさら難しいと思います。　そのため現在ｅラーニングシステムの導入を検討しています。民間企業では当たり前のように行われていますが、医療分野では疎かった気がします。自分の都合のいいときにアクセスして学習していくスタイルは忙しい医師には合っていると思います。それにセミナーでは実際に学んだことが身についたのか評価も難しい。ｅラーニングならば自分で評価できます。　開業医でもそれぞれ専門もありますし、緩和医療専門の開業医がいてもいいと思います。ただ、在宅での緩和ケアは24時間対応になるため１人ではできません。各地でグループを作る必要があるでしょう。皮膚で問題があれば皮膚科の医師に聞く、目の問題が起これば眼科医にアドバイスをもらう、と緩和ケア医が在宅医療を担うスタイルです。また、このようなグループとがん診療連携拠点病院の専門チームが協力すればいいと思います。　５年以内にすべての医師に緩和医療について研修を受けてもらうのは大変です。緩和ケアはいま追い風ですが、逆風になりうるとも考えています。学会としても最大限の努力をしていこうと考えています。（インタビュー：編集部）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Thu, 31 Jan 2008 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
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            <title><![CDATA[生物製剤で寛解導入率の改善が目標に]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12670</link>
            <description><![CDATA[84年慶應義塾大学医学研究科大学院修了。85年ハーバード大学ダナ・ファーバー研究所留学。98年埼玉医科大学総合医療センター教授に就任し、04年から埼玉医科大学副学長兼務。専門はリウマチ・膠原病を中心とした免疫臨床学。埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科　竹内 勤　教授　関節リウマチ（RA）の生物製剤が国内に登場して４年が経過した。インフリキシマブ（03年７月にRAの適応取得）とエタネルセプト（05年３月発売）の２製品が発売され、RAの治療戦略に大きな変革をもたらした。現在は、サイトカインである腫瘍壊死因子（TNF-α）の活性を特異的に阻害する“TNF阻害剤”が中心だが、近い将来、TNF-α以外の炎症性分子や免疫担当細胞を標的とする生物製剤も続々と上市される見通しだ。生物製剤をめぐる現状と今後の期待と課題についてうかがった。生物製剤の登場で、RAの治療目標はどう変わりましたか　治療目標そのものが変わってしまいました。従来は臨床症状や検査値、炎症反応などを50％抑制できれば大成功でしたが、インフリキシマブ（INF＝製品名はレミケード）やエタネルセプト（ETA＝エンブレル）の使用により、90％近い抑制効果が得られるようになりました。現在では痛みや腫れが消える「寛解」状態に回復するところまで治療目標のハードルが高くなっています。　罹病期間10年のRA患者さんの寛解率は、世界的には５～10％程度でしたが、日本では20％前後から30％前後まで得られることが分かっています。これほど効果の高い薬剤はなかったし、しかも寛解がこのレベルまで導入できる薬剤というのは大きな希望になります。これをなるべく高い率まで引き上げようというのが、我々が今後目標としているところです。生物製剤の普及はどの程度進みましたか　国内でINFの使用患者数は約２万5000人、ETAが約２万人で、生物製剤は約４万5000人に使われています。国内のRA患者数は約60～70万人で、うち抗リウマチ薬を使用しているのは40万人と推定されます。40万人を分母にすると、生物製剤の使用率は11％くらいです。当院では1500人のRA患者さんの約500人に使用しており、導入率は33％程度です。　米国では06年の使用率は30％、欧州で約20％といわれています。高い施設では40％という数値もありますので、日本は使用率が低いですね。様々なデータからみても、重症で進行の早いRA患者は約30％いるとされ、生物製剤が行きわたる必要があります。どのような患者さんに生物製剤が投与されていますか　生物製剤が発売された当初は、既存薬でコントロールできない罹病期間10年のRA患者さんに投与されていました。欧米に比べると罹病期間が長く、既に関節破壊が進んでいるため、十分な治療を受けているとはいい難いです。我々が反省すべきなのは、もう少し積極的に活動性の高い患者さんを評価し、コントロールできていない場合は強力な治療薬である生物製剤に早く切り替える必要があります。　最近の研究では、既存薬で効果がない早期RA患者さんに生物製剤を使うというエビデンスがたくさん出てきています。世界のRA治療の目標は、罹病期間が２～３年という早期RA患者さんに使用して、寛解が現実的なゴールになってきたというキャッチフレーズですから。　実は国内でも、INFとETAの全例市販後調査の結果が公表され、副作用の種類や頻度が正確に把握できるようになりました。それが原動力となって、罹患して10年も経たない患者さんに積極的に生物製剤を投与する流れが出てきています。臨床現場でINFとETAの使い分けは進んでいますか　患者さんの通院スタイルが薬剤の選択に大きくかかわってきます。というのは、INFは点滴静注で、初回投与の後、２週後、６週後に追加投与を行い、以後８週間ごとに投与を継続します。点滴に２時間を要しますが、いったん導入されれば、２ヵ月間に１回の投与で済むメリットがあります。　一方、ETAは皮下注射なので投与自体は簡便ですが、最初の１ヵ月間は週に２回通院しなければならないという制限があります。その後、安全性が確認されると自己注射に移行できますが、それでも２週間に１回通院する必要があります。　会社勤めの患者さんで、週２回通院するのは非常に厳しい。そうなると、選択肢として優れているのは通院間隔が長い薬剤になる。逆に医療機関が近くにあれば、週２回でも通院できるETAを選択するでしょう。INFとETAの有効性と長期継続率をどう評価していますか　INFの優れた点は、投与した翌日から疾患活動性をコントロールできるほど切れ味があることです。深い効果が得られるうえ、効いた後に寛解の状態が続けば、薬剤投与を止めることも可能です。止めても寛解が持続する患者さんもいるので、将来的に薬剤投与を中止できる可能性もある。INFがTNFαを中和するだけでなく、TNFαを産生する細胞を抑制する可能性があるためです。　INFの寛解導入後の中止、中止後の寛解と関節破壊進行抑制の維持に関するエビデンス構築を目指して、国内で多施設間共同による「RRR研究」を進めています。目標症例数100例で１年以内に結果を出したい。　INF のデメリットですが、投与直後に効果が得られても、投与間隔が延びたときに効果が減弱する患者さんがいることです。　一方、ETAはINFと異なり、TNFαを中和できても産生レベルで抑えられない可能性がある。そのため、将来的に薬剤投与を止められるか否かはまだ未解決です。ただ、じわじわと効果が出てきて、減弱することはほとんどありません。その意味で、長期間安定的に病態をコントロールできる薬剤といわれます。　両剤の一次無効例（治療変更でも効果が得られない症例）はACR50（米国リウマチ学会の評価スコアで50％の改善）で約10％います。二次無効例（治療中に次第に効果が消失した症例）は投与１年以内だとINFで10～20％、ETAはほとんどない。長期継続率の点ではETAのほうが優れた薬剤であるといえます。　ただ、INFは非常によく効いたために途中で投与を中止したケースも含まれるため、よい意味でも悪い意味でも継続率が低くなってしまうのです。我々が検討した結果、１年後の継続率は、INFが約70％、ETAが約85％でした。INFでは効果減弱が問題となっています。対策はありますか　国内で進めている「RESTORE研究」では、INFを投与しているときに二次無効になりそうな患者さんに、INF投与直前にステロイドを１ショットで静注すると、効果が長持ちすることを臨床的に経験しています。全国の50症例を集積しており、１年くらい先に結果が出るでしょう。これまでの結果では、50％程度の効果が得られています。　また、INFの増量の適応拡大に向けた試験も国内で終了しました。解析結果は今春に発表される予定です。治験は体重あたり３mg、６mg、10mgを投与して、臨床的有用性と関節破壊の抑制効果を調べたのですが、増量による増強効果が認められました。　一方、海外では投与間隔の短縮で、有効性が向上することが報告されています。増量に比べて、患者さんの薬剤への反応に合わせて調節できるという点でメリットがあるといえます。IL-6阻害剤トシリズマブが、既存の生物製剤を凌駕する可能性は　中外製薬が開発中のトシリズマブ（製品名はアクテムラ）は世界初のIL-６阻害剤（国内で申請中）で、今年RAの適応取得が期待されています。市販後調査で予期しない副作用をモニタリングする必要があるため、恐らく発売直後は、INFやETAなどの生物製剤で効果が得られなかった患者さんに投与されるのではないかと思います。　ただ、世界の臨床データで効果をみるとINFとほぼ同等か、若干トシリズマブのほうが優れている。特筆すべきは、日本の臨床試験でもMTXを併用せずに単独で投与しても、TNF阻害剤のMTX併用と同等の効果がある。その点で、TNF阻害剤よりも効果が高いかもしれません。使い勝手という面では期待される薬剤だと思います。　副作用として高脂血症が報告されていますが、動脈硬化指数から見るとそれほど悪くない。今までの臨床試験データでは大きな懸念材料はないのですが、多数例で使って初めて分かる副作用もあるので、その点で未知数といったほうがいいですね。アダリムマブは同系統のINFやETAと同等の効果は期待できますか　エーザイとアボットが共同開発したアダリムマブ（国内販売名＝エーザイ：ラヒーラ、アボット：ヒュミラ、申請中）ですが、国内では同系統のTNF阻害剤であるINFとETAの２剤が先行発売されています。　アダリムマブは２週間に１回の皮下注射というメリットがあります。MTX不応例に対し、INFやETAと同じ位置づけで使われていく可能性があるでしょう。完全ヒト型抗体のため、キメラ型のINFのように抗製剤抗体ができないという印象を持っていたのですが、単剤で使うとINF同様に、抗製剤抗体ができて効果が減弱する例が散見されています。MTXと併用すればその問題が軽減する可能性はありますが、効果については今後臨床の現場で検証していく必要がありますね。　臨床現場で、INFやETAのように生物製剤の第一選択薬として用いられる可能性はありますが、どの程度の有効性があるか、注射部位反応の頻度などによって評価が決まってくるでしょう。アバタセプトやオクレリツマブは、生物製剤の第二選択薬という位置づけですか　アバタセプト（海外製品名はオレンシア、BMSが国内でフェーズ２実施中）は新タイプの薬剤（CTLA4とヒトIgG1-Fcとの融合蛋白で、T細胞活性化に必須のCD80/86とCD28の結合を阻害）です。日本の治験で、MTX不応例とMTXを使用しない単独治療の試験を進めています。今年中にフェーズ2b試験の結果が発表され、申請されるでしょう。　30分で済む点滴製剤で、初回点滴を行った後、２週後、４週後、その後は４週に１回の投与間隔になります。効果はしっかりと出ますが、TNF阻害剤のように投与翌日に効果が出るような即効性はありません。１～２ヵ月後に効果が現れてきて、長く使えば使うほど効果が確実に出てくる今までにはないタイプの薬剤です。個人的な印象ですが、副作用の面でも、重篤な感染症が起きているという印象はなく、世界的な数千例のデータでも特別強い日和見感染は発症しておらず、TNF阻害剤に比べメリットが生まれるかもしれません。　とはいっても、やはり生物製剤の第二選択薬というイメージですね。というのも、世界的にも使用した患者数はたかだか数千人です。TNF阻害剤のほうは、INFが100万人を超え、ETAも50万人を超えています。また、最長で９～10年の長期使用経験があるので、安全性のデータは圧倒的にTNF阻害剤のほうが蓄積されています。　一方、米国で生物製剤の第二選択薬としてTNF阻害療法抵抗性のRA患者に使用されているキメラ型の抗CD20抗体リツキシマブがありますが、この改良型でヒト化抗体のオクレリズマブの治験が国内でも始まろうとしています。日本が国際共同治験に参加する形で行われます。発症早期の治療実現に向けた課題について　生物製剤は発症２～３年以内の早期RA患者さんに投与したほうがよいのですが、それ以前に、国内ではMTXの使い方や効果判定の時期が明確になっていないことが問題です。生物製剤の使い方以前に、足元のMTXの使い方から固めていかないといけません。　そのためには、MTXの使い方をルール化する必要がります。MTXの投与量上限を引き上げる努力をしなくてはいけませんし、MTXの効果判定を同剤を使用してから３ヵ月から６ヵ月以内にすべきだと思います。効果判定を早めに行って、効果がない患者さんには生物製剤を投与する必要があります。また、RA患者60～70万人の中で40万人くらいしか抗リウマチ薬が使われていないという状況も改善していく必要があるでしょう。（インタビュー：編集部）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Mon, 31 Dec 2007 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[配合剤は吸入ステロイド普及の後押しに]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12724</link>
            <description><![CDATA[75年東大医学部医学科卒。80年・88年米国コロラド州デンバー市ナショナルジュイッシュ免疫呼吸器研究センター留学。97年より帝京大医学部内科学教授。主な研究テーマ：喘息、肺線維症の病院・病態の解明。帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学　大田 健　教授　吸入ステロイド薬は気道の慢性炎症を抑え、喘息症状の改善や発作回数の減少などに有効であることが数々のエビデンスで裏付けられ、2006年のガイドラインでは軽症例に低用量の吸入ステロイド薬が推奨されている。しかし、プライマリ・ケアにおける吸入ステロイドの使用率は諸外国に比べ低い状況にある。今夏の吸入ステロイドとβ2刺激薬の配合剤の上市により、吸入ステロイドの普及が今後どのように変わるかについて話を聞いた。「喘息予防・管理ガイドライン2006」の改定で、軽症例に低用量吸入ステロイド薬の連用を第一選択に位置づけられた理由は　喘息の長期管理という点で、そこに使われる薬剤をコントローラーと称しています。コントローラーの役割は炎症を鎮めることと、もう一つは症状が出ないように症状をコントロールすることです。つまり、安定化させて喘息を感じない日々の生活が保てるようにすることが求められます。　喘息では、炎症に際して好酸球が非常に多くみられます。この好酸球に対して抑制作用が最も強い薬剤は、ステロイドなんですね。ステロイドの吸入によって、喘息の症状が非常に安定するということは、もう20年以上の実績と文献学的な考察から積み上げられています。それらの知見を考えると、もっとステロイド薬は使われなければいけない薬剤です。　また、安全性も非常に高い薬剤であるということが認知されています。これまでのガイドラインでは、特に軽症の場合には、吸入ステロイドの他にテオフィリン徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、あるいはβ刺激薬も選択肢とされていました。吸入ステロイド薬の効力の強さという点は、エビデンスとして明らかにされていますので、それをベースにして今回は低用量吸入ステロイドの連用を第一選択としたわけです。　その他の薬剤は、インターミッタント（間欠型）のステップ１の段階での選択肢であって、症状が毎週出るステップ２の段階になると、炎症をしっかり抑えることを戦略的に優先させるべきであり、低用量の吸入ステロイドがエビデンスを踏まえて第一選択薬ということになります。プライマリ・ケアの医師は、あまり積極的に吸入ステロイドを処方されていないようです　一般にはステロイド・フォビア（恐怖症）が強調されていますね。過去にステロイドの全身投与によって起こった、さまざまな弊害がベースにあるようです。軟膏や皮膚に使う薬剤も、局所的な副作用が明らかになっています。そうすると、吸入薬も局所に長期間使うので、皮膚と同じような変化が起こる可能性がないのだろうかという疑問です。　これは専門家も含めて、長年心配してきたことなのです。全身的な副作用に関しては、ステロイドという名前だけでなるべく使わないようにしようという風潮が、そのまま持ち込まれたわけです。　さらに、患者さんに「ステロイドを使います」と言うと、「先生、それ怖い薬でしょう」と反応され、なかなか受け入れてもらえない。患者さんに「私は使いたくありません、吸いたくありません」と言われると、医者というのは特に軽症の人たちには、他にある程度コントロールできる薬剤があるので、「使わずに様子を見ましょう」となることが多いのです。　もう一つの理由が「効果」です。ステロイドの場合は、苦しくなってきたときに吸い始めても、すぐに楽にはなりません。そうすると、「この薬は効かないじゃないか」とやめる人も決して珍しくないのです。医師の側も必ずしも理屈まで全部理解して使っているとはいえないので、患者さんに妥協しがちです。そうすると、同じ吸入でも気管支拡張作用の強いβ刺激薬の方を優先してしまう。こうした要因が重なり合って、私たちが望むほど吸入ステロイドが優先的に使われないのです。患者さんの意識は変わってきていますか　まだ不十分ですね。ただ、しっかり説明することで理解されたり、ステロイドをそれほど怖いと意識しない患者さんもいます。そういう方には受け入れてもらえますが、新聞報道などで先入観を持った方は、十分頭で理解されないと、なかなか意識革命が起きません。　もう一つは、病気の性質です。喘息は気道の炎症によって起こる病気で、苦しくないときも気道でくすぶっているということを理解してもらえないと長続きしません。そうした意識を変えるためには、まだまだ努力が必要だと思っています。吸入ステロイドとβ2刺激薬の配合剤発売により、吸入ステロイドの普及は進むのでしょうか　吸入ステロイド単独だと吸っても効かないと言われることもありますが、β2刺激薬の配合によって楽になるという意識が持てるんですね。その点では、吸入ステロイドの普及を進める大きな後押しになると思います。　　また、従来の吸入薬とβ2刺激薬の二度手間が一度で済むわけで、服薬アドヒアランスを高める上で大きいと思います。以前は１種類ずつ吸うと「緑色の薬は効くけどオレンジ色は効かない」といった不満もありましたが、それが防げるだけでも意義はあります。吸入ステロイド配合剤の普及によって、テオフィリン徐放製剤、β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗アレルギー薬の処方が減る可能性は　配合剤が優先されるとそれだけで治まる方は他剤が不要になるので、処方が減る可能性もあるでしょう。ただ、GOALという大規模試験で吸入ステロイドとβ2刺激薬の配合剤を用いると、非常に効果が高いという報告がされていますが、完全にコントロールされるのは50％前後にとどまっています。　つまり、ステロイドだけでカバーしきれない容態があるわけで、患者さんの苦痛を除くには、やはり他の薬剤も必要になります。　軽症の場合は配合剤だけで済むかもしれませんが、うまくコントロールできないときは、最大用量まで単独で投与するより中用量程度に抑えて他の作用を持った薬剤をアドオンし、それがまた効かなければステップアップして最大用量にするのが無難だと個人的には考えています。　また、ステロイドで難しいのは、症状が落ち着いてくると、投与量が問題になってくることです。ある量で症状が落ち着いてステロイドを減らしたいとき、そのタイミングで行って良いのかどうか。β2刺激薬の作用もあるので、くすぶっている炎症がマスクされた状態なのかもしれず、区別が難しいのです。　それがうまくできるようになると完璧なのですが、慎重な対応が必要になります。症状が一番頼りになるわけですが、この可能性を念頭に置いて減量されるほうが良いと思います。ガイドラインの普及についてMRはどのような貢献ができますか　適切な薬物療法の普及のためには、喘息の病態は慢性の気道炎症だということを非専門の先生方にも十分理解していただけるような活動をしてもらえるとありがたいですね。　そうすれば、なぜ長期管理と発作治療に分かれているのか、そして長期管理のポイントの中でなぜ炎症ということを重視しなければならないのかが、より理解されやすくなると思います。（インタビュー：佐藤 龍太郎）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Wed, 31 Oct 2007 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[TASCⅡでは「血管内治療」の適応が拡大]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12768</link>
            <description><![CDATA[専門は血管外科、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血管内治療。血管内膜肥厚の成因とその制御、血管新生療法（細胞移植療法、遺伝子治療）が基礎研究テーマ。日本外科学会評議員、日本血管外科学会理事。名古屋大学大学院医学系研究科　血管外科学分野　古森 公浩　教授　2007年1月に「末梢動脈疾患」に関する診断と治療のガイドラインである「TASCⅡ」が発表された。糖尿病患者、透析患者の急増などを背景に、わが国でも末梢閉塞性動脈疾患が増加している。同ガイドラインは、血管専門医のみならず糖尿病専門医やプライマリケア医にとっても、理解しやすいようにまとめられている。ガイドラインによって末梢動脈疾患の治療が今後どう変わるのか、話を聞いた。動脈硬化の転帰は　末梢、特に下肢の動脈硬化の症状の重症度として、よく使われているのはFontaineの分類です。動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり閉塞してきます。その程度で症状が違います。軽いときはしびれや、冷たい感じなどの症状がでてきます。ひどくなってくると、歩くと足が痛くなり、休むと痛みがなくなる、いわゆる間歇性跛行症状があらわれてきます。血液の流れがさらに悪くなると、安静時、何も運動しないのに痛くなってきます。最後は潰瘍や壊疽で腐ってしまうことになります。　最近は糖尿病や慢性腎不全、あるいは透析中の糖尿病の患者さんで、潰瘍や足が腐るところまでいく重症の虚血肢をみることが多いですね。透析患者さんの場合、透析台が限られていますので、透析台が空いていないとすぐに入院できないこともあるのが問題ですね。末梢の動脈硬化疾患における「ASO」と「PAD」の違いは　日本でも、食生活や生活様式の欧米化、高齢化などにより末梢動脈疾患（Peripheral arterial disease：PAD）患者の90％以上を閉塞性動脈硬化症（arteriosclerosis oliterans：ASO）が占めるようになりましたので、欧米と同じくPADイコールASOと考えてよいと思います。PADとASOには、違いはありません。ASOという言葉は、末梢動脈疾患（PAD）とイコールです。2000年にTASC、2007年１月にTASCⅡが発表されましたが、改訂の狙いは　TASC（Trans-Atlantic Inter-Society Consensus）は、末梢動脈疾患に関する欧米だけの治療指針だったのですが、今回、北米、オーストラリア、南アフリカ、日本など17学会のワーキンググループによって作成されたのが、TASCⅡです。私と東京医科大の重松先生がこの作業部会に加わってきました。TASCⅡの狙いは、従来のTASCの内容を短縮すること、診断や管理の重要な側面に焦点をあてること、新たな文献やエビデンスから情報を最新化することでした。また、エビデンスレベルにしたがって、推奨事項をACのグレードレベルで提示しています。　PADは全身疾患ですので、例えば糖尿病や高血圧、コレステロールを合併した方々に、おのおのの値をどれくらいにコントロールしたらよいかの目安を数値で表しています。また血行再建術には血管内治療と外科的バイパス術がありますが、それらの治療法を病変の部位や程度で、血管内治療が第一選択である、あるいは手術治療が第一選択であると治療指針を示しています。2000年のTASC分類にくらべTASC IIでは血管内治療の適応が拡大しています。推奨される診断法は　問診が大事です。PADを疑った際、その症状を詳しく聞きます。例えば歩くと足が痛いといっても、早足で歩くとダメだとか、階段を上るとダメ、坂道を登るとダメとか、特徴的な症状がみられます。　PADと一番鑑別しなくてはいけないのが脊椎管狭窄症です。脊椎管狭窄症の方々は、脊椎が圧迫されるような姿勢だと痛みがでます。こういう違いを問診で十分に聞くことです。次に、歩くと太腿が痛くなるとか、ふくらはぎが痛いといった症状の部位、あとは、どれくらい歩くと痛みがでてくるか、距離ですね。これらのことで整形外科的な疾患との鑑別がつきます。ただ、気をつけなければならないのは、両方合併している方もいることです。　次は脈拍を大腿動脈、膝窩動脈、足背動脈などで触知します。ベテランであれば、脈拍の有無と症状さえ聞けば病変部位が概ね推測できます。さらに足関節上腕血圧比（API）を測って血圧に差がないかをみるわけです。そうすると、だいたいのことは分かります。ただ、糖尿病、腎不全の方は、血管の壁に石灰化が認められ、血管が詰まって流れが悪いのに、血圧は正常以上に出ることがあるので、注意が必要です。　PADを疑われたら、血管外科の専門医の先生に紹介するなり、あるいは跛行であれば抗血小板剤で２〜３ヵ月ぐらい様子をみるということを推奨しています。PADに関する開業医の先生の関心事は徐々に上がっていると思います。PADでは間歇性跛行が特徴的ですが、心血管合併症のリスクを減らすことが必要です　PADは男性に多く、加齢に伴って増加します。また、重症虚血肢発症に及ぼす因子として、糖尿病が４倍、喫煙が３倍です。間歇性跛行の患者さんを治療する上で最も重要なことは、心血管合併症のリスクを減らすことです。　PADは全身的な動脈硬化の一部分症ですので、脳梗塞や心筋梗塞を高率に合併します。TASCⅡでは、リスクファクターの修正として禁煙、LDL-コレステロール、HA1c、血圧について、具体的なコントロール数値で示しています。PAD患者は、血管の閉塞による症状だけではなく、全身の合併症に対する総合的な治療が必要なわけです。　リスクを減らすうえで、抗血小板剤を投与します。TASCⅡではエビデンスがあるとして、グレードＡに推奨しているのがシロスタゾールです。シロスタゾールの３〜６ヵ月投与を推奨しています。その他の薬剤としては、プロスタグランジン製剤やセロトニン受容体拮抗薬があります。これらの薬剤は、シロスタゾールと作用機序が違います。また、抗血小板剤を使い分けたり、組み合わせたりすることも可能です。血管内治療も含めたPAD治療の今後の変化は　間歇性跛行などに対する最初の治療は、運動療法、薬物療法になります。TASCⅡでは、監督下での運動療法プログラムが、歩行能力を改善するというエビデンスがあることから、運動療法プログラムを常に考慮すべきだと推奨しています。　運動療法や薬物療法で改善が見られない場合、希望する患者さんには血行再建術を行います。血行再建術には外科的バイパス手術と血管内治療があります。重症虚血肢の場合は、第一選択は血行再建術です。今までは外科的バイパス手術が第一選択だったのですが、全身状態の悪い方には、血管内治療が応用されるようになってきています。　跛行肢の場合には、運動療法、薬物療法の効果がなく、もっと歩きたいという方に血行再建術を行います。特に、腸骨動脈の病変に対しては、今は血管内治療が第一選択となりつつあります。腸骨動脈と違って長期成績が悪い鼠径部以下の浅大腿動脈領域も、血管内治療を行う割合が増えてきています。　流れとしては、だんだん血管内治療が増えていますので、われわれは血管外科医「Vascular Surgeon」から、「Vascular and Endovascular Surgeon」に移行しつつありますね。実際にアメリカのvascular fellowの手術症例では、血管内治療が50％を超えたという報告もあります。TASCⅡを普及させるうえで、MRが協力できることはありますか　パンフレットなどでPADという病気を知らしめるような、あるいは分かりやすく病気を紹介してくれるような動きをしてほしいですね。（インタビュー：佐藤 龍太郎）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Sun, 30 Sep 2007 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[高薬価でも“グレードA”中心に]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12811</link>
            <description><![CDATA[日本整形外科学会　整形外科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、指導医。専門は関節外科、関節リウマチの基礎と臨床および骨粗鬆症をはじめとした骨代謝の基礎と臨床。東京大学医学部附属病院　整形外科　田中 栄　講師　2006年10月に「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」が制定された。本ガイドライン（以下、GL）は、薬物治療の開始基準を新たに定め、薬物治療の指針を示したのが特徴だ。予防重視の観点から、骨粗鬆症に該当していなくても骨密度が70〜80％に減少した閉経後の女性なども治療開始する方針が盛り込まれている。薬物療法は今後どう変わるのか、話を聞いた。骨粗鬆症の患者さんは、1200万人とも言われますが、加療されているのが２割にとどまっている理由は　生活習慣病なども同じですが、自覚症状がないケースが多いことです。骨折を起こしていても、それほど症状が出ない場合は受診しない場合が多いですし、治療を受けようとしないのが一番の原因ではないかと思います。2006年のGLでは、骨密度を中心とした考え方から、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患へ定義が変更されました　骨粗鬆症の診断が大きく進歩した理由のひとつは、骨密度が正確に測れるようになったことです。ただ、同程度の骨密度でも、骨折のしやすさに差があります。骨密度だけで説明できない、骨折のリスクが存在することが分かってきました。　このような知見をふまえて、2000年に米国NIHの出したconsensus statementでは、骨粗鬆症を「骨強度低下」と「骨折危険性増加」と定義されました。また骨強度低下の原因として骨密度のみならず「骨質」および「骨折危険因子」の重要性が強調されました。骨密度以外の骨折の危険因子には何がありますか　骨折のリスクのひとつは年齢です。例えば、同じ骨密度でも高齢の方のほうが骨折しやすい。また、以前に骨折したことのある人のほうがリスクは高いと言われています。今回のGLで特に強調されているのは、アルコールの摂取・喫煙・大腿骨頸部骨折の家族歴です。アルコールの摂取が１日２単位以上であれば、骨折のリスクになります。　こうしたリスクを定めている理由は、これまでの診断基準では骨粗鬆症と診断されてこなかった人のうち、リスクの高い人をくみ上げて治療にもっていくのが狙いです。GLでは若年者の骨密度獲得の必要性が強調されています　骨密度、骨の強さというのは20歳ぐらいで最大値を示し、その後徐々に下がっていきます。特に女性では閉経直後に急速に低下します。ある程度個人差はあるとしても、最大骨密度をどれくらいにもっていけるかというのが重要な点です。最大骨密度が低い人は、骨粗鬆症になりやすいですね。　したがって、若い時期に最大骨密度を上げておくことが大事になってきます。今回のGLではカルシウム摂取やスポーツなどによって、最大骨塩量を上げておくことによる骨粗鬆症予防の重要性を指摘しています。GLでは診断基準とは別に、治療介入基準も示されています　わが国における骨粗鬆症の診断基準は骨代謝学会によって2000年に定められました。骨密度についていえば、young adult mean（YAM, 20−44歳の若年成人女性の平均値）の70％未満の人が骨粗鬆症と診断され、治療対象になります。逆に言えば、70％以上の人は治療できないことになります。　ところが、調べてみると比較的骨密度が高くても骨折率が高い人がかなりいる。つまり、骨密度のYAMの70％を超えている人の中でも、かなりの数の骨折が発生している。そういう人は現在の診断基準では治療できないわけです。　そこで、少なくともYAM 70〜80％の黄色信号の人たちの中で危険因子を有する人は、骨折を起こすリスクが高いと判断して治療をしましょうということで、薬物治療開始基準が導入されたのです。薬剤の推奨は海外データのエビデンスレベルに基づいていますが、このエビデンスレベルの解釈は　GLではアレンドロネート、リセドロネート、ラロキシフェンの３つが総合評価でグレードＡとされています。これまで非常に多く使われてきた活性型ビタミンD3、ビタミンＫはグレードＢになっています。カルシウムにいたってはＣランクになっています。　これは、GLのベースに海外データが非常に多いためです。しかしながら日本ではビタミンＤの食事からの供給状況、カルシウムの摂取状況、また日照時間などが海外と大きく異なっています。特にカルシウムは、日本人は欧米人に比べて圧倒的に摂取量が少ないことが知られています。また、ビタミンＤは米国などでは普通の牛乳にサプリメントのような形で入っています。　このように日本人は、ビタミンＤやカルシウムの摂取量が欧米人よりずいぶん少ないことを認識しておく必要があります。ビタミンＤやカルシウムが充足している場合には、これらの投与によって骨折発生率は変わらないという意味で、グレードＢやＣになっているのであって、不足している人に対しては、何らかの形で補わないといけません。したがって今回のGLではビタミンD3、Kやカルシウムのランクは低くなっていますが、これらの効果を否定しているわけではありません。GLの発表によって、骨粗鬆症の薬物療法はどう変化していくのでしょうか　骨粗鬆症の専門家にとっては、ある程度広く認識されていたことを正式にGLにまとめたというのが今回の趣旨です。実際に骨折予防という点から、骨密度だけでなく骨折を起こすリスクにも注目して骨粗鬆症の治療を組み立てていくこと、治療においては、様々な薬がある中でグレードＡの薬を中心に据えることが重要です。　また、若年者に対しては、骨粗鬆症にならないために生活習慣の改善や適切なカルシウム摂取、スポーツなどで最大骨塩量を上げることが大事なことも推奨しています。骨粗鬆症になってから治療するのではなく、それ以前の対処が重要です。一生を通じて生活習慣や食事などを指導して、（閉経前後の）骨粗鬆症の危険年齢になったら、危険因子と骨密度を踏まえて、骨折リスクの高い人には積極的に治療をしていく、それによって必ず骨折リスクは減ることをうたっているのが、このGLです。　薬価については、ビタミンＤやカルシウムなどに比べＡランク品は高いのですが、いったん骨折すると医療費は安くはありません。それをトータルに調べると、結局Ａランク品のほうが安上がりだと言われています。大腿骨頸部骨折や寝たきりが半減したら素晴らしいことですが、２割減になるだけでも社会的な損失はずいぶん減るのではないかと思います。骨粗鬆症の治療で、MRに期待されることは　GLに沿って、「Ａランク品には何があって自社製品は○ランクだけど、こういうチョイスもできますよ…」と、客観的に言っていただくといいかな。その上で、自分たちの薬にどういうメリットがあるかを強調してもらったらいいのではないかと思います。（インタビュー：佐藤 龍太郎）]]></description>
            <category>TOP DOCTOR</category>
            <pubDate>Fri, 31 Aug 2007 00:00:00 +0900</pubDate>
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