厚労省・ディオバン検討委 最終報告書を了承「大学、ノバルティス双方で責任を負うべき」

公開日時 2014/03/28 03:52
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降圧薬ディオバン(一般名:バルサルタン、ノバルティス)の臨床研究におけるデータ改ざん問題を受け、厚労省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」(委員長:森嶌昭夫名古屋大学名誉教授)は3月27日、「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について」の報告書をまとめた。報告書では、「調査等の限界からデータの操作を誰が何の目的で行ったのかについてまで明らかにすることはできなかった」とした。その上で、臨床研究をめぐる一連の問題が、日本の医学界の信頼を失墜させた責任の重さを強調。「関係大学(大学側研究者を含む)およびノバルティス社の双方で負うべき」と明記し、再発防止に向け、両者に真摯な対応を求めた。


報告書は、昨年10月に公表された中間報告以降、滋賀医科大学、名古屋大学、千葉大学、の3大学や関係者を対象に調査、ヒアリングを実施したことを踏まえてまとめられた。検討委では、事実関係についての調査とともに、臨床研究における構造上の欠陥や再発防止策について検討を進めてきた。


検討委で明らかになった項目として報告書では、大学・研究者側の問題として、▽試験の企画立案段階で、特定の医学的研究課題の解明が目的とは考えられない動機がある、▽臨床研究の実施体制が整っていないにもかかわらず研究が開始された、▽本来の目的があいまいな状況で研究を実施することで、医学的研究以外の意図を有する者が関与する隙を与える可能性があった―と指摘。「研究者としての倫理に反しているのみならず、本来必要のない臨床研究実施につながる可能性があり、特に被験者保護の観点からは看過できない問題である」とした。


利益相反の管理についても“ずさん”と指摘。倫理審査委員会が事案発生の歯止めとして機能していないことや、大規模臨床研究に不可欠な統計解析者などの人材を労務提供に依存するなど、臨床研究実施体制が脆弱であったことを原因に挙げた。


調査対象となった大学間でデータの信頼性、調査の迅速性や内容、ノバルティス社元社員の研究への関与度合いに異なりがあったことも指摘。「大学側研究責任者の利益相反管理に対する意識やデータの一元管理が適切に機能するなどの臨床研究実施体制の違いに起因すると考えられた」とし、大学側の臨床研究実施体制の整備の重要性を強調した。


◎ノバルティス「元社員一個人ではなく、ノバルティスとして関与」


一方、ノバルティスについては、「元社員一個人が関与していたというよりは、実態としてはノバルティス社として今回の事案に関与していたと判断すべき」とした。その上で、▽ノバルティス社から提供された奨学寄附金は、本来の趣旨とは異なり、スポンサーとしての役割を果たしていること、▽長期間にわたる多額の資金提供及び労務提供は、営業を含めた同社の業務の一環として行われたものと考えられること、▽日本法人の内部におけるガバナンスにも問題があったこと―を指摘した。


その上で、一連の問題の結果、これまでに築かれてきた臨床研究に対する信頼が失墜したとし、「このような事態を招いたことに対する研究責任者及び関係大学並びにノバルティス社の責任は非常に重く、十分な反省と再発防止に向けた真摯な対応が求められる」とした。


現在も臨床研究をめぐっては不適切な事例があることが報告されていることから、同様の事例について「研究機関、研究者、製薬企業などはこれを端緒として、患者を含めた医療現場に大きな影響を及ぼす可能性があったことを十分反省し、事実関係の積極的解明と社会に対する説明、再発防止策の徹底が求められる」と指摘。再発防止のために、「行政のみならず、大学等研究機関、製薬企業、学界等、研究にかかわる全ての者が真摯に取り組まなければならない」と強調した。また、医療関係者には製薬企業からの情報提供に依存せず、自ら情報収集することとともに、情報を科学的に見極めるための研鑽も求めた。


そのほか、製薬企業が専門誌などに掲載した企画広告が医療現場に与えた影響が少なくないことを指摘。検討委から今秋を目途に検討を進めている臨床研究に関する法制度化と併せて、「欧米の事例を参考にしつつ、広告の適正化方策についての検討を行うべき」とした。今後、厚労省では研究班を構成し、検討する。


◎製薬協 臨床研究の労務提供 研究の中立性に疑念を抱かせるものは禁止へ


日本製薬工業協会(製薬協)は同日検討委で、「製薬企業による沈床研究支援のあり方に関する基本的考え方(案)」を提示し、懸案だった臨床研究にかかわる労務提供については、データ解析業務など研究結果や研究の中立性に疑念を抱かせるような労務提供は行わないことを求めた。


奨学寄附金についても、自社医薬品に関係する臨床研究への資金提供方法としては禁止し、社内の営業部門から独立した組織が利益相反を十分確認した上で決定することとした。


一方、自社医薬品に関係する臨床研究については、資金提供や物品供与などの支援を契約により実施することを求め、契約の中で研究に使用されなかった資金や物品は適切に企業に返還されるべきとした。現在奨学寄附金で実施されている臨床研究についても、できる限り早期に契約方式に切り替えることを求めた。


そのほか、臨床研究における客観性と信頼性を確保するために、研究者の独立性の重要性を認識することの重要性も強調。利益相反関係に十分留意の上、支援を行うことを求めた。


製薬協は今後、会員企業に「今後の臨床研究支援のための活動に速やかに反映していくことを要請する」としている。
 

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