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アジアスポットライト:中国で成功するにはビジネスモデルの変更が必要

公開日時 2013/01/07 04:00

米コンサルタント会社マッキンゼーの報告書によると、ビッグファーマ(大手多国籍製薬企業)は、中国でさらに成長を目指すなら、現在のビジネスモデルを変更して対応する必要があると指摘している。


ビッグファーマ10社の中国での売上は2005年の24億ドルから2011年には97億ドルへと大きく伸長、医薬学術担当者(MR)数も2005年の5500人から2011年には25000人へと4倍以上に増加した。


中国で、2005年に年商5000万ドルと超える製品は8つだったが、2011年には69へと大幅増加を見ている。また、1製品でのトップ売上高を比べると、2005年にはHeptodin(ラミブジン)の1億700万ドルから2011年には、Plavix(クロピドグレル)の3億9500万ドルへと3倍の伸びを示している。しかし、MRの生産性では、ビッグファーマ10社のMRは2005年には1人当たり年43万ドルだったが、2011年には39万5000ドルへと落ち込んでいる。


そのような生産性の低下の背景には、中国政府の医療政策、競争激化、従業員の賃金上昇などがある。 マッキンゼーは、ビッグファーマ10社の生産性は2005年から2011年までに年率2%落ち込んだと指摘している。いまや、中国市場は「海図のない深海」を航海する時期に入ったといえる。中国市場は、いままで大病院依存市場だった。MRはGP(開業医)をターゲットとする必要はなく各疾患領域で病院の複数専門医をカバーすればよかった。スペシャルティ製品を数百軒の大病院に販売するためには100人から200人のMRで十分ということになるが、プライマリケア病院トップ4000軒から5000軒にプライマリケア製品を販売するのには500人から1000人のMRを必要とする。そのため、いまや、中国における多国籍企業のMR数は米国における数を上回ったという。


中国市場は、国民皆保険の拡大を核とするヘルスケア改革により2016年までに16%-17%の成長が見込まれる。この改革では、従来の大都市の大病院中心のシステムから中小都市や地方の中小病医院を中心としたシステムに変えるため、医薬品企業には費用対効果の高いビジネスモデルを見つける機会に道を開くことになる。


このようなビジネスモデルのひとつとして試みられているのがファイザー社とZheijiang Hisun Pharmaceuticals、また、メルク社とSomcere Pharmaceutical GroupとのJV(合弁企業)設立だ。ファイザーは、Hisinの持つジェネリック医薬品の開発・製造に関する低コストのモデルとファイザーの持つブランディングと販売の専門知識・技術を統合させたい考えだ。一方、メルクは、中小都市や地方における成長を目的としてSimcereの地方での販売知識・技術の活用を狙っている。


いずれにせよ、マッキンゼーは、同報告書で、多国籍企業は、魅力ある中国企業の数は限られているので、利用できるうちに中国企業のパートナーを探すことを勧めている。


中国のブランド品による売上は年商4億ドルに近づいているので、多国籍企業は、いまや、多額の事業予算をもっているが、これを画期的新薬および特許切れ製品に対してどのように割り当てるかが問題となっている。米国と異なり、特許消滅後も製品売上は成長しつづけ、多くの成熟製品がいまだ2桁成長している。


良い例がサノフィの抗血小板薬Plavix(クロピドグレル)だ。同剤は中国では2001年の発売以来トップ製品となっている。同剤のジェネリックは、早くも中国がWTO(世界貿易機関)に加盟以前の2000年のサノフィの先発品発売前に上市された。同ジェネリックは先発品の価格の半額で販売されているが、Plavixは、年商4億ドルを売上、市場のトップを走っている。


Plavixの売上は最近特許が失効した米国では対前年比97.5%、欧州では29.6%減少したにもかかわらず、中国では、今年第3四半期では対前年比28.2%の増加を示し、1億400万ユーロに達した。


マッキンゼーによると、中国での多国籍企業の売上の80%は特許切れ製品からのものという。だが、これら製品は、薬価制度のなかで品質への報酬として加算を認められている。しかし、中国政府は最近同加算を見直し、一連の薬価切り下げを断行している。このため、多数の製薬企業は、今後の成長を見据え、画期的新薬に期待を寄せている。


2020年までには、市場全体の伸びを背景に、まだ保険償還が決まっていない抗がん剤など高薬価の画期的新薬の売上が多国籍企業各社全体の売上の20-30%を占めると見られている。一方で、マッキンゼーは、具体的な価格政策について、多国籍企業は価格の弾力性を過小評価していると指摘する。「現地企業はジェネリックを発売すると、通常、当該先発品の価格の30-50%引きにする。そのことが、低薬価での同種薬剤の追加需要を生み出す」と話し、多国籍企業に対してそれへの対応の必要性を訴える。



 そのうえで、マッキンゼーは、現地企業のジェネリックに降伏するのでなく、「多国籍企業は、当該薬の潜在需要を引出し、価値を把握するために3-5年ごとに、『成熟製品の売れる価格』について見直すべき」と価格への柔軟な対応を求めている。
  The Pink Sheet 12月10日号
 

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