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武田薬品・岩﨑プレジデント ビジネス変革を実現するリーダー育成に投資 人事制度改革に着手

公開日時 2020/07/13 04:53
武田薬品の岩﨑真人・取締役ジャパンファーマビジネスユニットプレジデントは7月10日、Web会議システムを通じて本誌取材に応じ、今後5年間で8つの新規候補物質を含む31の承認を目指す方針を明らかにした。これを実現するため、①戦略投資の加速化、②機動性のある組織の構築、③変革を支える組織力の向上―に注力する考えを強調。とくに組織力向上については「多様化する個人の志向に合わせたキャリア選択の推進」を掲げ、グローバル等級制度の導入、個人の専門性を重視する報酬制度への移行、会社への貢献を反映する年金制度改革などを進めるとした。一方で、自らの生涯設計に基づき退職や転進を希望する社員をサポートする「フューチャー・キャリア・プログラム」(希望退職)の導入も今後検討を進める考えを明らかにした。

「武田薬品は来年で創業240年を迎える。この間、患者さんへの貢献を考え続けてきた。非常に重い価値のあるものだ」-。岩﨑プレジデントは取材冒頭で、同社の歴史の重みに言及した。「我々は15年前にグローバル化へと舵を切った」-。「何故、グローバル化に舵を切ったのか。日本社会が少子高齢化や人口減少に進み、市場も成熟化してくる。日本型雇用体系が転換期を迎え、あわせて従業員を含めて雇用に対するキャリアの幅や考え方が拡がっている」と強調し、目前に迫る環境変化に迅速に対応する「ビジネス変革を加速したい」と力を込めた。

◎「戦略投資の加速化」 5つのビジネスエリア「31の承認」目指す 売上比率73%

岩﨑プレジデントが掲げる国内事業は3つの柱で構成される。その一つ目の柱が「戦略投資の加速化」(STRATEGY)だ。同社はグローバル戦略に基づき、5つのビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー、ニューロサイエンス)に注力している。岩﨑プレジデントは「今後5年間で31の新たな承認の取得を目指す」と強調した。その内訳について岩﨑プレジデントは、「新規化合物という観点での新規承認が8つ。グローバルの14製品があるが、この中から9つの新しい承認をとる。また日本独自またはアジアを含めて新しいブランドの可能性として14ある」と説明。これにより同社の主要5ビジネスエリアの売上高比率も19年度の48%から、25年度には73%まで成長できるという。

◎「機動性のある組織の構築」 社員に求める3つのプロファイル 次世代社員に投資

このミッションを成功に導く2つ目の柱が「機動性のある組織の構築」(AGILITY)だ。岩﨑プレジデントは「これから会社を支えていく次の世代の従業員は、3つのプロファイルを持つことを期待する。会社はそのための投資をする」と語った。そのプロファイルとは、①会社に依存しないリーダーとしてのアスピレーション(aspiration)、ビジョン、覚悟、自信、②自らリスクをとって大胆に変革するマインドとスキル、③グローバルで多様性に富む環境下でのコミュニケーションスキル-の3点をあげる。すでに機動性という観点では、今年4月にプライマリケア製品の担当部門からオンコロジー領域に170人のMRを異動させたほか、ニューロサイエンス領域においても50人のMRの再配置を行っているところ。岩﨑プレジデントは、「この3つのプロファイルを持つ従業員を育てるために投資していく」と述べ、今後の新製品の上市とパイプラインの進捗をみながら人材配置を行うなど、組織の最適化を柔軟に図る考えを強調した。

◎「変革を支える組織力の向上」 グローバル等級制度、報酬制度、年金制度を改革

3つ目の柱が「変革を支える組織力の向上」(PEOPLE)だ。従業員の充実したキャリア構築を目的とした人事制度改革に着手するというもの。その筆頭がグローバル等級制度の導入だ。岩﨑プレジデントは、「これまで各国で決めていたキャリアパスがあったが、その国を跨ったキャリアの選択肢、キャリアを経験させる選択肢をこれまで以上にやり易い状況としたい」と述べた。

次に従業員の報酬体系も見直す。これまでの実績連動の短期的インセンティブを重視する制度から個人の専門性を重視する報酬体系に転換するという。具体的には、基本給の比率を引き上げ、賞与の比率を引き下げることを想定する。「これから承認を目指す31の新しい製品のプロファイルをみると、一人ひとりのMRや、メディカルの担当者はかなり高い専門性を持ってもらう必要がある。サイエンスのレベルで医療従事者と同じ立場で議論できることが求められる。今後、細胞治療の製品も控えている。日々新しく動いてくるサイエンスについていけるプロファイルは絶対必要だ」と言い切った。また、年金制度も同様で、「いまは終身雇用をベースとしているが、これを変える。つまり長くいるというだけの年金の重みではなく、会社にいる間に出来るコントリビューション(contribution)の重みを年金に反映する制度に見直す」と述べた。

◎「フューチャー・キャリア・プログラム」(希望退職)の導入検討

これらに加えて社員のニーズをサポートする「多彩な選択肢」の提供も進める考えだ。タケダを離職せずキャリアの幅を拡げる活動の機会を提供。また、将来の幹部候補を早期に選抜し、複数(海外含む)のジョブローテーションを経験させるような「早期育成制度」を導入するとした。

一方で、自らの生涯設計に基づき、退職または転進を希望する社員をサポートするための「フューチャー・キャリア・プログラム」(希望退職)も導入を検討する。岩﨑プレジデントは、「キャリアに対する考え方が多様化する中で、これまでのタケダでの経験をもとに、他で活躍したい、他でもっと大きなバリューを出したいという、自らの生涯設計に基づいて、今後の新しい転進を考えている社員も十分サポートすることが会社の経営として大切だと考えている」と述べ、プログラムの内容を含めて制度設計について詰める考えを明らかにした。



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