アストラゼネカは国内の支店・営業所（以下、営業拠点）を2021年４月を目途に全て閉鎖することを決めた。国内の営業拠点は支店10を含めて計67拠点あり、閉鎖は２段階で行う。第１弾となる８月末閉鎖は13拠点で実施し、この中には東京支店、関西支店、九州支店といった規模の大きい拠点が含まれる。同社広報部は本誌取材に、ワーク・ライフ・バランスを推進する働き方改革の一環として拠点閉鎖を行うと説明。「コスト削減のためではない」と強調した。拠点閉鎖に関連した営業組織の変更はなく、支店長などの役職数も変わらないとしている。

同社では、喘息・COPD治療薬シムビコートに19年12月に後発品が参入し、薬価ベースで売上900億円強の抗潰瘍薬ネキシウムは22年にも特許切れするとされている。プライマリーケア領域でシムビコートやネキシウムの減収分を補うほどの新薬は見当たらず、今回の拠点閉鎖は将来の人員削減を見据えた動きとみる向きもある。事業所に係る固定費削減の後に人員調整するケースは少なくない。

◎「拠点閉鎖をきっかけに人員削減はない」（広報部）

この点について同社広報部は、「今回の拠点閉鎖をきっかけに、次に人員削減するということは全くない」と否定。オフィスに依存しない働き方への改革の一環であり、オフィスで深夜まで残業する状況を是正するための取り組みだと説明した。新型コロナウイルスの感染拡大によって現在、在宅勤務やデジタル活用、直行直帰が基本となっているが、拠点閉鎖は「コロナ以前から検討していたこと」と述べ、コロナと拠点閉鎖に直接的な関連はないとした。

拠点閉鎖は、同社内では“ファーストウェーブ”“セカンドウェーブ”と呼称し、２段階で行う。ファーストウェーブは８月末閉鎖、セカンドウェーブは21年４月閉鎖の計画だが、セカンドの閉鎖時期は前後する可能性がある。セカンドでの閉鎖に少なくとも横浜支店と東北支店が含まれている模様だ。拠点閉鎖後のＭＲなどの社内ミーティングは、オンラインや貸会議室で実施する。