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ウルトラジェニクス・カキスCEO 「希少疾病医療の未来を切り拓く」 患者の声を取り入れて治療薬開発

公開日時 2023/03/31 04:52
米ウルトラジェニクス・ファーマシューティカル社の創業者兼CEOのエミール・D・カキス氏は3月30日、東京都内で初の記者会見にのぞみ、患者の声を取り入れながら治療薬を開発し、「希少疾病医療の未来を切り拓いていきたい」と強調した。同社は「次世代希少疾患特化型企業」だとし、現在グローバルに7つの臨床プログラムで20種類の遺伝性疾患の治療法を同時開発していると紹介した。日本法人は2022年から本格稼働しており、9つの国内開発プロジェクトは全て国の指定難病。カキスCEOは、希少疾患や超希少疾患の多くで治療薬が存在しないため、いずれの開発品も緊急性をもって開発していく考えを示した。

◎HoFH治療薬・エビナクマブ 日本で5月申請、24年上市を計画 MR採用へ

国内の開発プロジェクトは、▽ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)を対象疾患とするエビナクマブ(抗ANGPTL3モノクローナル抗体)、▽骨形成不全症を対象疾患とするセトルスマブ(抗スクレロスチンモノクローナル抗体)、▽長鎖脂肪酸代謝異常症を対象疾患とするトリヘプタノイン(基質置換)、▽ムコ多糖症III型を対象疾患とするUX111/ABO-102(AAV9遺伝子治療)、▽糖原病I型を対象疾患とするDTX401(AAV8-G6Pase遺伝子治療)、▽オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症を対象疾患とするDTX301(AAV8-OTC遺伝子治療)、▽ウィルソン病を対象疾患とするUX701(AAV9-ATP7B遺伝子治療)、▽CDKL5欠損症を対象疾患とするUX055(AAV9遺伝子治療)、▽アンジェルマン症候群を対象疾患とするGTX-102(アンチセンスオリゴヌクレオチド)――の9つとなる。

カキスCEOは、エビナクマブが日本法人として2番目に承認取得を目指す品目だとし、「来年に上市したい。今年5月に承認申請する予定」と話した。同社日本法人の桐谷忠社長は会見後、本誌取材に、エビナクマブの24年上市に向けてMRの採用活動を始める考えを示した。

家族性高コレステロール血症(FH)は生まれつき血液中のLDLコレステロールが著しく増えてしまう病気。LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に、父親由来と母親由来の両方に変異がある場合を「ホモ接合型」と呼称する。日本の患者数は120人程度とされるが、HoFHに関わる遺伝子が見つかってきているため、これより多いと考えられている。

このほか、桐谷社長によると、セトルスマブは今後、日本人を含む第3相臨床試験を開始する予定。トリヘプタノインは海外製品名「DOJOLVI」として実用化されており、海外データのブリッジングを検討していく。UX111やDTX401などの遺伝子治療は海外で開発後期に入っており、「国際共同治験に日本がどのように入っていくかを検討する」(桐谷社長)」としている。

◎医師が疾患の全てをわかっているわけではない 患者体験に基づく知見が重要

カキスCEOは会見で、希少疾患・超希少疾患の治療薬開発に患者の声を取り入れることは欠かせないと強調した。「希少疾患の一つの問題は、医師自身が当該疾患の全てをわかっているわけではないということ」だとし、「患者に直接、話を聞き、(治療薬開発に)患者の声を取り入れることが重要になる」と自身の経験を踏まえて指摘した。

例えば同社主力品のX連鎖性低リン酸血症(XLH)治療薬・クリースビータ(一般名:ブロスマブ)の開発の際、医師からは当初、「XLHの成人患者に治療はいらない」との考えが示されたが、成人XLH患者に聞くと疼痛や身体機能の障害などで大変な生活をしていることがわかったという。このような患者体験に基づく知見を臨床試験デザインなどに反映。結果として同剤は現在、各国で承認取得に至り、同剤の50%が成人XLH患者に使用されていると紹介した。

◎希少疾病の子どもの親が治療薬開発しないといけない現実も 情報共有を積極的に実施

また、希少疾患の治療薬開発の現実として、「あまりにも稀な病気のため、希少疾患の子どもの親が独自に財団を立ち上げるなどして治療薬を開発しないといけない状況もある」とし、「非常に悲しい物語」とも訴えた。「これは制度上の問題だ」と憤りを見せるとともに、同社としては17年からこのような親を支援するためのイベント「レア・ブートキャンプ」を開催し、医薬品開発などについて学んでもらったり、専門家などとの関係構築を図っているとした。

さらにカキスCEOは、希少疾患では十分な知見・経験が蓄積されていないことから、自社の持つ科学と専門知識を同業他社などと共有することにも前向きな姿勢をみせた。同CEOは、「希少疾病の治療薬開発は、(希少疾病以外とは)違うアプローチをしないといけない。当社で治療薬を作れないとしても、私たちの知識で他の人が開発できるのであれば、それに役立ててほしい」と述べ、情報共有の重要さも指摘した。

◎「治療コストによって、患者アクセスが阻害されることがないようにする」

患者数が限られる希少疾患や超希少疾患の収益モデルも気になるところ。この点についてカキスCEOは、開発投資に見合う薬価や価格設定が重要だとする一方で、「価格が高くなりすぎると、患者が治療にアクセスできなくなる課題もある」との認識も示した。

そして、「治療コストによって、患者アクセスが阻害されることがないようにすることが我々の哲学。治療へのアクセスを世界中に提供することが我々の責務だ」と強調し、海外では治療薬の無償提供や保険適用のサポートなどをしていると説明した。

◎23年売上予想は4億2500万ドル~4億5000万ドル

ウルトラジェニクスは10年に、医師でもあるカキスCEOを含む計2人で、200万ドルの資金で米国カリフォルニア州に設立した希少疾患領域にフォーカスしたバイオ医薬品企業。遺伝子治療薬の製造技術にも強みを持ち、4月にはマサチューセッツ州ベッドフォードの製造拠点が稼働する。

主な治療領域は内分泌、骨疾患、代謝、肝臓、中枢神経系/筋肉系疾患――。これまでに承認取得した治療薬は4製品(5適応症)で、主力品はクリースビータやDOJOLVIとなる。同社の売上収益は22年見込で3億5200万ドル~3億5600万ドル、23年予想は4億2500万ドル~4億5000万ドル。従業員数は現在1200人超。

主に北米や中南米、欧州で事業展開しているなか、日本法人を21年9月に設立し、22年から本格稼働した。日本法人の現在の取扱製品はムコ多糖症VII型治療薬・メプセヴィ点滴静注液の1剤で、患者4人に投与されている。日本法人の社員数は現在10人、うち営業担当者は1人。なお、メプセヴィはウルトラジェニクスが創製元で、同剤を導入したアミカス・セラピューティクスが日本で開発・承認を取得したが、ウルトラジェニクス日本法人が設立されたため、22年7月にアミカスからウルトラジェニクス日本法人に製造販売承認が承継された。
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