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武田薬品 研究拠点を日米に集約 開発の成功確率向上ねらう 「人員削減が目的でない」

公開日時 2016/08/01 03:50

武田薬品は7月29日、新薬の開発成功確率を向上させるため、研究開発の重点疾患領域を▽がん▽消化器系疾患(GI)▽中枢神経系疾患(CNS)――の3つとワクチンに絞るとともに、研究開発拠点をグローバルに再編・集約すると発表した。これまで重点疾患領域に位置づけていた「スペシャリティ循環器系疾患」は含めず、更なる特化をはかる。研究拠点は日本の湘南と米国ボストンの研究所に集約、研究者はグローバルに異動する。これまで明確ではなかったグローバル開発戦略の立案機能は日・米・スイスに設け、日本は東京の開発部門を将来的に大阪に集約する方向で労働組合と協議する。これらを2~3年で全て実現する方針。

クリストフ・ウェバー社長は同日、東京本社で開いた16年度第1四半期の決算会見で、「研究開発のトランスフォーメーションのゴールは、当社ががん、GI、CNS、ワクチンの研究開発でリーダーになることだ」と述べた。同社研究開発部門のトップを務めるアンドリュー・プランプ・チーフメディカル&サイエンティフィックオフィサーは、「これだけ複雑な医療環境の中では、『フォーカス』した製薬企業の方が、業績が良い。『フォーカス』することがコーナーストーン(=要)になる」と強調した。

■湘南研究所 CNSと再生医療を担当 リサーチパーク構想も

研究拠点の中心となる日本の湘南研究所はCNSと再生医療を、米国ボストンの研究所はがん、GI、免疫関係などの領域を担い、日米英中などグローバルに分散している同社研究者は日米の拠点に異動する。また、日本の湘南研究所は、様々な研究者・科学者・パートナーと様々な共同研究などが行える「オープンイノベーションのためのリサーチパーク」とする構想だ。一方で、英国の研究所は閉鎖する方針で、日本の大阪・十三や中国などの拠点は、活動の撤退について労組と協議する。

プランプ氏は、「意図的にベストな研究開発組織とした方が、(創薬には)効率的で効果的。生産性も上がる。しかし、結果的に人員削減もあるかもしれないが、人員削減が目的ではない」と述べ、同社研究者がなるべくタケダグループで活躍し続けてもらえるよう様々なオプションを提示する考えを示した。社内起業を希望する研究者には、そのオプションを提供することも明らかにした。退社する社員の規模や見通しは、人員削減が目的でないことから明言しなかった。

■コスト削減効果は年間180億円、研究開発に投資

グローバル開発戦略の立案機能は日本、米国ボストン、スイス・チューリヒに設ける。日本はこれまで主に国内開発戦略で機能してきたが、グローバル戦略を立案できるよう能力を高める。

これらの変革に総額約750億円かかり、約250億円は16年度に、残り約500億円の多くは17年度に発生する予定。一方で、年間のコスト削減効果は約180億円を見込む。削減分は研究開発に投資する。

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