米FDA メルクの抗菌剤Recarbrio 院内細菌性肺炎、人工呼吸器関連細菌性肺炎の適応追加を承認
公開日時 2020/06/16 04:50
米食品医薬品局(FDA)は6月4日、米Merck & Co社の抗菌剤Recarbrio(イミペナム/シラスタチン/レレバクタム配合剤)静脈注射剤について、18歳以上の成人における院内細菌性肺炎(HABP)および人工呼吸器関連細菌性肺炎(VABP)の適応追加を承認した。同剤は、ペネム系抗生物質イミペナムおよび腎デヒドロペプチダーゼ阻害剤シラスタチンとベータラクタマーゼ阻害剤レレバクタムとの配合剤。
同剤は、FDAが抗生剤の開発促進を企業に促しているプログラムであるGAIN(Generating Antibiotic Incentives Now:今、抗生物質を生むインセンティブを)のもとでのQIDP(Qualified Infectious Disease Product:有資格感染症疾患製品)の指定を受けている。同指定は、FDAが重篤かつ生命の危険がある場合の感染症治療薬に対して、優先審査などの優遇策を設ける制度である。同剤は、優先審査および迅速承認の指定を受けた。なお、同剤は、2019年7月17日、FDAから複雑性尿路感染症(cUTI)および複雑性腹腔内感染症(cIAI)治療薬として承認されている。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のSumathi Nambiar感染症部抗菌剤課長は、「FDAは公衆衛生当局として、安全かつ有効な新規治療薬の開発を促進させて抗菌剤耐性の問題解決を進めている」と述べ、早期に新たな治療選択肢を提供できる意義を強調した。
Merck Research Laboratories社のNicholas Kartsonis上級副社長(臨床研究、感染症およびワクチン担当)は、院内感染のリスクが懸念されるなかで、「我々は、医療供給者に患者ケアにおけるこの問題解決に役立つ新規治療薬を提供できることを誇りに思う。本日の承認は、ヘルスケアコミュニティのニーズに応えるメルクの揺るぎのない取り組みを再確認するものだ」とコメントした。
HABPおよびVABPともに入院患者が発症する肺炎で、アシネトバクター属、エンテロバクター属、肺炎桿菌、インフルエンザ菌などのグラム陰性菌によって引き起こされる。