米FDA 抗がん剤・キイトルーダでMSI-high大腸がん適応追加を承認
公開日時 2020/07/08 04:50
米食品医薬品局(FDA)は6月29日、米メルク社の抗PD-1抗体製剤Keytruda(国内製品名:キイトルーダ、一般名:ペムブロリズマブ)について、切除不能もしくは転移高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-high)あるいはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する結腸直腸がんのファーストライン治療薬としての適応追加を承認した。
同剤は、同患者集団に対するファーストラインとして、また、化学療法剤の受療歴のない患者に対して承認された初の免疫療法剤となった。
FDAは同剤について、優先審査、即時腫瘍薬審査(Real-time Oncology Review:承認申請用フルデータ提出前に一部データを提出、審査を開始)およびProject Orbis(海外規制当局と協力しつつ、その審査状況を参考にする)などの指定を行っていた。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究拠点長および腫瘍部長代理は、「転移結腸直腸がんは、予後の悪い重篤かつ生命を脅かす疾患だ。化学療法との併用や他の生物製剤は重い副作用と関連がある」と指摘した。そのうえで、「一定の選択された患者が利用できる非化学療法の選択肢を持つことが出来るのは、同疾患治療における価値あるパラダイムシフトである」と同剤の登場を歓迎した。
メルク社のRoy Baynes上級副社長兼グローバル臨床開発部長は、「本日の承認は、MSI-high直腸結腸がん患者のファーストラインとして従来の治療パターンを変える可能性を持つものである。この承認は、Keytruda単剤療法が標準化学療法と比べて無病生存期間で優位性を示したKEYNOTE-177試験からの知見に基づいている」と述べた。そのうえで、「我々のバイオマーカーを活用する研究への取り組みは、患者に対して、特に利用できる治療選択肢が少ししかない患者に新規治療法を提供することに役立っている」と同社の研究を自負した。
MSI-highおよびdMMR腫瘍は、細胞内のDNAを適正に出来ない異常な状態を呈する。MSI-highの発現頻度は、腫瘍のタイプ・ステージによって様々である。転移結腸直腸がんの約5%がMSI-highおよびdMMR腫瘍を持つという。