卸連 21年重点事項を決定 総会、地区会議、流通あり方等会議の全てに弁護士同席 コンプラ強化へ
公開日時 2021/01/29 04:51
日本医薬品卸売業連合会(卸連)は1月28日、2021年重点事項を理事会決定した。①コンプライアンスの強化、②新型コロナウイルス感染症下における医薬品の安定供給、③医薬品流通をめぐる環境変化への対応―の3項目を重点項目に明示。昨年12月に複数の大手医薬品卸とそれに関わった関係者が東京地検特捜部から独禁法違反で在宅起訴されたことを踏まえ、卸連としてコンプライアンスの更なる強化に取り組む方針を示した。一方、環境変化への対応では、新型コロナウイルス感染症下における流通改善の推進や、薬価改定への対応(薬価制度のあり方)、デジタル化やSDGsなどへの対応を盛り込んだ。
複数の大手医薬品卸が関わった独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の談合事件をめぐり、公正取引委員会は12月9日に独占禁止法違反でアルフレッサ、スズケン、東邦薬品の各社を刑事告発し、同日、東京地検特捜部が当該3社と業務に従事した7人を在宅起訴した。卸連は同日、「重く厳粛に受け止めている」とのコメントを発表し、会員及び会員構成員企業に対して更なるコンプライアンスの徹底を求める方針を打ち出していた。
今回の重点事項は、こうした事態を踏まえ、「コンプライアンスの強化」として、①コンプライアンス遵守の姿勢の一層の明確化、②コンプライアンスに関するルールの確実な実施および強化、③コンプライアンス研修の強化、④公正取引委員会の調査結果公表後の対応―の4項目を明示した。
◎総会でコンプライアンス宣言を公表
コンプライアンス遵守の姿勢の一層の明確化では、卸連の総会においてコンプライアンス宣言を公表する。また総会や全国7地区年1回で開催する地区会議においてコンプライアンスを議題とする。総会では卸連から、地区会議では各卸組合(協会)から報告を求める方針を示した。また、会員構成員企業に対しても、コンプライアンスへの取り組み状況について定期的に報告を求めるとしている。
◎議事内容の録音・保存の実施
コンプライアンスに関するルールの確実な実施および強化では、独禁法に詳しい弁護士に同席を求めるほか、議事内容の録音や保存などを確実に行う。さらに、流通のあり方について議論する会議に加えて、総会や地区会議においても独禁法に詳しい弁護士の同席を求めることとした。
コンプライアンスの強化では会員および会員構成員企業に対して、コンプライアンス遵守を目的とした研修を強化する。このほか公正取引委員会の調査結果公表後の対応として、公取委の調査内容が明らかとなり、新たな対応が必要であれば適宜検討を行い、実施するとした。