新型コロナの変異株、オミクロン株の感染急拡大を受け、政府は１月18日、東京都や神奈川県など１都12県に「まん延防止等重点措置」の適用を決定する方針を固めた。感染者が急増するなかで、ノバルティスファーマは本社勤務の従業員を原則在宅勤務とするなど、感染対策を一段、強化する企業も出始めた。第一三共は、まん延防止等重点措置が発出された場合には、オフィス勤務者は在宅率7割を目指すと設定している“非常時の勤務体制”に切り替えるとしている。一方で、コロナ禍が長引き、テレワークが浸透するなかで、従来方針を踏襲する企業も多いことがわかった。

東京都では18日、新型コロナの感染者数が5185人と発表した。１週間前の火曜日の５倍に当たるなど、全国各地で感染者数が急増してきている。

◎アストラゼネカは在宅勤務上限廃止も

ノバルティスファーマは感染者の急増を受け、本社に勤務する従業員について、在宅勤務を原則とするよう13日に周知した。これまでは推奨としていたが、一段レベルを引き上げた。MRやメディカルなどの職種では、各地域の感染状況に応じて自治体のガイドラインに則り、上長の指示に従って行動するよう求めている。このほか、関係各所に訪問する際は施設ごとのガイドライン順守するよう呼びかけている。また国内出張については上長の承認、海外出張については原則禁止としているほか、社内会議については対面の場合は10人を上限とするなど、社内ルールを徹底する方針だ。

アストラゼネカでは7日、本社や支社のオフィスに勤務する従業員に対し、コロナ禍前に定めていた在宅勤務について、月8日の上限を撤廃すると周知した。出社は可能だが、業務スケジュールに応じ、在宅勤務ができる環境を整えた。会議はすべてオンラインとすることや、MRなどが医療機関や特約店に訪問する際には、施設ごとのガイドラインを遵守するなどの社内ルールも定めている。

MSDでは、テレワークについては出社と組み合わせた働き方を継続する方針を変えていないが13日、感染者の急増を受けて、社員間の会食を中止するよう呼びかけた。

日本イーライリリーは2020年から社内ガイドラインを整備、更新しているため、現行と大きな変化はないとしている。すでに在宅勤務の上限撤廃、コアタイムを廃止しており、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド型の働き方を実現しているとしている。

◎第一三共　まん延防止適用で「非常時の勤務体制」に切り替えも

武田薬品は、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド・ワーキングモデルを継続し、方針は変更していないとしている。本社では週に複数回の出社を目安としており、「出社比率3割から4割だったが、オミクロン拡大以降、出社率は減っている」（同社広報部）という。MRは訪問先の意向を確認し、テレワークと対面、デジタルを組み合わせたベストミックスを目指すとしている。このほか、緊急を要さない出張や、講演会後の医療関係者との懇親会は原則禁止にしている。

第一三共は、首都圏では現在、出社制限を設けない『ウィズコロナの勤務体制』を継続しており、在宅勤務は６～７割程度としている。ただ、「まん延防止等重点措置が発出された場合には、オフィス勤務者は在宅率7割を目指すと設定している“非常時の勤務体制”に切り替える」（同社広報部）としている。ＭＲは、医療機関など訪問施設のルールを遵守するほか、会議や来客についてはオンラインを推奨している。

大塚ホールディングスでは、11月以降の状況を継続している。本社では出社人数を５割以下にするなど、出社とテレワークを組み合わせた働き方を推奨している。出社する場合は時差出勤も可能としている。このほか、海外出張は自粛、国内出張については少人数で行い、複数での移動は避けるなどの社内ルールを徹底。会議やセミナーはウエブ形式を原則とし、会食は大人数を避けて少人数で行うこととしている。

アステラス製薬も、従来方針を変更せず、より徹底する考えだ。本社スタッフの出社比率は約３割で、本社では来客の延期やリモート会議を推奨しているという。ＭＲは、エリアの感染状況や訪問先の状況を確認し、営業所長の判断の下、感染防止対策を徹底して、慎重にMR活動を実施するとしている。2021年10月から営業所への出社については定員の50％以下と決めている。

田辺三菱製薬は、出社とテレワークを組み合わせた働き方を継続し、自治体の状況に応じて判断するとしている。会食は自治体での推奨レベルで判断、国内出張は上長、海外出張は担当役員が判断しているという。