卸連・会員社22年度業績 営業利益率は0.31ポイント改善も1%に届かず
公開日時 2023/09/29 04:50
日本医薬品卸売業連合会(卸連)は9月28日、会員企業の2022年度経営概況の速報値を発表した。営業利益率は前年度から0.31ポイント改善して0.84%となったが、22年度も1%に届かない厳しい状況だった。
卸連の宮田浩美会長(スズケン会長)はこの日の記者会見で、22年度の営業利益率について、薬価改定や物価・エネルギー価格高騰といった減益影響を、卸各社の粘り強い価格交渉、卸各社の「身を削るようなコスト削減」、主に従業員数の減少による人件費の減少などでカバーした結果だと説明。新型コロナの感染拡大による特需もあったと言い、「新型コロナ関係の売り上げを除くと、(医薬品卸の経営は)依然として厳しい状況にある」との認識を示した。
調査は23年4月に、直近の決算数値を対象として会員会社69社を対象に実施した。回答社数は53社、回答率は76.81%。
53社の総売上高は10兆6859億円(前年比3.48%増)で、うち医療用医薬品売上は9兆279億円だった。22年4月の薬価改定の影響を受けたものの、新型コロナの感染拡大による新型コロナ治療薬、医療機器、臨床検査試薬の販売が伸びるなどして増収となった。
売上の伸び率を詳細にみると、医療用薬を中心に事業を行っている会員企業(医家向販売80%以上の企業群)は3.51%の増収、一般用薬の事業にも注力している会員企業(同80%未満の企業群)は3.22%の増収だった。
売上総利益率は5.96%で前年度比0.16ポイント上昇した。卸連は、「メーカーのアローアンスやリベートが減少したものの、流通改善に向け医療機関・薬局と粘り強い価格交渉を続けたことが主な要因」と分析している。
販管費は前年度から0.54%の微増となった。この要因は、従業員数の減少などによって人件費が1.06%減となった一方で、ガソリン価格等の物価高騰の影響と推察されるとしている。販管費率は5.12%で、前年度から0.16ポイント下降した。
月商ベースでの販売生産性は1787万円で、前年度比6.69%増となった。前年度調査(21年度業績)でも7.58%増で、販売生産性は2年連続で増加したことになる。卸連は、新型コロナ関連製品の売上増と従業員数の減少によるものだとしている。