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ボセンタン 特発性肺線維症患者の悪化を抑制せず 米国胸部学会(ATS)より

公開日時 2010/05/26 04:00

軽度から中等度の特発性肺線維症(IPF)患者に、エンドセリン受容体二重拮抗薬のボセンタンを検討したBUILD-3試験の結果、悪化または死亡までの期間は延長しなかったことがわかった。カリフォルニア大サンフランシスコ校のTalmadge E. King氏が、5月14~19日ニューオリンズで開催された米国胸部学会(ATS)国際会議のレイトブレイキングセッションで報告した。ボセンタンは、第II/III相試験のBUILD-1試験において、IPF悪化または死亡までの時間が延長し、QOLでの改善が示されていた。


BUILD-3試験では、外科肺生検で証明されATS/ERSステートメントに基づくIPFの診断を受けた、診断から3年未満の18歳以上の患者616人を対象に、2:1の割合でボセンタン群(始めの4週間は62.5mgを1日2回、その後125mgを1日2回投与)か、プラセボ群に無作為に割り付けた。努力性肺活量(FVC)が予測値の50%未満、一酸化炭素拡散能(DLco)が予測値の30%未満、高分解能CTで広範囲な蜂巣肺が認められる症例は、除外された。
主要評価項目は、悪化または死亡までの時間と設定。悪化の定義は、ベースラインからFVCが10%以上、さらにDLcoが15%以上低下した場合、またはIPFの急性増悪が発生した場合とした。副次評価項目は、1年目のTDI(呼吸困難指標)とQOLのベースラインから1年後の変化とした。


試験期間はボセンタン群20.6ヶ月、プラセボ群20.5ヶ月、治療期間はそれぞれ17.9ヶ月と19.9ヶ月(いずれも中間値)。ボセンタン群407人のうち36%が悪化し、3%が死亡、プラセボ群では209人のうち、42%が悪化、3%が死亡した。


主要評価項目は達成せず、ハザード比0.85、95%信頼区間:0.66, 1.10, p値0.2110という結果であった。サブ群による解析では、より若い症例や非喫煙者、FVCが2.8Lより高い症例、米国症例などでリスク削減の傾向が見られたが、どれも統計的有意差は得られなかった。各副次評価項目についても、両群で有意差は認められなかった。


治療が必要となった有害事象はボセンタン群が97.5%、プラセボ群は97.1%で発生した。最も多かった有害事象は、IPFの悪化で、次いで上気道感染症が多くボセンタン群28.1%、プラセボ群29.2%、このほか、咳、呼吸困難、気管支炎、疲労、頭痛などで、過去の臨床試験で確認されたものと一致していた。
King氏は、同試験の急性増悪と死亡の発生率が他IPF試験と比べて低かったと指摘した上で、主要評価項目はボセンタンに有利な傾向性が見られたものの、有意差は認められなかったとまとめた。また、ボセンタンは高い忍容性を示しており、エンドセリン受容体二重拮抗薬のIPFにおける役割について、さらなる調査の正当性が確認されたと結論した。

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