中医協総会は６月２日、新薬12成分29品目を11日付で薬価収載することを了承した。この中で不眠症での入眠をスムーズにする武田薬品のロゼレム錠は、休薬後の不眠症状の増悪や離脱症状などの発現のおそれが低いことが評価され５％の有用性加算（２）がついた。武田薬品は同剤含め５成分が収載されることになった。一方、前回の収載時期に薬価が折り合わず今回まで先送りされていたノボ　ノルディスクファーマのGLP-1アナログの２型糖尿病治療薬ビクトーザ皮下注は、類似薬がなく原価計算方式で算定されたものの、30％の加算を求めるメーカー側の主張は認められず、「有効性、安全性及び革新性の点で加算を認めることは適切ではない」と判断され、当初算定案どおりとなった。

加算が認められたロゼレム錠は、「睡眠導入時間の短縮のみが臨床的に認められた限定的な評価」がさなれたが、休薬後の不眠症状の増悪のおそれが低いことなどから「臨床上有用な新規な作用機序を有すると考えられる」と判断された。ピーク時の市場規模は10年後に312億円と見込んだ。

一方、加算が認められなかったビクトーザ皮下注は、類似薬に対する優越性を示す臨床試験結果がないことや、メーカー側の「低血糖や体重増加を起こしにくい」との主張に対しても、低血糖は添付文書上で注意喚起の必要性が指摘され、体重への影響も「国内外の臨床試験から一環した結果が得られていない」と判断された。日本独自の臨床試験により日本人に合った用法・用量を開発したとの主張に対しても「多くの糖尿病用薬の開発で必要とされる国内での用法・用量を設定したにすぎない」などとされ、市場規模はピーク時の４年後に173億円を予想した。なお、同剤は在宅自己注射ができる薬剤に認められた。

同様に、10％の加算を求めるメーカー側の主張が認められず、当初案どおりになったのは、ファイザーの帯状疱疹後神経痛治療薬リリカカプセル。メーカー側は日本での150mg／日の有効性・安全性が優れていること主張したが、「150mg／日群で有意な鎮痛効果が示されたのは投与初期（投与２週間まで）のみ」とし、そのため「必ず300mg／日まで漸増する用法・用量となった」と指摘。安全性も、150mg／日群に比べ300mg／日群では有害事象発現率は高いが、投与継続には大きな問題はない」と、主張を退けた。さらに、欧米では神経障害性疼痛や線維筋痛症などの効能も取得していることも挙げられ「有効性、安全性及び革新性の点で加算を認めることは適切ではない」とされた。市場規模はピーク時の10年後に84億円と予測した。

今回、日本初の２型糖尿病用配合剤となったメタクト配合錠（一般名：ピオグリタゾンとメトホルミン）、ARBとCa拮抗剤という高血圧症で最も汎用される成分を組み合わせたユニシア配合錠（カンデサルタンとアムロジピン、武田薬品）の武田薬品の２配合剤は、価格が抑えられる内用配合剤の特例で算定。メタクトはアクトス（ピオグリタゾン）単剤（15mg錠及び30mg錠）と同じ薬価、ユニシアもブロプレス（カンデサルタン）単剤（８mg錠）と同じ薬価に抑えられた。メタクトの市場規模予測は、ピーク時の５年後に83億円、ユニシアはピーク時期は同じで571億円とした。

ほか武田薬品は、DPP-4阻害剤として３番目となるネシーナ錠、進行・再発結腸・直腸がん治療薬のベクティビックス点滴静注が収載の運びとなり、今回だけで５成分が収載される。ネシーナ錠の市場規模予測はピーク時の10年後に633億円。ベクティビックスはピーク時の10年後に374億円とした。

なお、４月にドライアイ治療薬として承認された参天製薬のジクアス点眼液は審議されなかった。同社は「安定供給をするため、原薬の供給状況の再確認を進めており、薬価の取得時期をずらすことした」と説明し、年内の発売に向け準備を進めているという。

中医協総会に提出された各製品の薬価と、算定根拠に関する資料は以下。