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【SABCS速報】AVEREL HER2陽性局所再発/転移乳がん患者にベバシズマブ追加投与でPFS改善も有意差示せず

公開日時 2011/12/16 04:00

 

HER2陽性局所再発/転移乳がん患者に対する一次治療として、標準療法であるトラスツズマブ+ドセタキセルに、ベバシズマブを加えることで、無増悪生存期間(PFS)はわずかに改善するものの、統計学的有意差を示すには至らないことが、同剤の臨床第3相試験(P3)「AVEREL」の結果から明らかになった。同試験は、AVERELは、HER2陽性LR/mBCにおけるベバシズマブの最初の無作為化試験。米国サンアントニオで開催された第34回サンアントニオ乳がんシンポジウムで12月8日、Ospedale San RaffaeleのLuca Gianni氏が報告した。


試験では、HER2陽性局所再発/転移乳がん患者424例を、アジュバント療法でのトラスツズマブ投与、術前補助化学(ネオアジュバント)療法でのタキサン使用、ホルモン受容体の状態、測定可能病変の有無で層別化。①トラスツズマブ(初回用量8mg/kg、維持用量6mg/kg、3週毎)+ドセタキセル(100mg/m2、3週毎)208例、②トラスツズマブ+ドセタキセル+ベバシズマブ(15mg/kg、3週毎)216例――に無作為に割り付けた。患者登録期間は、2006年9月~10年2月までで、60カ国から登録された。


なお、ベバシズマブは、病勢増悪まで投与を継続。ドセタキセルは、病勢増悪あるいは受け入れがたい毒性により早期中止を余儀なくされない限り、6サイクルまで投与を継続することとした。


主要評価項目は研究者評価による無増悪生存期間(PFS)。そのほか、全生存(OS)奏効率(ORR)、奏効期間、治療失敗までの期間、安全性(有害事象[AEs]とBEVに特徴的なAEs、QOL(FACT-B)の評価と、トランスレーショナル研究が行われた。PFS主要解析は、研究者評価で310イベントが起こった時点で行うことと事前に規定していた。


試験開始時の患者背景は、全般的に両群間で有意差はなく、年齢(中央値)は、トラスツズマブ+ドセタキセル群で55歳、ベバシズマブ追加群で53歳だった。内臓転移は71%、77%。トラスツズマブによるアジュバント療法の既往は12%、13%だった。DFSが12カ月未満であるものは、両群ともに43%、測定可能病変はともに85% だった。追跡期間(中央値)はともに26カ月。


主要評価項目である研究者評価によるPFSは、トラスツズマブ+ドセタキセル群で157イベント(74%)、ベバシズマブ追加群で153イベント(71%)だった。PFS(中央値)は、トラスツズマブ+ドセタキセル群の13.7カ月(11.4-16.3)に対し、ベバシズマブ追加群で16.5カ月(14.3-19.1)で、[HR:0.82 (95%CI 0.65−1.02) p=0.0775]、ベバシズマブ上乗せによる改善傾向が認められたが、有意差には至らなかった。


一方、独立評価委員会による評価(層別化解析)では、イベント発生はトラスツズマブ+ドセタキセル群で114例(55%)、ベバシズマブ追加群で111例(51%)だった。PFS(中央値)は、トラスツズマブ+ドセタキセル群13.9カ月(11.2-16.7)に対し、ベバシズマブ追加群で16.8カ月(14.3-19.5)で、ベバシズマブ追加群で、有意な延長がみられた[HR0.72(0.54-0.94)、p=0.0162]。


ORRは、研究者評価ではトラスツズマブ+ドセタキセル群の176例(69.9%)に対し、ベバシズマブ追加群で74.3%だった(p=0.392)。一方、独立評価委員会評価では、トラスツズマブ+ドセタキセル群の65.9%に対し、ベバシズマブ追加群は76.5%で、ベバシズマブ追加群で有意に良好な結果となった(p=0.0265)。


安全性では、ベバシズマブ追加群でトラスツズマブ+ドセタキセル群よりも高頻度でみられたグレード3以上の有害事象は、うっ血性心不全(5.1%対2.9%)、発熱性好中球減少(11.6%対8.7%)、高血圧(11.6%対0.5%)だった。グレード5の有害事象が、ベバシズマブ追加群の1.4%に対し、トラスツズマブ+ドセタキセル群では1.9%に認められた。ただし、Gianni氏は「有害事象は、既知のものにとどまり、未知の有害事象は報告されなかった」とした。


◎ バイオマーカー特定に糸口?


ベバシズマブの転移乳がんの適応取り消しが勧告されたが、その背景として、同剤の投与によりOS改善が認められなかったことに加え、迅速承認に至ったE2100試験と同等のPFS改善を、その後の試験AVADO、RIBBON1で再現しえなかったことが挙げられている。バイオマーカーが同定されておらず、ベバシズマブの効果が得られる患者集団を特定できないことが、一因だ。


Gianni氏らは、今回の試験で、ベバシズマブのベネフィットが得られる患者集団を特定すべく、探索的解析を行った。血漿VEGF-Aの濃度により、患者を層別化。中央値を境に高値集団、低値集団とし、予後との関連性を検討した。


ハザード比は、低値集団では0.83 (95%CI; 0.50-1.36)に対し、高値集団0.70(0.43-1.14)で、わずかに高値集団で良好な結果となった。これまで明らかになっていないバイオマーカー特定の糸口になるのかどうか、今後の研究が期待される。なお、Gianni氏らは、血漿VEGF-Aレベルによって層別化し、ベバシズマブ+パクリタキセルの効果を検討するグローバル試験「GO25632(MERiDIAN)」試験を計画中であることも明らかにした。

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