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Special Report/米国アバスチン乳がん適応撤回のインパクト(上)  (1/4)

公開日時 2012/03/05 04:01
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2011年 11月18日、米国食品医薬品局(FDA)は、ジェネンテックの抗がん剤・ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の局所再発・転移性乳がん一次治療の適応を撤回した。これに対し、日本で同剤が「手術不能又は再発乳癌」の適応を取得したのは、2011年9月16日。FDA腫瘍薬諮問委員会による承認取り消しの勧告が出され、FDAによる承認取り消しも十分に予測されていた時期のことだ。承認の経緯を簡単に紹介するとともに、同剤を臨床現場でいかに用いるべきか、乳がん治療のKOLに話を聞いた。(医学ライター/リポーター 中西 美荷)

 

 

 

 

 

 

米国では、同剤は、パクリタキセル併用下で実施された臨床第3相試験(P3)の「E2100」の結果をもとに迅速承認された。その後、完全承認の条件として実施された追加試験が、「AVADO」(ドセタキセル併用下)、「RIBBON-1」(カペシタビン、タキサン系またはアントラサイクリン系薬剤の併用下)の2試験だった。
 

これに対し、日本での審査は、海外で実施されたP3、3試験(E2100、AVADO、RIBBON-1)に加え、日本人を対象に、パクリタキセル併用下で実施された臨床第2相試験(P2)を対象に行われ、“パクリタキセル併用下”の条件付き承認となった。さらに、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、効能・効果に関連する使用上の注意として、「手術不能又は再発乳癌において、延命効果は示されていない」との追記も求めた。

 

 

 

 

◎PFSに加えOSの結果、日本でのP2結果も重視

 

 

この背景には、PMDAが、海外で実施されたP3の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)に加え、生存期間(OS)の結果を重要視したことがある。転移性/再発乳がんの治療目標が、症状緩和/QOL改善および延命であるためだ。
 

また臨床試験では、ベバシズマブとの因果関係を否定できない死亡にいたる有害事象が報告されており、同剤の投与に際し、一定のリスクが伴うと判断。審査に際して、①リスクを上回る高い臨床的有用性を推測させるPFSの延長効果を示す②OSに悪影響を及ぼす懸念がない――ことを有効性の条件とした。
 

その結果、ドセタキセル併用下(AVADO)、カペシタビン、タキサン系またはアントラサイクリン系薬剤の併用下(RIBBON-1)では、両試験ともにPFSの改善が小さく、OSについてもAVADOでは短縮が懸念され、RIBBON-1では評価が不能であるとして、ベバシズマブの有効性に臨床的意義を認めないと判断した。
 

その一方で、パクリタキセル併用下(E2100)では、PFSを有意に延長し、OSを短縮する懸念がないことなどから、ベネフィットがリスクを上回ると判断した。さらに、日本人を対象に、有効性・安全性の評価が行われているのは、パクリタキセル併用下のみであることから、パクリタキセルとの併用下に限定して承認した。ただし、「延命効果は明確には示されておらず、本薬とパクリタキセルとの併用投与は治療選択肢の1つにとどまるものと考える」との見解も表明している。
 

なお、使用成績調査は、日本人大腸がん患者を対象に、すでに製造販売後の全例調査が行われ、一定の安全性のエビデンスが構築されているとの考えから、直ちに実施する必要性は低いとの見解が示されている。

 

 

 

 

 

 

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