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ファイザー株式会社 高橋 栄記 さん

公開日時 2015/01/31 00:00

学術知識に裏打ちされた人間力で信頼構築

 

 

ファイザー株式会社
イノベーティブ医薬品営業統括部
神奈川医薬支店
横浜南営業所 担当課長
高橋 栄記 さん

 

 

2003年8月に同社に入社。神奈川県横浜市の開業医を担当後、10年4月から済生会横浜市南部病院など横浜市南部地区の基幹病院に加え、クリニックを担当。抗凝固薬、筋骨格系領域の薬剤などを担当。担当課長として、同地区を担当する9人のMRをまとめる役割も担う。卒業後は印刷会社に入社。将来に不安を覚えていたときにMRという仕事を知った。「尊敬できる多くの方と一緒にできるこの職種に巡り合えた幸運に感謝しています」と語る謙虚な姿が印象的だ。

 

 

「自分は、流暢に話せるわけではない。面白い話ができるわけでもない。ただ、MRという仕事であれば、学術知識で補うことができる」––。こうした想いから、日々学術知識の研鑽に励み、医師、薬剤師からの信頼を勝ち取ったファイザーの高橋栄記さん。担当施設である済生会横浜市南部病院の薬剤部も学術知識に裏打ちされ、かつ謙虚な姿勢を高く評価する。医療への貢献をキーワードにMRナンバーワンを決めるMR#1(ナンバーワン)コンテストへも薬剤部からの推薦を受けて出場し、その知識を評価され、“ベストナレッジ賞”を受賞した。訪問規制も強化される中で、パフォーマンスを維持する秘訣は何か、探った。(望月英梨)

 

 

本コーナーは、年に1回、“医療への貢献”をテーマにナンバーワンMRを決めるMR#1コンテストのファイナリストの日常のMR活動の中から、医療従事者から評価されるポイントを探ります。

 

 

学術知識活かすカギは“対話力”

 

「一番強いのは、対話力ではないか。その裏に知識があるけれど、ひけらかしたところがなく、謙虚。一方的な説明にならずに、人の意見も聞ける」(済生会横浜市南部病院・佐藤透薬剤部長)

 

「ひとつの製品について聞いたときに、知識がポンポン出てくる。エビデンスだけでなく、ガイドラインや論文、他施設の使用状況などを踏まえて話をしてくれる。分からないことを聞いたときに深みのある回答が返ってくる」(同院・深沢貴志係長)

 

高橋さん自身が最も自信をもつ“学術知識”。「医師、薬剤師の先生方が必要だと思ってもらえるような情報提供を心がけている」と高橋さん。そのために、日ごろの鍛錬は怠らない。「医療関係の雑誌やメールニュースなどを購読し、活用する。日々の業務の合間を縫って、勉強会にも積極的に参加する。企業から提供される情報は、整理されている情報なので身に付けるのはもちろん、MRになった頃からコツコツ努力を続けている」と語る。

 

実際、済生会横浜市南部病院の薬剤部も学術知識の高さを評価する。根拠となった論文に目を通した深い知識であることは、受け手には伝わっている。

 

ただ、この学術知識を押し売りするのでは、医師、薬剤師から信頼を勝ち取ることは難しい。高橋さんの場合は、「知識がそれ(対話力)を支えているのだと我々も感じる」(深沢係長)という。

 

済生会横浜市南部病院では、こんなエピソードがあった。同社の主力製品は、長期処方解禁後に採用されたものの競合品がシェアの大半を占めていた。ただ、その半年後、高橋さんらが地道な情報提供を行った結果、院内処方も勝ち取った。その後、急速な浸透をみせている。「長く付き合うと、その良さがわかる」(平間盛吾主任)と評価される日々の真摯な情報提供の積み重ねの結果と言えそうだ。

 

もちろん研修医や大学院生でも、同様の活動を心がける。「以前担当していた医師に、そういう姿勢は皆見ているものだと言われた」(高橋さん)と語る姿には誠実さが溢れている。

 

 

綿密な事前準備
手紙活用で顧客のニーズ把握

 

「ふっと余裕のある時に、顔を出す。訪問の間の良さはいつも感じる。そういった天性のものがあるのではないか」(佐藤透薬剤部長)

 

「“マイスペース”、“マイタイム”を確保することを意識している」と語る高橋さん。その秘訣とは――。「例えば、午後5時から訪問可能であれば、その前から待って最初に会う」と語る。もちろんメールの活用も重要だが、もうひとつ活用するのが“お手紙”だ。「手紙はよく書く。一筆箋を持っていて、手書きで書いている」と語る。こうして残した手紙やメールを活用して、印象付けを行う。

 

その後、「数少ない面会できるチャンスに、“見ていただけましたか?”などつながりのある声かけをできるように心がけている」。

 

それでも会えない医師の攻略法とは?大学病院担当者にとって、病棟管理を行う若手医師は、多忙で接点も少ない。医師の初期臨床研修制度が変更されたことで、MRとの接点をもたないままの医師も増加してきているとみる。こうした中で、自社製品の情報提供を行う上で、高橋さんが重視するのは、病棟薬剤師への情報提供だ。若手医師は、病棟薬剤師と薬物療法についてディスカッションするケースも増加しており、自社製品の適正使用のためにも、病棟薬剤師を通じた若手医師への情報提供の重要性が増してきていると語る。

 

ただ、5年、10年先を見通したときに、現在の初期臨床研修を受けた若手医師が、医療機関の中核を担うことになる。その際に、「MR不要論に発展することは不安」と語る。一方で、希望もある。高橋さんは勉強会で、研修病院の部長からMRと接点を持つことを勧められたと語る若手医師に出会った。「医師が若手医師に対して、MRの存在価値を伝えていただけるような活動を心がけることも必要だと感じている」と語った。

 

 

MRの存在価値って何?
医師の悩みに共感、寄り添う存在に

 

最後に、高橋さんにMRの存在価値について聞いた。

 

「医師は孤独で、相談できる相手も少ない。MRは、医師のこれまでの講演内容や学会発表内容、執筆論文、研究テーマなどバックグラウンドを把握した上で接している。悩みを解決することはできないかもしれないが、手助けする役割は大きいのではないかと考えています。MRは、医師の悩みに共感して寄り添う存在になれると思います。その上で、製薬企業は、新薬を開発し、患者さんに貢献しなければいけないということも考える必要があると感じています。

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