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武田薬品 医療用薬の広告等の審査 医師資格持つ社員が主導 営業部門は関与せず

公開日時 2015/07/14 03:52

武田薬品は7月13日、ARBブロプレスの臨床試験「CASE-J」の誇大広告に伴う業務改善命令に対する改善計画を公表した。医療用医薬品の広告等を審査する過程から、営業部門の関与をなくす。そして広告等の記載内容を審査・承認する審査会(=武田薬品医療用医薬品製品情報概要審査会)は、医師資格を持つ社員やコンプライアンスに詳しい外部の弁護士らで構成する体制に一新し、委員長は医師でもあるメディカルアフェアーズ部長が務める。新体制での審査は8月から実施する。同社は医師資格を持つ社員が審査に加わる体制にすることにより、「情報提供を受ける医師の立場から、広告等が誇大・強調あるいは誤解を招く記載になっていないか、その是非を判断できると考えている」としている。

この改善計画は厚労省に10日に提出したもの。

■審査会事務局はメディカルアフェアーズ部門

同社ではこれまで、審査会の委員長及び事務局機能をファーマコビジランス部門が担っていたが、これをメディカルアフェアーズ(以下、MA)部門が担うようにする。委員長は医師でMA部長の中村浩己氏が務め、MA部員でもある他の医師も委員となる。改善計画の中でMA部門について、「営業とは独立した部門」であり、「営業部門から作成される広告等の牽制役を担える部門」と説明している。

厚労省からの業務改善命令で求められていた審査体制への外部有識者の参加については、梶谷綜合法律事務所の弁護士に審査会の外部有識者委員を委嘱する。同事務所の弁護士は、「コンプライアンス問題を含めた多岐にわたる法律問題に造詣が深い」とし、「法律面を踏まえた審査が強化されるとともに、社外の視点からの客観的な審査が強化される」としている。

また、審査会にはこれまで営業部門に属する委員も入っていたが、「営業部門からの独立性をより確実なものとする」ため、営業部門の社員は今後入れないことも明記した。これに伴い薬事部門に属する委員を加える。

■広告の事前確認依頼先から営業部門を除外

改善計画では、審査会の審査対象広告等について、「医療関係者向けに提供するあらゆる情報(ホームページに掲載する情報も含む)」と明記した。「あらゆる情報」には広告資材、MR教育用資材、同社が作成提供する講演用スライドも含む。同社広報部によると、審査対象広告等はこれまでとほとんど同じだが、例えば一度承認された資材をWebサイトに一部を転用する際に審査されていない可能性も否定できないため、今回明示したとしている。

審査会に掲題する前の、社内の事前確認ルールも改めた。同社ではこれまで、審査会に掲題する前に、広告等の原案段階にて広告等作成部門の責任者を含むメンバーで記載内容を検討し、その後、事前確認として審査会事務局、製品情報部門、営業戦略部門、コンプライアンス部門を必須の確認依頼先にしていた。必要に応じてマーケティング部門などにも確認依頼していた。

これを改め、製品情報部門、営業戦略部門、マーケティング部門――といった営業部門を事前確認の依頼先から除外し、MA部門、法務部門、コンプライアンス部門、ファーマコビジランス部門、薬事部門――を必須事前確認依頼先にする。そして必要に応じて、医薬開発部門の当該製品担当部門および統計解析部門に事前確認を依頼できる体制にする。営業部門は今後、一切関与しないようにするというものだ。この点について同社は「審査会に掲題される広告等の事前確認体制をこれまでよりも厳格化」するためとしている。なお、事前確認はMA部門がリードする。

■広告等の廃棄ルールも明確化 営業所長の責任で

同社では6月17日から、患者の安全確保・適正使用に関する資材を除く全ての既存広告等の使用を停止している。改善計画によると、現在停止している資材は8月から運用する新たな審査体制のもとで審査し、承認されたものから使用を再開する。

過去に作成した広告等を最新知見に照らして審査することも行っていくが、その審査対象の広告等は、▽資材の内容・レイアウトを変更するもの▽審査会で承認された上限部数を超えて増刷するもの▽これら2点に該当しなかった資材については作成後1年以降も使用するもの(1年毎に審査)――と規定した。これまでは作成後3年以降も使用するものを審査対象にしていたが、今回、「作成後1年以降」と厳しくしたのが変更点となる。

また、今回、広告等の廃棄ルールも明確化した。廃棄が必要となった広告等は(1)広告等作成部門から廃棄連絡を各営業所に連絡(2)営業所長は指示のあった広告等をすべて廃棄(3)営業所長は廃棄完了報告書を作成してコンプライアンス部門に提出――と厳格化した。廃棄状況はコンプライアンス部門が営業所で確認する。同社によると、これまで営業所内な営業車内などに廃棄されずに残っている広告等があったことも否定できないため、今回、営業所長の責任のもと、廃棄すべき広告等がしっかり廃棄されるようにしたとしている。

そのほか、厚労省の業務改善命令で求められた広告等の作成・審査に携わる社員や管理職の教育訓練の一層の徹底については、「半年に1度、審査会において指摘された事例をもとに定期的な教育を実施する」などスケジュールを明確化して取り組む方針を示した。

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