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塩野義・17年度決算 クレストール特許切れで国内医療用薬は11.9%減収 18年度も二桁減収に 現行MR体制に「余剰感」

公開日時 2018/05/10 03:52

塩野義製薬は5月9日、2018年3月期(17年度)決算を発表し、高脂血症治療薬クレストールの特許切れが想定以上に影響し国内医療用医薬品売上は1392億円、16年度と比べ11.9%減となった。それが通年で影響する18年度は14.3%の減収を見込む。この日会見した手代木功社長は、18年度が「ボトム」とし、その後上昇に転ずるとの見通しを示し、感染症、中枢神経といったスペシャリティ領域を戦略品に位置付けて成長を目指すと表明。戦略品の変化に伴う今後のMR体制について「かつては1300人以上いたが、1000人台でも少し余剰感はあると思う」と述べ、メディカル部門などに人員をシフトし、エビデンス構築を強化する姿勢を示した。デジタル技術の活用等で情報活動の効率化を図る必要性も強調した。

クレストールは特許切れにより、9月にオーソライズド・ジェネリック(AG)、12月に後発医薬品(GE)が登場し、売上実績は293億円、16年度より32.1%減となり、国内医療用薬減収の主要因となった。通期予想(修正後)を51億円下回った。手代木社長は、「我々なりの(GE置換えの)モデルから推測したが、計算が甘かった。GEの浸透が欧米並みのスピードで進んだというのが実感」と振り返った。まずAGが想定以上に侵食し、GEの参入の多さなどが影響したと分析した。18年度は通年で影響するため67.0%減の97億円を計画。同じく特許切れとなった降圧薬イルベタン類も56.0%減の64億円と、両剤とも100億円を切る予想を示した。

同社は国内医療用薬については18年度を底にして、反転させる方針。18年度は、主力品の特許切れの影響が色濃いが、戦略領域を明確にした販売戦略を進める。▽SNRIサインバルタ、AD/HD治療薬インチュニブのCNS領域、▽単回経口投与のインフルエンザ治療薬をはじめとするインフルエンザファミリー3製品(検査薬含む)、▽オピオイド誘発性便秘症薬スインプロイク、オキシコンチン類のオピオイドファミリー2製品――を戦略品と位置付け、18年度の国内医療用薬売上高の約半分にまで伸ばす計画だ。市場拡大再算定で14%の引き下げを受けたサインバルタは、数量増でカバーし10.5%増を計画。3月の発売から2週間で24億円の売上となったゾフルーザは、小規模流行を想定した見込みだが、130億円を予想した。

成長を担ってきたクレストール、イルベタンが特許切れを迎え、戦略品が変化することによる今後のMR体制について手代木社長は、「従来型のMRは増えない。むしろ減っていくだろうとの認識の下で、今もその流れにある。1300人以上いたが、1000人台でも少し余剰感はあると思う。ただ、その分、メディカルリエゾンとかメディカルアフェアーズとか市販後臨床試験のチームとか、こういうところは増やしていく。情報やエビデンスをどう作るのかというところに、より人をシフトしていき、従来型のMRを我々は増やす状況にはないと考えている」と説明した。

また、営業も費用対効果の観点や、ITの進化で対面での情報提供が必然ではない顧客が増えている状況を挙げ、「先生方がどういう形で情報を提供していただきたいのかが変わってくると、当然こちらの提供方法も変えていかざるを得ない。人がべったり張り付いて情報を提供しないと薬を使っていただけないということには、きっとならないというのが、普通に考えたら出てくる結論であろうと思う」との考えを示した。

手代木社長 地域医療の変化で新たなMR活動モデルが必要

地域医療の変化にも触れ「将来のMR活動がどう変わるかということと相当リンクしている」との認識を示し、新たな活動モデルを地域で検討していることを明らかにした。同社長は、全国一律ではなく地域に合った形の展開の必要性を指摘した上で「都道府県や地域の医師会などとチームになって医療の効率を考えないと(地域医療は)なかなか持たない。その中で医薬品を作っている側がどういう情報提供を行うのが正しいのか、いくつかのところでモデルを模索中である。私どもの売りに直結するというより、そういうモデルにしないと持たなくなる可能性が高い。そういう新たなモデルの中で費用と効果を考えながら、医薬品の情報提供を考えなかければならない」と構想を話した。

連結業績は2ケタ増益 抗HIV薬のロイヤルティ収入1000億円突破

国内事業は厳しい環境下にあるが、海外を含む17年度連結売上は1.7%の増、親会社帰属純利益は29.8%増に増収増益を確保した。ロイヤリティ収入の寄与が大きく、HIVフランチャイズでは302億円増1035億円で、1000億円を突破した。18年度は、20年度以降の成長を見据えた戦略的投資200億円を研究開発費に計上するものの、ロイヤリティ収入の拡大などもあり、増収増益を計画する。17年度に達成した純利益1000億円も確保する。

【17年度連結業績(前年同期比) 18年度予想(前年同期比)】 

売上高 3446億6700万円(1.7%増) 3465億円(0.5%増)
営業利益 1152億1900万円(6.5%増) 1190億円(3.3%増)
親会社帰属純利益 1088億6600万円(29.8%増) 1110億円(2.0%増)
 
【17年度国内主要製品売上高(前年同期実績) 18年度予想、億円】
サインバルタ  235(190)260
インチュニブ 19(-)50
スインプロイク 6(-)12
ゾフルーザ24(-)130
アシテア 1(1)2
ムルプレタ 2(1)2
ピレスパ 65(58)60
オキシコンチン類 87(97)91
ラピアクタ 33(29)11
ブライトポック 11(10)11
グラッシュビスタ 3(6)-
クレストール 293(431)97
イルベタン類 146(153)64
 
ロイヤリティ収入 1550(1157)1755
内、HIVフランチャイズ 1035(733)1249
内、クレストール 226(330)211
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