「社会的な支えの少ない男性は、社会的な支えの多い男性に比べてメタボリックシンドロームの有病率が低い」-。こんな研究結果を厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC)」がまとめた。
この研究は1993年に茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所管内に在住していた40~69歳の男女4万4000人のうち、循環器疾患やがんの既往がなく、当該追跡アンケートに回答できた1万2537人のデータを分析したもの。メタボリックシンドロームの有無は、代表的な診断基準である米国(AHA/NHLBI)および国際糖尿病連合(IDF)の基準を用いた。
それによると日本人は、欧米人と異なり、社会的な支えの少ない男性は、社会的支えの多い男性に比べてメタボリックシンドロームの有病率が0.75倍(95%信頼区間:0.58-0.97)と低いことが分かった。女性では差が認められなかった。社会的支えの少ない男性は肥満者の割合が低く、多量飲酒や付き合いで飲酒する割合や、脂肪摂取量も少ないことが分かった。
◎ 欧米の傾向と真逆 日本人特有の文化が影響?
欧米における同様の研究では、社会的支えの低さがメタボリックシンドロームやその構成因子の頻度を上昇させるとしている。今回の研究結果は、欧米の傾向と正反対となる。研究班はこの結果について、「社会的支えの多い男性は宴会や飲み会などの影響で飲酒や脂肪摂取の機会が多くなる」と分析し、肥満やメタボの割合が高くなるという日本文化特有の現象と指摘している。その上で、「宴会・飲み会は、特に中年期男性において社会的な支えの源であり、ストレス発散の場である一方、お酒や脂肪の取りすぎ、肥満、メタボリックシンドロームには気をつける必要がある」と結んでいる。