沢井製薬・澤井社長 持株会社体制に移行「戦略提携加速や新規事業育成の体制づくり」に最適
公開日時 2020/05/19 04:51
沢井製薬の澤井光郎社長は5月18日の20年3月期決算説明会(電話会議)で、持株会社体制への移行開始の準備に着手したことを説明した。澤井社長は、薬価制度抜本改革への対応やヘルスケア産業への転換など、「時代の要請に即応した新たな事業の育成も行わなければならない」と強調。これを実現するためには持株会社体制への移行が最適と判断したことを明らかにした。今年12月21日開催予定の臨時株主総会での承認を条件に、21年4月1日から実施する。
澤井社長は、2018年4月実施の薬価制度抜本改革が、「結果として製薬産業の再編の時期に入った。今後はM&Aや提携などが進んでいく」と見通した。その上で、戦略提携が今後加速することを考えると、「迅速に対応することが必要だ」と語り、既存事業の一層の強化と同時に、新規事業の育成を視野に入れた組織体制の見直しが不可欠になっていると強調した。
◎新型コロナ 次期業績への影響「多少でると思う」
澤井社長は、日本国内の市場環境に触れた。新型コロナウイルス感染症の次期業績への影響について、「6月の後発品追補収載品については、現時点でMR活動を控えているなど、影響がでないとは言えない」との認識を示した。さらに患者の受診抑制など「医療機関の経営にも影響がでるのではないか」と見通し、業績面への影響についても「多少でると思う」と述べた。
一方、政府が掲げる後発品の数量シェア80%目標達成後の市場について、澤井社長は「新型コロナの影響もあり、(達成は)厳しい状況となっている」と指摘。次期中期経営計画を策定するなかで、新しい市場環境への対応についても示す考えを述べた。さらに、個人的見解と断りながら、「一般名処方の割合が51.1%となっているが、もう少し高い目標を課せば80%以上も達成可能ではないかと考えている」との見解を披露した。
◎MR数の推移「後発品企業の方が遅くなると思う」
MR数については、「業界全体としてMR数が減っていくと思う」との認識を示しながらも、後発品企業の方が(先発品企業より)MR数が減っていくのは遅くなると思う」と述べた。販社についても触れ、薬価中間年改定などが実際に行われるようになると、「販社は大型化するか、逆に縮小の道を選ぶ状況となってくるのではないか」との見方を示した。
◎20年3月期業績は日米とも厳しい事業環境ながら「増益」確保
沢井製薬の20年3月期決算は、売上収益1825億3700万円で1.0%減収、営業利益は267億9300万円で3.9%増益となった。国内事業は12月まで堅調に推移していたが、インフルエンザ罹患患者数のピークアウトが早かったため、第4四半期が低調に推移し、通期全体で1.7%増となった。次期連結業績予想は売上収益2002億円(9.7%増)、営業利益268億5000万円(0.2%増)を見込んでいる。