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市立甲府病院

公開日時 2008/08/31 00:00

三井 哲男 薬剤部長

病院data

病床数408床
1日患者数
・初診 993人
・入院 309人

院外処方率 87.9%
採用品目数
・1606品目
うち後発品採用数 73品目
後発品採用率 品目ベース 4.5%
平均在院日数 14.8日

期限切れ薬剤の管理徹底で
年間損耗38万円に減少

 

●ハイリスク薬指導も徐々に拡大

 市立甲府病院は病床数402床、18診療科を持つ甲府市の地域拠点病院。設立は1932年市立愛宕病舎の一部を普通病院として開院した。65年に総合病院の承認、96年に地域災害拠点病院の指定を受けた。99年には新病棟が完成し、現住所に移転した。
 薬剤部の人員体制は定員15人のところ、欠員1人の14人。現在、自治体の財政状況が厳しいことも手伝い、採用は保留の状況。管理体制は、薬剤部長以下、薬剤部長補佐2人、係長3人。平均年齢は約35歳。8病棟すべてに病棟薬剤師を配置し、チーム医療への一翼を担う。
 病棟業務は薬剤管理指導業務が中心。08年度に改正になった改定薬剤管理指導料では、救命救急入院料の算定対象となる重篤な患者や、抗がん剤などのハイリスク薬使用患者に対する評価が引き上げられ、逆にそれ以外は引き下げられた。これは、薬学的必要性の高い患者に対して、副作用などのトータルな薬剤管理指導の普及を促すのが目的。市立甲府病院は「県内で最も多い指導件数をキープする」というように薬剤管理指導に注力し、07年度は782.3件の実績をあげた。4月からのハイリスク薬の服薬指導は4月22件、5月26件、6月48件と、徐々に増加する傾向を見せている。病棟業務ではナースステーションに薬剤師用のデスクを確保し、医師や看護師への薬学的サポートを実践している。薬剤管理指導記録を個別の患者に作成し、服薬履歴などを記録化。利便性を考慮して「カルテと一緒に持ち運びできるようにシートにしている」という。このような地道な取り組みを通して「服薬指導件数を徐々に増やしていきたい」と話す。
 薬剤師への学習機会の設置では、新薬採用時に薬剤部で勉強会を開催。「製薬企業のMRに依頼して、基本的な薬剤知識を習得するようにしている」という。さらに、病棟の薬剤師が集まって、病棟薬剤師勉強会も開催している。
 「各病棟での薬剤業務の統一化や患者指導などについて症例発表を交えながら、現場での医療ニーズへの対応と薬学的サポートについて学んでいます」
 専門薬剤師の育成は、現在のところ人員体制の課題があり、まだ未着手の状態。「がんの専門薬剤師の資格取得を希望する薬剤師もおり、今後体制の整備を考えていく必要がある」という。

99年に完成した新病棟

患者はソファでくつろぎながら手続きの終了を待てる

 

●院外処方は90%台

薬剤部窓口

調剤業務には病棟薬剤師も加わる

 旧病院時代に院外処方は一部で導入していたが、新病院に移転後は全科で実施になった。ただ、院外処方率は一時90%台まで達したものの、長期処方患者の増加などにより、現在は85%の水準。「薬事委員会や診療部などで目標を90%にする方向性がでています」こともあり、病院全体で院外処方率向上の取り組みをしている。
 採用品目は1606件、うちGEは73品目、品目ベースで4.5%。06年からGE導入の本格的な検討に入り、金額ベースで上位100品目の切替品の選定を進めた。09年7月には、DPCに移行する予定で、GEの迅速な導入は不可欠な状態。
 「DPC移行後は、入院患者に対しても積極的にGEを使わないと病院の財政もかなり厳しくなる」とし、GE導入は薬剤部の優先事項として取り組んでいる。
 さらに、DPC委員会やクリニカルパス委員会などとも協力しあって、GEの効率的導入について研究を重ねている。これらの委員会には薬剤師が加わり、専門的な立場からの情報提供を実施している。GE導入目標については「今後、どの程度拡大していくかは、診療部など病院として検討していくことになる」。

●薬事委員会は年9回開催

 新規薬剤の採用は導入を希望する医師が診療科科長を通して薬剤部に申請後、申請医から薬事委員会に提出して審議する。薬事委員会は委員長を副院長が務め、診療科長4人、看護部長1人、医事課長、調達係長、薬剤部から4人の12人で構成される。審議は4・8・12月以外の9回開催する。
 採用ルールは1増・1減が基本。「ただし、新規作用機序や有用性加算がついた画期的新薬は削除品目は必要ありません。治療上必要性が高ければ、採用しています」
 前年度の採用品目は、注射12、内服24、外用8の44品目。削除品目は注射7、内服14、外用6の27品目。全体では17品目の増加となった。
 03年から注力するのが期限切れ薬剤のロス対策。03年の時点で年間220万円損耗していた期限切れ薬剤は、現在では年間38万円まで減少した。薬剤部では、期限切れ6ヵ月前の未使用薬剤を病棟などから全て回収し、リスト化した上で院内のイントラネット上に公開し、優先した使用喚起を各診療科に促している。また、期限切れ前の薬剤には付箋を貼り、各病棟薬剤師が各医師に優先的な使用を依頼して、期限切れによる損耗を未然に防いでいる。

●納入卸は7社

 納入卸はスズケン、東邦薬品、ヤマヒロ、アルフレッサ、鍋林、岡野薬品、神津薬局の7社。07年度の購入金額は11億2800万円。平均的な在庫日数は7日程度。卸との価格交渉は調達係が入札を担当し、薬剤部は一切関与しない仕組み。
 MRの情報提供は完全アポイント制を採用し、薬剤部に面会を希望する医師への申込書を提出後、必要と当該医師が必要と判断した時のみ面会が設定される。
 「基本的に廊下や医局前での『医師待ち行為』は禁止しています」といい、訪問規制を強化している。

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