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PLATOサブ解析 Ticagrelor CABG患者で心血管イベント減少も有意差みられず

公開日時 2010/03/18 06:00

抗血小板薬・Ticagrelorは、冠動脈バイパス手術(CABG)を施行する急性冠症候群(ACS)患者における心血管イベントの発症をクロピドグレルに比べ減少させることが分かった。ただし、CABG患者に絞らないACS患者を対象にした本解析では2群間に有意差がみられたが、今回の解析では有意差がみられない結果となった。米国心臓学会議(ACC.10)で3月16日に開かれたLate-Breaking Clinical Trialsで、Uppsala Clinical Research Center and Department of CardiologyのClaes Held,M.D.准教授が「PLATO」試験のサブ解析を報告する中で明らかにした。(3月16日 米国・アトランタ発 望月 英梨)


PLATO試験は、抗血小板薬・Ticagrelorの臨床第3相試験(P3)。すでに公表された本解析では、ACS患者に対する心血管イベント発症抑制効果が、Ticagrelor+アスピリンで、アスピリン+クロピドグレルを上回ることが分かっている。今回の解析は、CABG施行患者におけるTricagrelorとクロピドグレルの有効性・安全性を検討する目的で実施された。


クロピドグレル又はアスピリンは投与中止後、血小板能が復活するのに5~7日間かかり、その結果CABGなど緊急性を要する手術を行うと、合併症のリスクを増加させる可能性がある。これに対し、Ticagrelorは、血小板能が復活するのにかかる日数が2~3日間と短期間であるため、CABG施行患者におけるリスクが少ないことが期待されていた。


対象は、非ST上昇型のACS患者やST上昇の心筋梗塞を含む中等度~高度ハイリスク患者のうち、▽試験中にCABGを実施▽CABG実施前7日間以内にクロピドグレル――の条件を満たした1261人。▽Ticagrelor群632人▽クロピドグレル群629人――の2群に分け、治療効果を比較した。主要評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中の発症の複合エンドポイント。


その結果、主要評価項目の発症率は、クロピドグレル群で13.1%、Ticagrelor群では10.6%で、2群間に有意差はないが、Ticagrelor群で減少する傾向にあった(ハザード比:0.84(95%CI:0.60~1.16)、P値=0.29)。


2群間に有意差がみられたのは、心血管死と総死亡の2点。心血管死は、クロピドグレル群で7.9%、Ticagrelor群で4.1%で、Ticagrelor群で有意に減少した(ハザード比:0.52(95%CI:0.32~0.85)、P値<0.01)。総死亡は、クロピドグレル群で9.7%、Ticagrelor群で4.7%とTicagrelor群で有意に減少している(ハザード比:0.49(95%CI:0.32~0.77)、P値<0.01)。


安全性については重大な出血がクロピドグレル群で80.1%、Ticagrelor群で81.2%で2群間に有意差は見られなかった(オッズ比:1.07(95%CI:0.80~1.43)、P値=0.67)。


Held氏は、ランダム化していない後ろ向き解析であるため、バイアスなどがある可能性があるなど試験に限界があることを指摘。その上で、CABGを施工するACS患者に対し「Ticagrelorは、重大な出血の上昇なしに、心血管死亡と総死亡を持続的に予防するクロピドグレルよりも有効な選択肢」との見解を示した。

 

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